生涯教育レポート 26           
日 時:平成20年12月5日(金) 19:00〜20:30
テーマ:自動細菌検査装置の比較
-Walk Away,Auto Scan4,VITEK2,ライサス,フェニックスの使用経験−
    1.Walk Away and ライサス
    2.VITEK2 and Auto Scan4
    3.フェニックス
    講 師
    1.五十里 博美(越谷市立病院)
    2.古 畑  健司(株式会社ビー・エム・エル総合研究所)         
    3.荻 野  毅史(済生会川口総合病院)
場 所:大宮ソニック601号室  参加人数:61名

研修内容の概要・感想など
 自動細菌検査装置について、3氏(五十里博美、古畑健司、荻野毅史)の講演があった。
 五十里講師は、WalkAwayとライサスについて講演された。WalkAwayは、長年の実績の中で安定稼働していること。ライサスは、迅速測定ができること、緊急時の対応に有用であることを講義された。なかでも日当直帯での血液培養陽性時に、当直によるサブカルチャーとライサスの組み合わせで、2日目には結果が報告可能であった事例を報告された。
 長所では、WalkAwayは、プロンプトによる釣菌が容易で、目視確認が可能なこと、ライサスは短時間報告が可能なこと、レンサ球菌の同定・感受性、Haemophilus菌の感受性MICが自動測定とオンライン入力可能で可能なこと、国内メーカーのためユーザーの意見が反映されやすいことを挙げられた。共通する問題点では、コスト(保険点数割れ)、スペース、バイオハザード、直接培養、測定精度、勤務時間帯に即した結果報告などを提起され、これらを解決できるような理想の装置の開発をメーカーに希望した。 
 古畑講師からは、1日あたり数千件を超える多くの検体を処理する大規模検査センターでの運用を中心に講演された。VITEK2を24台と多数使用し、検体の振り分けなどの制御方法と結果の解析を担当するJupiter Systemとの連携で運用していること、さらにもう一つのAutoScan4、2台を中心としたLabProシステムも併せて説明された。大量検体処理、フルオートメーション、オンラインシステムというなかで、いかにそれぞれの検査装置の特性を使い分けて、正確性や精度を確保するかが課題であることを提示された。自動検査装置の導入のメリット面では、作業量の20%削減、感染性廃棄物の減量、業務の均一化、人為的ミスの減少などを挙げられた。
 荻野講師は、昨年からのフェニックスの稼働状況・運用について講演された。なかでもとくにグラム陰性菌、陽性菌、耐性菌検査での基礎的検討結果とそれを受けての運用方法への導入経過を説明された。導入後は、迅速性な検査結果だけでなく、これらを情報として加工できることで、今まで以上に感染症診断と治療への支援が可能になった現状が説明された。3氏とも、いかに自動検査装置を用いようとも、最終的には検査技師の眼・能力が重要であることを強調された。 質疑も、データの正確性や再検の問題などを中心に熱心に行われた。
 今回の企画が、自動検査装置の有無にかかわらず、各施設でのこれからの微生物検査のあり方を考える上で一歩になれば幸いである。

                                                 平成20年12月12日
                                                   文責 : 砂押克彦                                                                                 

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