生涯教育レポート 14
 腸管微生物−検査のコツ−               

(第14回生涯教育研修会レポート)
日 時:平成19年2月9日(水) 19:00〜21:00
テーマ:腸管微生物−検査のコツ−
場 所:大宮ソニックシティ604号室  参加人数:80名

1.細菌について
  講 師:中村文子(順天堂大学医学部附属順天堂医院)

2.原虫について
  講 師:郡 美夫(千葉市立海浜病院)

概要・感想など:

『細菌検査について』では、中村文子先生に、分離培地のコロニー写真を見ながら、症例を挙げて、釣菌のポイントと同定のコツをお教えいただいた。
1)SS寒天培地では、透明コロニーは心がけて拾った方が良い。
2)SS寒天培地の硫化水素が出ていないコロニーは、確認培地では確認できるケースがある。
3)Salmonella ParatyphiAとShigella sp.は、運動性が有無がポイントなので、運動性を真逆に判定してしまうと、抗血清を逆に使用してしい、正しい凝集へ導けなくなってしまう。
4)昨年はアエロモナス多かったようである。
5)Shigella  sp.は乳糖遅分解菌であるから48時間たったSS寒天培地では拾えなくなってしまう。
6)オキシダーゼ反応をするために使用する菌は、糖が入っている培地から拾ったのでは、糖分解により培地が酸性側に傾いていることが原因で偽陰性になる。
7)Yersinia sp.は小さくて見にくいけれど、落としてはならない菌である。
など多くのことを教えていただいた。
 感じたのは、培地の性能にはメーカー間差があるものなので、各人が使っている培地の集落の現れ方を知っていることも大切であり、拾ったことがないコロニーは拾えないので、標準菌株をさわれる機会があれば経験を積まれるほうが良く、毎年、6月に企画される菌株供覧会へは積極的に参加すべきだと思った。

『原虫について』では、郡 美夫先生に、原虫ごとの形態スライドを提示いただき、同定のポイントについて講演いただいた。
1)赤痢アメーバのE. histolyticaと非病原性の E. disparをわける方法はPCR法しかない。
2)栄養体であれば、赤血球のとりこみがあればヒストリチカに同定可能である。
3)ジアルジア ランブリアは、便中に多くの原虫が確認される。
またクリプトスポリジウムは、簡易蔗糖浮遊法をお教えいただき、サイクソスポーラ、イソスポーラについても示していただいた。我々臨床検査技師も症例を通して、症状に対する理解をより深めていく必要があると感じた。 

  平成19年3月2日 文責:古畑 健司

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