◎大地 康文1)、鈴木 朋代1)、谷 美苗1)、矢作 友花1)、大嶋 利奈1)、堀内 文美1)、齋藤 美由紀1)、長澤 英一郎1)臨床化学(94.0%)・Mg(94.8%)が低下し,他の項目は±1%以内の変動であった.最も影響のあったCaについてリン酸塩の定性判定別評価を行ったところ,(1+):87.1%,(2+):76.1%,(3+):53.3%となり,リン酸塩の析出量に比例して低下する傾向がみられたが,各相対率の最大値と最小値は(1+):103.4%~31.9%,(2+):98.6%~36.9%,(3+):80.8%~3.8%となり,各定性判定内で影響の幅が大きい結果となった.さらに尿の混濁判定別評価を行ったところ,(-):94.0%,(1+):72.4%,(2+):51.7%で,各相対率の最大値と最小値は(-):103.4%~81.6%,(1+):93.3%~31.9%,(2+):71.1%~3.8%となり,混濁(-)と比較して混濁(1+)と(2+)のリン酸塩析出尿では遠心処理による影響やその幅が大きい結果と~当施設の生化学自動分析装置での血清情報(HIL)判定~◎仁科 太希1)、岡倉 勇太1)、横山 静織1)、小此木 朋子1)、青木 菜美子1)尿尿化化学学検検査査ににおおけけるる前前処処理理方方法法のの影影響響黄黄疸疸検検体体ににおおけけるる乳乳びび誤誤判判定定のの要要因因ににつついいてて連絡先:048-873-4111(内線2824)【はじめに】尿化学検査における混濁尿の前処理方法として,遠心沈澱した上清の使用は適さず,37℃・10分間加温後混和し,測定項目に応じて精製水で希釈して測定する方法が提案されている.今回,前処理方法の違いによる測定値への影響を検討したので報告する.【対象と方法】対象検体として目視法による尿沈渣で塩類・結晶を認めない尿50例とリン酸塩析出尿127例(1+:45例,2+:45例,3+:37例)を用いた.対象項目はTP・Alb・AMY・UN・Cre・UA・Na・K・Cl・Ca・IP・Mg・Glu・OSMとした.前処理方法は混和した各対象尿を2等分し,37℃・10分間加温後に再混和して測定した加温処理と2000g・5分間遠心後の上清を測定した遠心処理の2通りとした.評価方法は加温処理の測定値平均を100%として遠心処理の測定値平均を比較し,±5%以上の変動で影響有りと判定した.【結果】塩類・結晶を認めない尿では遠心処理でTP(97.0%)が若干低下し,他の項目は±1%以内の変動であった.リン酸塩析出尿では遠心処理でCa(72.5%)・IP(92.9%)・TP【はじめに】当施設のHIL判定は,自動分析装置で得られた吸光度から算出された判定値を用いている.黄疸検体において乳び誤判定があり,その要因について検討を行った.【測定装置】BM8040GX(日本電子株式会社)【検討方法】①A群:乳びなしかつ黄疸あり検体(N=338), B群:乳びなしかつ黄疸なし検体(N=11893)の2群において乳び判定値を比較.t検定で評価した(有意水準p<0.05).②A・B群それぞれについて乳び判定値と黄疸判定値の回帰式,相関係数を確認.③乳び誤判定となった黄疸検体4件を用い,それぞれプール血清との10段階希釈系列を作製.乳びと判定する希釈段階の黄疸判定値とT-Bil値を確認.なお,検討①②③に用いたすべての検体で溶血は認めない.【結果】①A群とB群の乳び判定値に有意差を認めた. また,A群の乳び判定波長の吸光度はB群に比べ高値であった.②乳び判定値と黄疸判定値の回帰式および相関係数はA群:y=0.0980x+0.3631,r=0.7419, B群:y=0.0603x+0.3194, r=0.0593であり,A群で正の相関を認め,B群では相関を認めなかった.③4検体の10段階希釈において平均8/10から リン酸塩析出尿での検討なった.【考察】既に多数の報告があるように,尿化学検査に遠心した上清を使用すると低値となる項目が存在した.リン酸塩析出尿ではCaへの影響が最も大きく,IP・TP・Mgも低下することが確認された.乳びを認めた.そのときの黄疸判定値は平均9.7186(9.0374~ 10.1449)であり,T-Bil値は平均23.19mg/dL(21.61~24.25)で あった.【考察・まとめ】結果より,高ビリルビン検体で乳び誤判定となる可能性がある.高ビリルビン血症が長期間持続すると緑青色の生体色素であるビリベルジンが血中に出現するため,これが乳び誤判定の要因のひとつと考えた.当施設の乳び判定は主波長658nm,副波長694nmを用いている.この波長にビリベルジンが影響を及ぼすか検証するため, バナジン酸酸化法を用いてビリベルジンの吸収極大波長を吸収スペクトルで確認した.結果,反応後の溶液は緑青色を呈し,658nm付近に吸収極大を認めた.これは乳び判定波長と一致するため,ビリベルジンは乳び判定に影響を及ぼすおそれがある.また,10段階希釈系列よりT-Bil値20.00mg/dL(黄疸判定値8.5000)以上の黄疸検体で乳びと 判定される場合,誤判定の可能性があるため検体を目視確認することが望ましい.◎大地 康文1)、鈴木 朋代1)、谷 美苗1)、矢作 友花1)、大嶋 利奈1)、堀内 文美1)、齋藤 美由紀1)、長澤 英一郎1)さいたま市立病院1)さいたま市立病院1)◎仁科 太希1)、岡倉 勇太1)、横山 静織1)、小此木 朋子1)、青木 菜美子1)戸田中央メディカルケアグループ 株式会社TLC 戸田中央臨床検査研究所1)戸田中央メディカルケアグループ 株式会社TLC 戸田中央臨床検査研究所1)連絡先:048(433)371191尿化学検査における前処理方法の影響黄疸検体における乳び誤判定の要因について~当施設の生化学自動分析装置での血清情報(HIL)判定~リン酸塩析出尿での検討化-6(11:20~11:30)化-7(12:50~13:00)臨床化学EntryNo. 14臨床化学EntryNo. 28
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