《研修内容の概要・感想など》
本年度最初の研修会で、「確認して役立てよう!」を主題として、「2018年CLSI
ドキュメントの変更点」と「平成29年度埼玉県・埼玉県医師会臨床検査精度管理事業
報告」の2つのテーマについて各講師に講演していただいた。
2018年CLSIドキュメントの主な変更点では、Clostridium difficileのVCMに対する
疫学的カットオフ値の設定について解説された。また菌種名が、Clostridioides
difficileに変更になり、他にもPropionibacterium acnesがCutibacterium acnes、
Enterobacter aerogenesがKlebsiella aerogenesなど日常的に検出頻度の高い菌種名
が変更となった。臨床側へ報告する際には、事前に十分な説明が必要であり、自施設
でどのように対応するか考慮しておく必要がある。またカルバペネマーゼの確認試験
としてmCIMの他にeCIMが追加となり、検査方法の説明と判定方法について解説された。
セリン型βラクタマーゼとメタロ型ラクタマーゼを鑑別する際に有用な検査であるが、
臨床的または感染対策的に有用な検査なのかは疑問があり、総合的に判断する必要が
ある。他にも、Staphylococcus schleiferiのMPIPCのブレイクポイントの変更につい
ての説明があった。CLSIドキュメントは毎年更新されているため、新しい知識を得て
日々の検査に役立てることが重要と感じた。
精度管理事業報告と解説では、フォト(バーチャルスライド含む)、同定、薬剤感
受性、グラム染色の結果と評価方法について説明していただいた。フォトは、全ての
項目で評価Aが95%以上であった。バーチャルスライドは、初めて抗酸菌について出
題したが、グラム染色の判定基準で回答している施設が15施設あったため、コード表
の記載について工夫すると報告があった。同定では、評価Aが97.5%以上と極めて良
好な結果であった。薬剤感受性検査は、H. influenzaeのCTRXで評価Aが83.8%に留
まった。耐性菌の基準やディスク拡散法の判定方法や日々の精度管理について解説さ
れた。また、発育の悪い菌を出題する際の検体準備について課題があった。グラム染
色は、極めて良好な結果であった。
各設問において評価が悪かった施設は、問題点を見直し、改善していくことが重要
である。
平成30年5月3日
文責:渡辺 典之
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