埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
91/134

◎田原 康祐1)、甲田 磨椰1)、稲葉 拓郎1)、石川 純也1)、小林 竜一1)臨床化学◎平田 優季1)、柳原 伸江1)、橋本 順宇1)、阿部 健一郎1)◎平田 優季1)、柳原 伸江1)、橋本 順宇1)、阿部 健一郎1)深谷赤十字病院1)深谷赤十字病院1)◎田原 康祐1)、甲田 磨椰1)、稲葉 拓郎1)、石川 純也1)、小林 竜一1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)VITROS350をを用用いいたた重重炭炭酸酸塩塩のの試試薬薬検検討討CRP測測定定試試薬薬のの基基礎礎的的検検討討とと従従来来法法ととのの濃濃度度分分布布のの比比較較連絡先:048(571)1511【はじめに】当院では各病棟から提出される血液ガス検体が朝に集中しており,測定に至るまでの時間経過による測定値の変動や報告遅延,さらに測定に人手を割くことによる他の検査業務への圧迫が懸念事項であった.今回血液ガス測定の代替えを目的として血清を用いた重炭酸塩の基礎的検討を行ったので報告する.【測定機器・試薬】機器:RAPIDPoint500(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社),VITROS350(オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社),試薬:ビトロススライドECO2【方法】(1)精度管理試料2濃度を10回測定した同時再現性試験,精度管理試料2濃度を28日間測定した日差再現性試験を行った.(2)血液ガスと生化学検査を同時採血した患者検体70件を用いて相関性を検討した.(3)規定量5mlの血清分離剤入り採血管を用い,同一被験者から1ml,2.5ml,5mlの検体を採取し検体量の差による測定値の変化率を検討した.(4)同一被験者から規定量採血した6本の検体を遠心後,開栓した1本の検体と未開栓の5本の検体を,開【はじめに】C反応性蛋白(以下CRP)は急性相反応蛋白質であり,様々な病態に起因する炎症反応の判定に有用である.今回我々は直線性を改良した栄研化学株式会社の新試薬であるLZテスト‘栄研’CRP-RV(以下CRP-RV)の基礎的検討及び従来品のLZテスト‘栄研’CRP-HG(以下CRP-HG)との濃度分布の比較を行ったので報告する.【方法】(1)併行精度(2)室内再現精度(3)希釈直線性(4)正確性(5)プロゾーン(6)共存物質の影響(7)検出限界(8)定量限界(9)相関性(10)患者血清を用いたCRP-RV,CRP-HG濃度分布の比較を行った.測定は日本電子株式会社のJCA-BM8040GX を2台(以下A,B)とJCA-BM6070 (以下C)の計3台を用いて行った.【結果】(1)専用試料(2濃度)とプール血清,QAP(2濃度)を用いて20回測定を行った結果,CV%値は全て5%以内であった.(2)(1)と同一試料を25日間測定した結果,総変動係数は全て3%以内であった.また,Cの専用試料,QAPの高濃度で軽度上昇によるトレンド傾向がみられた.(3)全機器で試薬測定範囲上限まで直線性を認めた.(4)ERM-DA474/IFCCを栓直後,30分,1,2,3,4時間後にそれぞれ測定し,開栓による測定値への経時的影響を調べた.【結果】(1)同時再現性試験のCVは2.6%,日差再現性試験のCVは6.0%となった.(2)VITROS350の重炭酸塩の値と血液ガス分析装置の重炭酸濃度を比較すると,相関がy=1.0732x-1.2974(r=0.9145)となった.(3)検体量による確認試験の結果、規定量5ml採血と規定量1/2の2.5ml採血では約6%,規定量1/5の1ml採血では約17%低下した.(4)経時による確認試験の結果,4時間常温に放置した開栓検体は未開栓の検体と比較して約12%低下した.【考察】重炭酸塩測定は,採血量や開栓後の放置時間による値の影響を受けることから,採血時は血清分離剤入り採血管に規定量を採取し,採血後は速やかに遠心し測定する必要がある.【結語】同時再現性,日差再現性,相関性いずれも良好であったことから,血液ガス分析の重炭酸の代替えとして血清による重炭酸塩測定は運用可能であると思われる.用いた結果,全機器で平均値の95%信頼区間に認証値が含まれていた.(5)全機器でSTDの最高濃度まで影響はなかった.(6)全機器でビリルビンF・C,Hb,乳び,RF, アスコルビン酸の影響はなかった.(7)±2.6SD法による検出限界は,A:0.0050mg/dL,B:0.0068mg/dL,C:0.0068mg/dLであった.(8) 定量限界は,A:0.0068mg/dL,B:0.0074mg/dL,C:0.0075mg/dLであった.(9)92検体を用いたCRP-HGとの相関は,A:y=1.0070x-0.0066,r=0.9988,B:y=1.0108x-0.0037,r=0.9991,C:y=1.0117x-0.0054,r=0.9991であった.(10)患者血清CRP-RV:38635件,CRP-HG:41640件の濃度分布に差はみられなかった.【考察】室内再現精度におけるCの軽度上昇によるトレンド傾向は,R2試薬の状態が変わったことで,検量線の初期吸光度とズレが生じ,測定対象の濃度域に影響した可能性が示唆された.【結語】CRP-RVは基礎的検討と相関において,良好な結果であった.また濃度分布に差が無かった事から直線性を改良した本試薬は再検率の減少などが期待されるため,日常業務へ貢献できると思われる. 連絡先:048-912-3112(直通)89CRP測定試薬の基礎的検討と従来法との濃度分布の比較VITROS350を用いた重炭酸塩の試薬検討化-2(10:40~10:50)化-3(10:50~11:00)臨床化学EntryNo. 15臨床化学EntryNo. 43

元のページ  ../index.html#91

このブックを見る