血 液◎今井 遥也1)、田添 咲良1)、島村 明花1)、山口 航1)◎石原 有輝登1)、高栁 妃菜乃1)、森永 菜央1)、島村 明花1)、山口 航1)好好中中球球のの空空胞胞形形成成にによよるる敗敗血血症症重重症症度度判判定定のの有有用用性性全全血血をを用用いいたた新新ししいい凝凝固固検検査査法法のの検検討討連絡先:049(298)3114連絡先:049(298)3114◎今井 遥也1)、田添 咲良1)、島村 明花1)、山口 航1)日本医療科学大学1)日本医療科学大学1)◎石原 有輝登1)、高栁 妃菜乃1)、森永 菜央1)、島村 明花1)、山口 航1)日本医療科学大学1)日本医療科学大学1)【はじめに】好中球の細胞質に見られる形態変化には空胞変性,中毒性顆粒や脱顆粒などがある.空胞変性は従来から敗血症の重症度を反映する所見として重要視されているものの,退行性変化とされているため「血球形態検査に関する勧告法」の白血球形態異常の項目に記載されていない.本研究では,臨床の場で利用できる空胞変性の標準化を目指し,敗血症の病態と空胞形成の関係性について検討した。【対象】同意を得られた本学学生3名を健常者としてEDTA採血管に1本ずつ採血した.敗血症患者標本は2施設から頂いた8検体を用いた.【方法】敗血症を試験管内で疑似的に再現するため,大腸菌DH5αコンピテントセルを全血と混合した.インキュベートした検体を用いて薄層塗抹標本を作製し,普通染色を実施した.空胞率は好中球100個中の空胞を持つ細胞数から求めた.空胞数の分布は空胞をもつ好中球について空胞数を1~5個,6~10個,11個以上に分けてカウントした.【結果】DH5α添加後,敗血症誘導検体は時間経過と共に空胞率は増加し,空胞数の多い好中球の割合も増加した.【はじめに】 臨床現場で実施されている凝固検査では血漿が用いられ,検査前に遠心分離操作が必要である.しかし,遠心に時間がかかることや遠心機がないと測定できないなどの問題点がある.そこで全血測定でのプロトロンビン時間(Prothrombin Time:PT)と活性化部分トロンボプラスチン時間(Activated Partial Thromboplastin Time:APTT)が,血漿を用いる凝固検査の代替検査となり得るかを検討し,救命救急部門や在宅医療現場などですぐに結果がわかる環境を整えることを目的とし本研究を行った.【対象】 本学臨床検査学科の4年生に本研究についての口頭説明を行い,同意を得られた15名の学生を対象者とした.【方法】 3.2%クエン酸Na採血管(2 mL×4本)の採血を行い,全血と血漿を用いてKC4デルタ(DSメディカル株式会社)にてPTとAPTTの測定を行った.それぞれ測定にかかった時間を計測し,測定結果から相関係数を求めた.また,採血してから4時間後までのPTとAPTTを測定し安定性を検討した.患者検体では全検体で空胞率が50%を超え,空胞数分布では空胞数が1~5個の割合が多く見られた検体と6~10個,11個以上の割合が多く見られた検体があった.【考察】全血にDH5αを加えて観察された好中球と敗血症患者の好中球の形態が類似していることから,疑似的に敗血症を誘導できたと考えられた.この敗血症誘導検体において,時間経過に伴う重症化は,空胞率の上昇と空胞数の多い細胞の増加を示した.敗血症患者の全検体で空胞率は高く,敗血症誘導検体の結果と類似していたものの,標本作製までに時間がかかったことによる退行性変化の影響を考慮して判断する必要があると考えられ,今後症例を増やして引き続き検討する.また,敗血症患者で空胞数が6~10個,11個以上の割合が多く見られた検体は,重症化している可能性があり,プロカルシトニンとの相関関係を今後調べていきたい.【結果】 採血から測定までにかかった時間は全血の場合,PTで平均2分47秒,APTTで平均5分3秒であった.血漿の場合はPTで平均20分24秒,APTTで平均26分59秒であった.血漿を用いたときの凝固時間と全血を用いたときの凝固時間の相関係数はPTが0.75,APTTは0.33となった.検体の安定性を確認するために標準偏差の平均を求めたところ全血のPTで0.65,APTTで2.33,血漿のPTで0.55,APTTで1.02となった.【考察】 全血を用いたPTでは,測定までにかかる時間が短縮でき,血漿同様に4時間後までは検体の安定性がみられ,測定結果に強い正の相関関係が認められた.以上のことから,現在の血漿を用いたPTの代替検査となり得る可能性があることが示唆された.APTTでは全血での安定性が認められず相関関係が弱いことから,今後別の実施方法の検討が必要である.PTではベッドサイドでの活用が期待でき,今後は患者疑似検体や患者検体を用いた検討を行っていきたい.95好中球の空胞形成による敗血症重症度判定の有用性全血を用いた新しい凝固検査法の検討血液EntryNo. 85血液EntryNo. 86血-5(11:10~11:20)血-6(11:20~11:30)
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