生涯教育レポート 11
夏季集中研修会


−新しい遺伝子検査法について−
日時 平成18年7月8日(土)
時間 13:30〜17:00
場所 大宮ソニックシティ604号室
参加人数:33

1.LAMP法の反応原理とその応用
  講 師:牛久保宏(栄研化学梶j
2.TRC検査システムを用いたRNAの簡便・迅速な検出方法について
  講 師:
合津俊一(東ソー梶j
3.BOOM抽出法とReal-Time NASBAについて
  講 師:宮田靖子(日本ビオメリュー梶j
4.SDA核酸増幅法の原理と応用
  講 師:
澤田直登(日本ベクトン・ディッキンソン梶j
5.次世代のNAT検査 TaqMan PCR法 の測定原理
  講 師:
紙本幹子(ロシュ・ダイアグノスティックス梶j

毎年この時期に時間枠を拡大して行っている集中研修会である。今年は遺伝子検査法について行った。少し前までは遺伝子増幅法というとPCR法くらいしかなかったが、現在ではいろいろな原理による遺伝子増幅法が各社から出されている。栄研化学鰍フLAMP法、東ソー鰍フTRC法、ビオメリュー鰍フBOOM抽出法とNASBA法、ベクトンディッキンソン鰍フSDA法、ロシュダイアグノスティックス鰍フTaqMan PCR法について原理や特徴などについて各社担当者より説明していただいた。いずれの方法も従来のPCR法と比べ短時間で結果が得られ、操作法も意外に簡単そうであるためその気になればどこの検査室でも行えるように思えた。今後は各社とも測定項目の品揃えがポイントになると思われる。

なお 今回は、参加者の中から埼玉医科大学病院 遺伝子検査室の松岡さんに講習会のレポートをお願いした。

記 飯田眞佐栄

夏季集中研修会 -新しい遺伝子検査について-

今回は,遺伝子増幅技術を持つ5社の最新情報を聞く機会を得たので簡単に報告します.

遺伝子検査は今から十数年前,新しい臨床検査を切り開く分野として脚光を浴びた.遺伝子検査の進歩は目覚しく,感染症のように体外診断薬としてキット化されているものと体外診断薬として認可が得られていない研究段階のものまで,項目は拡大する一方である.確かに,感染症においてC型肝炎ウイルス,B型肝炎ウイルス,結核(マイコバクテリウム)の遺伝子検査が診療においてこれほど用いられることは想像できなかったのではないだろうか.

 しかし近年,検査部は,検査部内の経費と人員削減による縮小化の波にのまれ,遺伝子検査の発展は停滞したかに見えた.しかし,ここ数年ポストゲノムとしてのオーダーメイド医療への期待が高まり,遺伝子検査は再び注目されるようになってきた.そのオーダーメイド医療に備えSNPs(スニップス)研究が盛んに行われており,今回の研修会においても研究用試薬として数社がSNPsの試薬を紹介した.その中で各種薬剤代謝酵素チロクロムP450(CYP)多型性が個々の薬剤での反応性,副作用予測法として期待されている内容の話があった.今後個々の治療薬に有効なSNPs が明らかとなれば,これまで感染症を中心としてきた遺伝子検査があらゆる疾患に適応されることが期待される.

今回の講演内容で様々な遺伝子増幅方法が紹介され,技術の進歩と共にPCR法一辺倒ではなくなりそうである.細菌検査と遺伝子に関する記述が少なくなってしまったが,比較的安定なDNA(cDNA)を調べるのか,死菌は拾わないが壊れやすいRNAを調べるのかなどを含め,我々ユーザは悩みが増えそうである.

講演を聴きながら,今後の課題として核酸抽出方法の標準化,内部・外部精度管理システムの確立などが改めて必要と考えさせられた講演であった.

                     埼玉医科大学病院 中央検査部 遺伝子検査室  松岡 優

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