埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
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血 液◎佐藤 麻央1)、佐々木 志穂1)、窪田 勝己1)、三志奈 賢司1)、松岡 優1)、大崎 篤史2)、脇本 直樹2)、前田 卓哉1)◎布施 真由1)、植原 明日香1)、堀内 雄太1)、柿沼 智史1)38.4 %).CD13,CD33,CD34,HLA-DR陽性,CD2陰性,CD117 10 %未満.白血病キメラ遺伝子・.MPN遺伝子:検出せず. <病理>CD25染色腫瘍細胞陰性,トルイジンブルー染色異染性認めず. 染色体検査:20細胞中17細胞に多数の異常を認める.電子顕微鏡学的検査:未実施【まとめ】好酸球,好塩基球の増多が認められたがmajor BCR-ABLの未検出より慢性骨髄性白血病は否定された.CD2,CD25陰性,CD117 10 %未満より肥満細胞白血病も否定された.骨髄において芽球20%未満であったが,好塩基球の増多,CD11b,CD123陽性,WT1mRNAの高値等によりABLと診断された.今回の症例では,好塩基球の数が分析機分画と目視分画で乖離が見られた.スキャッタグラムを確認すると,好塩基球領域を正しく捉えていなかった.分析機分画に異常があった際にはスキャッタグラムの確認,目視による確認は重要であると再認識した.◎布施 真由1)、植原 明日香1)、堀内 雄太1)、柿沼 智史1)川口市立医療センター1)川口市立医療センター1)◎佐藤 麻央1)、佐々木 志穂1)、窪田 勝己1)、三志奈 賢司1)、松岡 優1)、大崎 篤史2)、脇本 直樹2)、前田 卓哉1)埼玉医科大学病院 中央検査部1)、埼玉医科大学病院 血液内科2)埼玉医科大学病院 中央検査部1)、埼玉医科大学病院 血液内科2)高高カカルルシシウウムム血血症症をを呈呈ししたた5qq‐症症候候群群のの一一症症例例当当院院でで経経験験ししたた急急性性好好塩塩基基球球性性白白血血病病のの一一症症例例連絡先 048(287)2525(内線 2191)連絡先:049(276)1436単独5番染色体長腕欠失を伴う骨髄異形成症候群(以下:5q-症候群)は、女性に好発し、大球性貧血、血小板正常~増加、巨核球の異形成を特徴とする。今回は貧血と高Ca血症を呈し、最終的に5q-症候群と診断された一症例を経験したので報告する。症例は、7X歳男性、令和X年1月X日に食思不振、体動困難のため搬送された。初診時の血液検査により、WBC 4.1×103/μL、RBC 1.63×106/μL、Hb 7.0g/dL、PLT 178×103/μL、赤血球凝集(+)、LDH 326U/L、CRP 7.81mg/dL、Ca 18.8 mg/dL、であった。貧血、高Ca血症の精査の為入院となった。Ca高値であったことから成人T細胞性白血病(以下:ATL)が疑われたが、末梢血において異常リンパ球も認められず、HTLV-1抗体陰性、PTHrP(副甲状腺ホルモン関連ペプチド)1.0未満であった。また、赤血球凝集が認められていたため、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)も疑われたが、IgM型M蛋白の上昇は認められなかった。高Ca血症の治療が進められていたが、3週間後の採血で WBC 1.5×103/μL、【はじめに】急性好塩基球性白血病(ABL)は好塩基球への分化傾向を示す急性骨髄性白血病(AML)と定義され,AMLの1%以下と非常にまれな疾患である.他のAMLと同様の症状に加えて,臓器腫大,高ヒスタミン血症に関連した皮疹,胃腸障害などを呈することもある.今回,ABLと診断された症例を経験したので報告する.【症例】78歳 男性 2023年8月から倦怠感などを発症した.同年10月健康診断の血液検査で貧血(Hb8.6 g/dL)を指摘された.再検査ではHb6.3 g/dLまで低下しており,精査目的で当院に紹介受診された.【検査所見】<末梢血>WBC 31.13 ×103/μL, 分析機分画:単球 5.6 %,好塩基球 9.9 %,好中球,好酸球,リンパ球 測定不能,目視分画:芽球8.0 %,骨髄球4.0 %,桿状核好中球 8.0 %,分葉核好中球7.0 %,好酸球 5.0 %,好塩基球49.0 %,単球6.0 %,リンパ球13.0 %, RBC1.66 ×106/μL,Hb6.3 g/dL,PLT 24 ×103/μL,LDH697 U/L,WT1mRNA89000 copies/μgRNA,CD11b, CD123陽性,CD25陰性.<骨髄>芽球7.7 %,好酸球16.3%(幼若10.1 %,成熟6.2 %),好塩基球47.2 %(幼若8.8 %,成熟RBC 2.09×106/μL、Hb 6.7g/dL、PLT 174×103/μL、網赤血球の低下より造血不良が指摘された。後日、骨髄検査を実施し、骨髄スメアにて単核の巨核球、顆粒球系細胞の脱顆粒を認めた為、骨髄異形成症候群(5q-症候群)が疑われ、染色体検査の結果、5q-症候群と診断された。 今回単核巨核球が特徴とされる5q-症候群を経験した。高Ca血症の原因はPTH intactの上昇より、副甲状腺の異常によるものと考えられた。5q-症候群との直接的な関与は否定的であったが、高Ca血症の起こりうる疾患として、多発性骨髄腫やATLなどの血液疾患も考えられることから、最終的な診断に至るまでの時間を要することとなった。本症例を通して、広い視野を持って検査値や細胞形態を見ていくことの重要性を改めて認識させられる貴重な経験となった。97高カルシウム血症を呈した5q‐症候群の一症例当院で経験した急性好塩基球性白血病の一症例血-9(13:25~13:35)血-10(13:35~13:45)血液EntryNo. 38血液EntryNo. 67

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