生涯教育レポート 3
      
        



     日 時 : 2023年721   1830分〜1940

     会 場 : web開催         点数:専門教科−20点


     主 題 : 感染症治療の実際 〜感染症委が求める微生物検査〜




     講 師 :今井 一男(埼玉医科大学病院)
         
               


    参加人数 : 136名


     出席した研究班班員 :小棚雅寛、酒井利育、今井芙美
             伊波嵩之、渡辺駿介、大塚聖也


    

    《研修内容の概要・感想など》

 今回は、「感染症治療の実際 〜感染症医が求める微生物検査〜」をテーマとし、今井医師を講師にWebにて開催した。
 はじめに、感染症診療における総論と医師の考え方について解説があった。感染症治療の抗菌薬は、最大限の治療効果を発揮し、副作用や耐性菌出現、およびコラテラル・ダメージが最小限に抑えられるものが選択される。コラテラル・ダメージとは抗菌薬が標的菌以外にも作用することで正常な細菌叢が破綻することであり、Clostridioides difficile腸炎の発症や耐性菌出現リスクの増加に影響するとのことであった。感染症診療における医師の考え方として、どこに感染しているのか(感染部位)、何の微生物が感染しているのか(微生物)、最適な治療薬はなにか(抗菌薬)、これらの3要素が考慮される。感染部位の推定や検出された微生物から選択される抗菌薬について、症例をもとに解説があった。
 次に、微生物検査の変遷と感染症診療スタイルのアップデートについて解説があった。質量分析法や遺伝子検査の導入で微生物検査の迅速化が進んだことにより、感染症診療のスタイルも変わってきたとの話があった。質量分析法と遺伝子検査について、その有用性と導入におけるメリットおよびデメリットについて解説があった。
 最後に、医師が微生物検査および検査技師に期待していることとして、迅速な菌種同定と薬剤感受性検査、微生物検査に関する幅広い知識などが挙げられた。また、検査結果だけではなく患者の臨床経過にも興味を持っていただきたいとの話があった。
 臨床経過を追うことは抗菌薬や感染症診療に関する知識の習得に直結する。それに加え、次に検体が提出された際、臨床が何を目的としているかを読み解き検査結果に反映させることでより良い結果報告に繋がると思われる。今回の研修会内容を日常の業務に活かしていただけると幸いである。

文責渡辺 駿介

 



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