生涯教育レポート 3
      
        



     日 時 : 2024年913   1900分〜2030

     会 場 : ソニックシティビル604号室         点数:専門教科−20点


     主 題 : 感染症診断における微生物検査の有用性について




     講 師 :川村 隆之(埼玉医科大学総合医療センター)


      





    参加人数 : 31名


     出席した研究班班員 :小棚雅寛、酒井利育、岸井こずゑ、佐々木真一
             伊波嵩之、渡辺駿介、大塚聖也、山本早紀


    

    《研修内容の概要・感想など》

 今回の研修会は「感染症診断における微生物検査の有用性について」との題で、川村医師を講師に現地にて開催した。

 ASTAntimicrobial Stewardship Team)は医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師などの多職種で構成される抗菌薬適正使用支援チームである。ASTの目的は特定抗菌薬の使用を減らすことではなく、感染症診療を適正化することが本来目指す姿であるとの話があった。

 感染症診療適正化の3つの柱として、診断能力・抗菌薬の選択能力・フォローアップ能力について解説があった。診断能力については、微生物学的検査の誤った解釈として、カテーテル関連血流感染症を例に解説があった。検体から検出された微生物は、必ずしも感染症の原因菌とはなりえないことに注意が必要である。抗菌薬の選択能力については、原因微生物を正しく同定し、患者の重症度に合わせて適正な抗菌薬を選択することが重要であるとの解説があった。特に、グラム染色による迅速鑑別は、抗菌薬の初期選択に有用であり、アンチバイオグラムを活用することで抗菌薬適正使用に繋がるとのことであった。また、治療の最適化には薬剤感受性結果が必須であり、併せて薬剤耐性菌についての助言は院内感染対策においても重要であるとのことであった。フォローアップ能力については、抗菌薬投与後の患者状態の変化について解説があった。抗菌薬投与後に症状が悪化または不変の場合には、広域抗菌薬への変更(escalation)や合併症の有無を確認する必要がある。また、菌血症や感染性心内膜炎などでは、治療効果判定に培養フォローが行われるが、不適切な培養検査判定は不必要な抗菌薬使用をもたらすことがあり注意が必要とのことであった。

AST活動は感染症診療を最適化するための活動であるため、正しい感染症診療の構成要素を理解し、微生物学的検査の正しい解釈を身に付ける必要がある。本研修会の内容を今後のAST活動や日々の業務に活かしていただけると幸いである。

 

 

      

                                文責:渡辺駿介

 



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