《研修内容の概要・感想など》
プロカルシトニン(以下PCT)は、正常な代謝状態では血中には放出されず全身感染症、特に細菌感染症で血中濃度が上昇し、細菌性敗血症の鑑別診断や重症度判定の補助に有用なマーカーであると説明された。
方法として、定量法(化学発光酵素免疫法、ELSA法など)と半定量法(イムノクロマト法)があり、今回、イムノクロマト法の検討結果について講義された。
注意事項として、細菌感染以外の川崎病、アデノウイルス感染、急性肝炎、外傷、手術後、火傷、マラリア感染などでもPCTは上昇するため、細菌感染症以外には使用しないでいただきたいとのことであった。また、イムノクロマト法の判定は、テストラインの色調を目視判定で行うため、カットオフ値の目あわせが必要であるとのことであった。
血液培養と検討した結果、血液培養とPCTが同時に提出された297例中PCT(+)は144例(48.5%)あり、その内訳はPCT(+)・培養(+)が66例(22.2%)、PCT(+)・培養(−)が78例(26.3%)であった。PCT(+)・培養(−)は主に抗菌薬がすでに投与された例が多かった。PCTと重症度の比較では、PCTの値が高くなるほど、重症度が高くなる傾向であった。
小児に関してPCT(+)は、主に川崎病、熱性けいれん、上気道感染(ウイルス)などによる症例があり、また、血液培養の提出率も悪いので細菌感染症との相関がとれないとのことであった。
PCT(+)時の問題点は、コンタミによる血液培養(+)、抗菌薬投与による培養(−)、細菌感染以外でPCT(+)であるのか、他の臨床情報も加味した総合的な判断が必要とのことであった。
平成21年9月16日 記:向坂 元秀
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