埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
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◎平澤 茉名人1)、中山 智史1)、山本 由貴子1)、伏見 真也1)、福島 明音1)、松熊 晋1)血 液◎小池 悠太1)、阿部 祥太、島村 明花1)、山口 航1)Welchのt検定で解析を行った.【結果】Ag-NORsの面積およびAg-NORsの面積が核面積に占める割合(図3)において,敗血症患者で有意に増加を認めた(p<0.05).【考察】Ag-NORsで染色される核小体形成部分はrRNA遺伝子を含む染色体領域であり,蛋白合成能と細胞増殖能を表す指標とされている.Ag-NORsの数の増加とともに,Ag-NORsおよびAg-NORsの面積が核面積に占める割合は患者検体で有意に増加し,生体防御反応として蛋白合成能EDTA依依存存性性偽偽性性血血小小板板減減少少症症ににおおけけるるPLT-Fのの有有用用性性連絡先:04-2995-1511(3214)【はじめに】EDTA依存性偽性血小板減少症(EDP)はEDTAにより血小板凝集が起こり,自動血球計数装置で血小板の偽低値を呈する.今回,当院検査部に新規導入された多項目自動血球分析装置XR-9000(シスメックス)で新たに測定可能となったPLT-Fチャンネル(蛍光色素法)におけるEDP検体測定値について検討を加え,報告する.【対象】2024年3月から7月までの間,EDPが確定あるいは強く疑われた患者,39検体(患者20名)を使用した.測定にはXR-9000(シスメックス)のPLT-I(電気抵抗法),PLT-O(フローサイトメトリー法),PLT-F(蛍光色素法)で比較を実施した.【検討①】採血直後にEDTA及びクエン酸Na添加採血管を用いてPLT-I,PLT-O,PLT-Fの各チャンネルを測定.平均値,最大値,最小値を算出.Kruskal-Wallis検定を用いて、層別化を行い統計的評価.有意水準は0.05未満とした.【検討②】採血直後,1時間後,2時間後で新規でEDPが疑われた5症例でEDTA及びクエン酸Na添加採血管を用いてPLT-I,PLT-O,PLT-Fを比較した. 【はじめに】 敗血症などの重篤な臓器障害を起こす疾患では、核を細胞外へ放出し病原細菌を捕らえる好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)と呼ばれる反応が起こる.このNETs形成時に核小体が変化し,敗血症の早期発見につながる可能性を検討するため,核小体形成部位(nucleolar organizer regions:NORs)を特異的に染色するAg-NORs染色を行った.【対象】 本学教員1名と4年生の学生3名を対象とし、EDTA採血管に1本採血後、薄層塗抹標本を作製した.敗血症患者の薄層塗抹標本は2施設から頂いた5名分解析した.【方法】 普通染色を実施後、50%エタノールにて浸漬して脱色し,Ag-NORs染色を行った.1000倍で観察を行い,核小体が明瞭に観察できる好中球を10個選択し、1標本につき10枚写真を撮った.解析方法は画像解析ソフト“Image J”を用いてAg-NORsの数,Ag-NORsの面積および核面積を算出した.得られた結果を用いてAg-NORsの面積ならびにAg-NORsの面積が核面積に占める割合の分析を行い,【結果】検討①EDTA添加採血管の血小板数(×103/μL)はPLT-I:平均値:119(最小値~最大値:5~251).PLT-O:144(26~324).PLT-F:167(37~339)であった.PLT-IとPLT-O,PLT-OとPLT-Fでは有意差は認め.PLT-IとPLT-Fで有意差を認めた.クエン酸Na添加採血管では,各チャンネル間で有意差を認めなかった.検討②EDTA及びクエン酸Na添加採血管ともに採血直後ではPLT-FがPLT-I,PLT-Oと比べ高値傾向を認めたが,時間経過と共にEDTA添加採血管でのみ低値傾向となりPLT-I,PLT-Oと同様に値の収束が認められた.【考察】採血直後でのPLT-FはPLT-Iと比較し,平均値は40%高値であり,EDPでの測定の有用性が認められた.しかし,時間経過とともにPLT-I,PLT-Oと同様に測定値の低下が認められた.EDPにおけるPLT-Fは採血直後でのみ限定的な有用性があると考えられた.【まとめ】PLT-Fは、PLT-Iよりも採血直後ではEDPの影響を受けにくいと考えられた.が一時的に更新したのではないかと考えた.この形態変化がNETs形成と関係しているかは定かではなく,今後さらなる検討が必要である.また,本研究において使用した画像解析ソフト“Image J”は,染色された好中球をモノクロ加工し,その濃淡によってAg-NORsの数や面積を算出している.染色の強度や手技によって測定結果にばらつきが認められ、生活活安定した測定結果を出せるよう一定の操作で実施することも重要である.◎平澤 茉名人1)、中山 智史1)、山本 由貴子1)、伏見 真也1)、福島 明音1)、松熊 晋1)防衛医科大学校病院1)防衛医科大学校病院1)◎小池 悠太1)、阿部 祥太1)、島村 明花1)、山口 航1)日本医療科学大学1)日本医療科学大学1)94好好中中球球細細胞胞外外トトララッッププ形形成成時時ににおおけけるるAg-NORs染染色色にに関関すするる研研究究連絡先:049(298)3114EDTA依存性偽性血小板減少症におけるPLT-Fの有用性血液EntryNo. 70血液EntryNo. 84血-3(10:50~11:00)血-4(11:00~11:10)好中球細胞外トラップ形成時におけるAg-NORs染色に関する研究

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