《研修内容の概要・感想など》
今回は、「嫌気性菌感染症の基礎と検査〜臨床治療に役立つポイント」について山口県立総合医療センターの国広誠子先生に講演をしていただいた。嫌気性菌の基礎から始まり自施設のデータを交えながらの解説で、特に、検査材料の外観とグラム染色像および培地のスライドを使っての症例解説をしていただいた。興味を深かったのは、一部の嫌気性菌は、口腔内常在菌のバクテリオシン様物質により発育が阻害されること、嫌気性菌と思われるが発育不良時、黄色ブドウ球菌の衛生現象を利用して再度嫌気培養を行なうと良いことであった。
嫌気性菌の同定は、グラム染色性を重視して推定同定でも良いとのことであった。菌のグラム染色、培地の発育状態および生化学性状のスライドを使用し、臨床的に重要な菌種ごとに解説していただいた。グラム陰性桿菌は、培地でのコロニー形態、グラム染色、CV、Bile、ES半流動培地を用いて、BBE培地に発育するB. fragilis group、変法FM培地に発育するFusobacterium 属、黒色色素産生グラム陰性桿菌等のポイント解説があった。グラム陽性桿菌、特にClostridium属については、溶血性、遊走性、芽胞の位置により推定同定ができることや、同定キットを使用する際の注意点を解説された。最後に国広先生が用意していただいた嫌気性菌のグラム染色スライドを鏡検して今回の講習会は終了した。
今回の勉強会は、豊富な症例をわかりやすく解説していただき嫌気性菌は『難しいイメージ』から『少しは易しいイメージ』になったと思う。
平成23年9月16日 文責: 直井健治
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