埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
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臨床化学◎樋口 裕子1)、木村 真依子1)、松本 さゆり1)、鈴木 朋子1)◎河野 有佑1)、向井 奏惠1)、細川 まりの1)、廣田 渉1)、山岸 均1)、牧 俊一1)、長岡 勇吾1)、岡本 直子1)【はじめに】当検査室で使用している生化学・免疫分析装置および搬送機器は,2017年1月より使用を開始しており,経年劣化が生じていることが否めない.また,年々増加する検体数に対応するため,遅延させないよう多くの試薬類を架設する必要があり,機器の処理能力に余剰がほとんどない状態である.その結果,臨床からの新規項目導入依頼にほぼ応えられていない.これらの問題点を解消するため,機器更新を2025年度に予定しているが,更新にあたり,多くの検査技師が機器選定に携わり,また客観性をもった進め方を模索し検討したので報告する.【方法】当検査室の生化学班が中心となり,検討機器共通で比較を行いたい12の評価項目を設定した評価表を作成した.その後,各企業にご協力いただきプレゼンを実施し,参加者全員が各項目に対し5段階で評価をおこなった.プレゼン終了後に評価表を集計し現在に至った.【結果】評価表を使用することにより,現在,当検査室が更新機器へ何を求めているのか,どのような機能を必要としているのかが明瞭となった.また多くの検査技師が評価【はじめに】血小板数高値患者のプレーン管(分離剤あり)での採血ではカリウム値が偽高値となることが知られている.当院では血小板数がパニック値(critical value)である800×10³/µLを基準としてヘパリン管での採血を推奨する運用をとっているが偽性高カリウム血症として影響を与えるとされる血小板数は文献により異なる.血小板数800×10³/µL以下でも影響があるのであれば,誤った診断がなされる可能性があると考え,血小板数がカリウム値に与える影響の度合いを検証した.【対象】2024年1月1日から2024年6月30日の間にプレーン管とヘパリン管を同時に採血した患者171例.(溶血検体は除外)【方法】対象検体の血小板数に応じ,①100×10³/µL未満,②100-199×10³/µL,③200-299×10³/µL,④300-399×10³/µL,⑤400×10³/µL以上の5つに分類,プレーン管とヘパリン管それぞれのカリウム値に差が認められるかt検定にて評価した.なお当院の性能仕様検証ではカリウムの1SDが0.1となっており,2SDまでを許容範囲内としているため,0.3mmol/L以上を差があるとみなし,各分類の中で差を認めた割合を算出した.【結果】①血小板数100×10³/µL未満,②に携わることにより,客観的な判断ができ,適切な機器選定を進めることができていると考えられた.【考察】今回,今後の検査室を担っていく若手技師の意見も反映させるため,評価表を用いた方法を実施した.この評価表から得られた結果が,今後の機器選定を進める上での貴重な判断材料となると考えている.しかし,実際に稼働をしている場面や機器同士が接続したときの相性など不明瞭な部分もあるため,集計した評価結果を元に実際に稼動している他施設への見学も可能な限り行っていき,追加評価したいと考えている. 【結語】現在様々な測定機器が存在しており,それらの機能等を全て正確に把握することは容易ではなく,その上で自施設にとって適切な機器を選択することは大変重要であり,慎重に進めていくことが必要不可決であると考える. 2025年度の機器更新に向けて現段階では途中の報告となるが,当検査室の進め方が今後の機器更新を考えている施設の一助になれば幸いである血小板数100-199×10³/µL,③血小板数200-299×10³/µL,④血小板数300-399×10³/µLで有意差を認めなかった.(p>0.05)⑤血小板数400×10³/µL以上で有意差を認めた.(p<0.05)カリウム値が0.3mmol/L以上の差を認めた割合は①25%,②5%,③10%,④34%,⑤50%であり血小板数400×10³/µL以上の場合で偽性高カリウム血症が顕著にみられた.【考察】t検定の結果では⑤血小板数400×10³/µL以上から有意差を認め,当院の基準としている800×10³/µLよりも低い値から有意差を認めることが確認できた.しかし,今回は血小板数400×10³/µL近くの検体の母数が少ないこともあり,検体数を増やして検証を続けていく必要がある.また結果に反して400×10³/µL以下の場合で差が出た患者に関し,血小板数以外の要因があることも考えたが,今回対象とした患者では診断や検査結果からは影響した要因は判断できず,こちらも更なる検証を続けていく必要がある.【結語】今後もさらに検証を続け,偽性高カリウム血症疑いに対する運用改善を行い,正確な検査結果を臨床に報告できるよう努めていきたい. 連絡先:048(773)1111 内線:2415血血小小板板数数増増多多にによよるる偽偽性性高高カカリリウウムム血血症症ににおおけけるる採採血血管管のの検検討討◎河野 有佑1)、向井 奏惠1)、細川 まりの1)、廣田 渉1)、山岸 均1)、牧 俊一1)、長岡 勇吾1)、岡本 直子1)さいたま赤十字病院1)さいたま赤十字病院1)◎樋口 裕子1)、木村 真依子1)、松本 さゆり1)、鈴木 朋子1)医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院1)医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院1)90当当検検査査室室ににおおけけるる生生化化学学・免免疫疫分分析析装装置置おおよよびび搬搬送送機機器器のの更更新新にに伴伴うう機機器器選選定定ににつついいてて連絡先048(852)1111内線20352血小板数増多による偽性高カリウム血症における採血管の検討当検査室における生化学・免疫分析装置および搬送機器の更新に伴う機器選定についてEntryNo. 66化-4(11:00~11:10)化-5(11:10~11:20)臨床化学EntryNo. 54臨床化学

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