生涯教育レポート 1
      
        



     日 時 : 2025年425   1900分〜2030

     会 場 : ソニックシティビル603号室         点数:専門教科−20点


     主 題 : 令和6年度埼玉県・埼玉県医師会臨床検査精度管理事業報告と解説(微生物
          および2025CLSIドキュメントの変更点について)





     講 師 :伊吹 早紀
         (地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立小児医療センター)
          大塚聖也
         (埼玉医科大学総合医療センター中央検査部)
          渡辺駿介
         (深谷赤十字病院) 
          伊波嵩之
         (さいたま赤十字病院) 

    参加人数 : 40名


     出席した研究班班員 :小棚雅寛、酒井利育、今井芙美、岸井こずゑ、
             佐々木真一、伊波嵩之、渡辺駿介、大塚聖也、山本早紀


    

    《研修内容の概要・感想など》

今年度最初の研修会を「令和6年度埼玉県・埼玉県医師会臨床検査精度管理事業報告と解説(微生物)および2025CLSIドキュメントの変更点について」をテーマに開催した。精度管理事業については各担当より結果報告と解説があった。2025CLSIドキュメントの変更点については横山氏を講師に解説があった。
 フォトサーベイでは、Salmonella Enteritidisを出題した。本菌は、国内におけるサルモネラ腸炎の原因菌であり、最も検出頻度の高い菌種である。Salmonella enterica subsp. entericaの中では、三類感染症に指定されているS. TyphiS. Paratyphi Aとの鑑別が特に重要であるが、生化学的性状においては、硫化水素産生の有無と、リジン脱炭酸能、クエン酸塩利用能により鑑別することができる。
 同定検査では、
Edwardsiella tardaを出題した。本菌は、肝硬変や糖尿病などの免疫能低下者では血流感染症や重症型壊死性筋膜炎に至ることがあるので必ず同定できるようにしていただきたい。
 薬剤感受性検査では、
Haemophilus influenzae ATCC49247BLNAR)を出題した。BLNARβ-ラクタマーゼ陰性Ampicilin耐性H. influenzaeの略称であり、判定にはβ-ラクタマーゼ試験の結果を確認する必要がある。耐性菌判定方法や耐性菌の判定を「実施せず」と回答した施設は、耐性菌判定まで実施できる検査体制を整えていただきたい。
 グラム染色では、
Candida albicansを出題した。細菌と真菌では使用する抗菌薬が異なるためグラム染色の誤報告は治療の失敗や不適切な抗菌薬使用に繋がるため必ず判定できるようにしていただきたい。
 
2025CLSIドキュメントの主な変更点は、
Burkholderia cepacia complexの判定基準の全削除、Acinetobacter spp.のドキシサイクリンおよびテトラサイクリンのブレイクポイント削除とミノサイクリンブレイクポイント改訂などがあった。さらに、S. aureus complex以外のブドウ球菌を指すSOSA Staphylococci other than Staphylococcus aureus)が新規用語として登場したと紹介があった。CLSIドキュメントはCLSIホームページから無料で閲覧することができる。詳細な変更点についてホームページからご確認いただきたい。

文責小棚 雅寛

 



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