生涯教育レポート 6
      
        



     日 時 : 2024年222   1900分〜2030

     会 場 : 大宮ソニックシティ905号室         点数:専門教科−20点


     主 題 :AMR対策アクションプラン2023と抗菌薬適正使用に貢献するDS

    講 師 :横山 僚(シスメックス株式会社          


    参加人数 : 32名


     出席した研究班班員 :小棚雅寛、酒井利育、岸井こずゑ、
             今井芙美、
伊波嵩之、大塚聖也


    

    《研修内容の概要・感想など》

  2023年度最後の研修会は「AMR対策アクションプラン2023と抗菌薬適正使用に貢献するDS」というテーマにて開催した。
 はじめに国内でのAMR対策アクションプランの概要や策定後の動向、成果指標について解説があった。AMR「薬剤耐性:Antimicrobial Resistance」とは抗菌薬不適切使用による薬剤耐性菌の増加、新しい抗菌薬の開発の減少などを背景に国際社会でも重要な課題として取り上げられている。2015年にWHOにて薬剤耐性に関する国際行動計画が採択され、日本では2016年にAMR対策アクションプランが決定されている。
 その中の一つである2016-2020年の成果指標について抗菌薬の使用量が減少傾向にあるが、コロナ禍の影響が考えられ今後の動向が重要となるとの見解が示された。
 続いてAMR対策アクションプランの各分野における取り組みや現状について解説があった。
 目標1については一般の方々も薬剤耐性について知ることが重要であり、現在はSNSやメディア、キャラクターとのコラボレーションなどで情報発信に取り組んでいると報告された。私たちも正しい情報を周知する活動に積極的に関わっていくことが重要であると考えられる。
 目標2ではアンチバイオグラムの活用について追記があったと報告された。アンチバイオグラムとは施設内で分離された細菌の薬剤感受性率を表形式した図であり、経験的治療の抗菌薬選択や感染対策で活用されている。施設内の結果を基に作成されるため、日々の正確な検査の実施が重要である。 目標4は抗微生物薬適正使用の手引きとSelective Reportingについての解説であった。Selective Reportingとは報告する薬剤感受性結果を選択することで、適切な抗菌薬の使用を促す手法の一つである。Selective Reportingに関する記述や報告もあるため、今後の情報収集や検討が大切であると考えられる。
 
目標5は抗菌薬適正使用の指標であるAWaRe分類と現状についての解説であった。AWaRe分類は抗菌薬を、第一・第二選択薬の抗菌薬(Access)、制限すべき抗菌薬(Watch)、最終手段として使用する抗菌薬(Reserve)の3つのグループに分けたものであり、Accessに分類される抗菌薬の使用割合を上げることが重要である。日本国内のAccess使用割合は増加しているが他国と比較すると低い使用割合となっているため、2023-2027年の成果指標でもWatchに分類される抗菌薬の使用量減少が目標とされていると解説があった。
 最後に診療報酬改定についての解説があった。感染防止対策加算の改定や診療所の感染対策参画を推進するための評価設立から、令和6年度の改定案である介護保険施設等の協力体制の新設、外来感染対策向上加算やサーベイランス強化加算の見直し等について報告された。
 AMRの問題は避けて通ることのできない課題であり、ICTASTなどで院内の感染対策に携わる技師も多くいると思われる。また感染対策向上加算に検査技師が含まれる基準もあるためAMRや感染対策のみならず病院の大切な収入源にも関わっている。今回の研修会が参加した方のAMRや感染対策に関する知識取得、業務や院内活動に関する貢献への一助となれば幸いである。

提出日:202438

文責:伊波 嵩之

 



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