生涯教育レポート 9

日 時:平成18年5月26日(金) 19:00〜21:00
場 所:大宮ソニックシティ806号室
テーマ:耐性菌のための抗菌薬の適正使用
講 師:大曲貴夫(静岡県立静岡がんセンター感染症科医長)
協 賛:ブリストル・マイヤーズ(株)
参加人数:52名 

「抗菌薬の適正使用」について、ポイントをつけて大切なことを解いてくださった。抗菌薬の適正使用とは、@効果を最大に。A患者さんの毒性を最小に。B耐性を呼び込まない。(Cリーズナブルコスト。)を求めて抗生剤が選択されること。印象的であったのは、「臨床の先生方は目の前の患者さんをなんとかよくしたいと思っているんです」の臨場感あるお言葉。そして、侵される臓器があって、侵している菌がいるのだから、まず、@どの臓器の問題かを同定する。A予想される起因微生物を探る。これらの手順を踏んで抗菌薬は選択されるがよい。例をあげられ、キーワード「季節は冬」「25歳」「かぜ」→インフルエンザとなるが、患者背景に「アフリカ帰国後」「蚊帳はなく」となれば→マラリア、テング熱と疑われるものは変化していく。基礎疾患ない高齢者の方では誤嚥性肺炎が疑われるが、実際に経験された症例は「リンパ腫」「ステロイド」「化学療法」の背景をもつ患者様で、ノカルジアが起因菌として検出され、アスペルギルスも検出された。痰、咳、息苦しくしていれば低酸素血症。肩で息をしはじめる。胸痛、呼吸数、臓器特異的パラメーターをひとつずつ観察することが、地味ではあるがとても大切なことである。異常を示す所見を整理する。肝硬変がある患者様では、肺化膿症を疑う、クレブシエラが原因かと考える。紹介された患者様の既に抗菌薬投与がある場合では、尿中肺炎球菌抗原が有用となることもある。などなど。講演時間を有意に利用されて、臨床の現場で患者様を見ている様子をリアルに表現されて、多くの言葉でたくさんのことをお話してくださいました。私自身は、引き出しをたくさんもてることが大切と聞いたことを思い出し、かつて「閃き」と題してO157を拾われたときのことをお話された先生を思い出しました。日常的に遭遇する菌をマニュアルに従って拾えることは必然で、何年かに一度遭遇する菌を偶然で拾えることは、多くの引き出しをもってイメージできることで、経験せずして引き出しを増やすために研修会へ足を運ばなくちゃなのかなぁでした。

  レポーター:八代

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