埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
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◎小室 汰樹1)、佐藤 祥子1)、落合 仁美1)、下元 怜美1)、辻 智恵子1)、加藤 鉄平1)、猪浦 一人1)臨床化学◎畠山 玲奈1)、小曽根 江美1)、相田 裕人1)、塚原 晃1)、井野 純2)L-FABPととAKI重重症症度度のの関関係係性性ににつついいててHbA1c測測定定時時にに異異常常ククロロママトトパパタターーンンをを示示ししたた2症症例例◎畠山 玲奈1)、小曽根 江美1)、相田 裕人1)、塚原 晃1)、井野 純2)戸田中央メディカルケアグループ 戸田中央総合病院 臨床検査科1)、戸田中央メディカルケアグループ 戸田中央総合病院 腎臓戸田中央メディカルケアグループ 戸田中央総合病院 臨床検査科1)、戸田中央メディカルケアグループ 戸田中央総合病院 腎臓内科2)内科2)◎小室 汰樹1)、佐藤 祥子1)、落合 仁美1)、下元 怜美1)、辻 智恵子1)、加藤 鉄平1)、猪浦 一人1)埼玉県済生会加須病院1)埼玉県済生会加須病院1)92【はじめに】L型脂肪酸結合蛋白(以下L-FABP)は,ヒトの近位尿細管上皮細胞に発現している14KDaの低分子蛋白である.近位尿細管が虚血や酸化ストレスなどの負荷を受けると発現が亢進し,尿中への排出が増加する. L-FABPは急性腎障害(以下AKI)発症前から高値を示すことが知られているが,AKI重症度との関係性は報告されていない.そこで今回,L-FABPとAKI重症度の関係性を調査した.【対象】2017年4月1日から2022年10月1日までに感染症と脱水で入院加療を要した患者のうち,AKIを併発しL-FABPを測定した男女48名(31歳~95歳).【方法】AKIステージ3(重症)群,AKIステージ2〜1(中等症〜軽症)群に分け, L-FABP値(AKI発症時)の比較検討を行った.また,L-FABP値と下記①〜③との相関性も求めた.①eGFR(AKI発症時),② ⊿AKI(AKI発症前と発症時のeGFRの差),③治療介入後⊿AKI(AKI発症前と発症1週間後eGFRの差).* L-FABP単位:μg/g・CRE【結果】AKI重症群のL-FABP値(平均67.8)は,AKI中等症〜軽症群(平均20.7)に比べ有意に高値であった(p=0.04).【はじめに】HbA1cは血糖コントロールの指標として有用であり,糖尿病の診断や経過観察に活用されている.しかし,赤血球やHbの異常により,HbA1cが指標になり得ないことがある.今回,異常なクロマトパターンを示す症例を経験したので報告する.【機器・方法】測定機器は,HPLC法を測定原理とするADAMS A1c HA-8181・HA-8182(アークレイ株式会社)を用いた.高分離分析による精査をメーカーに依頼した.【症例1】30歳代男性.呼吸苦,手足のしびれで当院救急外来受診.Hb 14.2g/dL,RBC 5.73×106/μL,Ht 42.3%,MCV 73.8fL, UN 17mg/dL,Cre 0.79mg/dL,Glu 96mg/dL,HbA1cは4.7%と測定されたが, クロマトパターンでは複数ピークを示した.高分離分析の結果,HbA0の後方に異常ピークが見られた.【症例2】70歳代男性.発熱,咳嗽,鼻出血,体動困難により,当院救急外来受診.Hb 10.4g/dL,RBC 3.19×106/μL,Ht 31.8%,MCV 99.7fL,UN 23mg/dL,Cre 0.83mg/dL,Glu 126mg/dL, HbA1cはクロマトパターンで複数ピークを示し,測定不能であった.高分離分析の結果,HbA1cとHbA0の間に異常ピーまたL-FABP値と②⊿AKIには正の相関を認めた(r=0.41)が,①AKI発症時eGFR(r=0.12),③治療介入後⊿AKI(r=0.10)には相関関係は見られなかった.【考察】今回の検討により,感染症と脱水を契機としたAKIでは,L-FABP値が高値であるほどAKIが重症化しやすくなっていると考えられ,L-FABP値がAKI重症度と関係している可能性が示唆された.①,②の結果から,L-FABP値は,「腎機能」ではなく「腎機能の変化」と相関関係にあると考えられた.また,③の結果に関しては, AKI発症時のL-FABP値をもとにしてAKI発症後の臨床経過を予測する事は難しいと考えられた.この理由として,契機となった感染症の重症度,治療介入によりeGFRとL-FABP値が変動したためと考えられた.【結語】今回は,「AKI発症時」のL-FABP値で調査を行ったが,今後「AKI発症前」の値も調査することで,L-FABP値がAKIの「発症リスク」だけでなく「重症化リスク」にも関係があるか検討を重ねていきたい.連絡先:048(442)1111クが見られた.【考察】症例1,2ともに,異常ピークが見られ,変異Hbが疑われた.変異Hb症ではHbA産生量の減少等により,HbA1c値が平均血糖値を反映しないため,GAや1,5-AG等他の血糖コントロール指標を使用することが望ましいと考えられる.症例2では,前回測定時はHbA1c値4.2%と結果が得られた.今回は,「複数ピークあり」のエラーで測定できなかったが,メーカーによる同機種でのHbA1c値は4.04%であった.クロマトパターンに大きな差は無かったため,結果判定の境界域であったと思われ,前回測定時に血糖値やクロマトパターンを確認することで異常が検出できた可能性が示唆された.【まとめ】今回,HPLC法のHbA1c測定において異常クロマトパターンを示す症例を経験した.HPLC法はHbA1c以外のHb情報も得られるため,クロマトパターンを確認することで,変異Hbの発見や,測定不能検体の原因を解明することができる.今回の症例から,クロマトパターンの重要性を再認識した.          連絡先:0480-53-3930(直通)HbA1c測定時に異常クロマトパターンを示した2症例L-FABPとAKI重症度の関係性について臨床化学EntryNo. 47臨床化学EntryNo. 61化-8(13:15~13:25)化-9(13:25~13:35)

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