生涯教育レポート 27            
第27回生涯教育研修会レポート
日 時:平成21年2月18(水) 19:00〜20:30
    テーマ:二級臨床検査士(微生物)、認定臨床微生物検査技師試験
         について
    @二級臨床検査士(微生物)受験体験談
    講 師:坂本七美(戸田中央臨床検査研究所)
    A認定臨床微生物検査技師試験受験体験談
    講 師:黒澤直美 (越谷市立病院)
    A両試験の実務委員を経験して
    講 師:結城 篤 (防衛医科大学校病院)
    場 所:大宮ソニックシティ601号室 参加人数39名

研修内容の概要・感想など
 【二級臨床検査士受験体験談】
 70問の筆記試験、10問の寄生虫問題、実技試験は5部門を20分ずつ実施する内容であった。筆記試験は国家試験より難易度が高く医学書院より過去問題集が3990円で発行されている。寄生虫問題は、マラリア原虫、赤痢アメーバ原虫の出題頻度が高い傾向がある。実技試験は@血液寒天培地の作成、A集落からの釣菌操作、B腸内細菌の生化学性状からの同定、凝集法、ディスク法による耐性菌の判定、C寄生虫の顕微鏡観察による推定同定(5個)、Dスクリーン映写スライドの同定(微生物5、寄生虫5)である。@とAは無菌操作の基本技術が問われる。生化学性状からの推定同定、必要に応じた凝集試験など実施されるため、代表的な赤痢、サルモネラの重要な菌検査法は確実にしておく。また、MRSA、VRE、MDRPなどの耐性菌判定基準を押さえ、ディスク記載の抗生薬剤の略号から薬品名が分かるようにしておく。寄生虫問題が10問と顕微鏡同定5題、スライド同定が5題あり、寄生虫部門の中で6割以下の正解であれば、それだけで不合格となる。問題数が少ない分、そのウエイトは大きい。日本臨床検査同学院による微生物検査講習会、寄生虫講習会があるため、参加をお勧めしたい(ホームページで確認)。
 【認定臨床微生物検査技師受験体験談】
 主な受験資格は学会発表3回、論文3編(筆頭論文1)、認定施設での研修修了者(研修を受けていない場合は指定講習会を受ける)などがる。詳細はホームページを確認する。
 試験は筆記試験50問と英文和訳10〜20行で120分間。実技試験60分(4部門)である。筆記試験の過去問題はホームページにて10問公開された。筆記試験50問は、マークシート方式で正解を2つ選択するものが多い傾向だが、ほぼすべての内容を把握できていないと選択は難しく難易度は高い。範囲は広範囲で、感染症法や院内感染対策など最新知識を習得しておく必要がある。実技試験は@顕微鏡標本から起炎菌を推定し、小問題へも回答する(染色法名や菌体の色など)。A検査手技はガスバーナー、釣菌操作、生化学性状試験培地への接種、生化学性状検査からの菌名推定し凝集法の実施(凝集法の操作)、B同定検査操作は、主要な培地を観察し同定(選択培地の知識と経験を要する)、C薬剤感受性検査はBLNAR、ESBLs、メタロ-β-ラクタマーゼ産生緑膿菌、MDRP、PRSP、VREなどの耐性菌判定(ディヅク10種類程度、E-テストによるMIC測定とMIC判定基準)がある。
 【両試験の実務委員を経験して】
 非常に多くの詳細な内容や考え方を述べられたので印象をまとめる。二級資格試験は微生物検査に従事して1年から3年内を目標に資格を取ってほしい。寄生虫検査問題の対策として日本臨床検査同学院による微生物検査講習会、寄生虫講習会をお勧めしたい。
 認定臨床微生物検査技師の受験資格について、ハードルが高いというご意見をいただくが、認定技師の要素として{後輩の指導育成ができる}という項がある。研究発表、論文など経験のない方には、この項を満たすことはできない。
 近年、厚生労働省の臨床検査に関する文書書簡など、認定技師の必要性を「望ましい」というかたちで記載されることが増えている。今後社会への認知度が徐々に高まることが予想されるが、その責任も増大する。すなわち、認定技師になった場合、そこからがスタートであり社会へ貢献するための努力を要する。業務も含め、全ての関係事項について最新の情報、知識、活動(ICTなど)、後輩の育成、地域との連携、病院等の組織との連携など行わなければならないのが認定の資格である。高い理想と理念を持って、ぜひトライしてほしい。
                                  平成21年2月18日 文責 : 吉岡浩明                                                                                 

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