輸 血◎向井 千晴1)、中田 理子1)、田中 詩織1)、萩原 良枝1)、松澤 秀司1)◎小林 海紗1)、西川 文乃1)、安田 希美1)、髙橋 美枝子1)、野瀬 和彦1)ABO血血液液型型オオモモテテ・ウウララ不不一一致致かかつつ院院内内・外外注注検検査査ででウウララ検検査査結結果果にに相相違違ががみみらられれたた症症例例◎小林 海紗1)、西川 文乃1)、安田 希美1)、髙橋 美枝子1)、野瀬 和彦1)深谷赤十字病院1)深谷赤十字病院1)◎向井 千晴1)、中田 理子1)、田中 詩織1)、萩原 良枝1)、松澤 秀司1)医療法人社団協友会 吉川中央総合病院1)医療法人社団協友会 吉川中央総合病院1)連絡先:048(981)2727血血液液型型ウウララ検検査査のの弱弱陽陽性性時時ににおおけけるる再再検検査査方方法法のの検検討討85【はじめに】当院では全自動輸血検査装置(ORTHO VISION ANALYZER(Ortho Clinical Diagnostics社,以下VISION)にて血液型検査を実施し,ウラ検査が1+以下の際には試験管法にて再検査を行っている.近年,血液型検査件数の増加に伴い,ウラ検査における再検査も増加傾向にある.今回,業務の効率化を目的とし,VISIONによるABD-P60µ-RT5min(以下ウラ検査増強)導入の是非について検討したので報告する. 【対象】2023年11月1日から2024年3月31日までの血液型検査 (時間外を含む)2,412件を対象とした.【方法】VISIONにて血液型検査を実施した検体のうちウラ検査が1+以下となった検体はウラ検査増強を実施し,その結果を記録した.また,検査に要する時間やコスト,必要検体量について試験管法と比較を行った.【結果】ウラ検査増強を実施した82件のうち,70件(85.4%)では2+以上となり,12件(14.6%)は試験管法にて更なる再検査が必要であった.また,12件のうち8件は試験管法の直後判定にて2+以上となった.検査の所要時間は【はじめに】輸血の際は正確な血液型判定をした上で製剤選択をする必要がある.しかし,血液型検査では様々な要因で予期せぬ反応がみられる場合がある.今回,血液型オモテ・ウラ不一致かつウラ検査の結果が院内と外注で異なった症例を経験したため報告する.【症例】62歳男性,主訴は立ち眩み,脱力感,疲労感であった.採血結果よりHb5.7 g/dL, ALB2.2 g/dL, TP13.2 g/dLで多発性骨髄腫を疑い,追加検査においてもIgM:12575 mg/dL, BJ蛋白陽性となった.高度貧血のため輸血の指示あり,院内で血液型検査を実施した.オモテ検査はカラム法・試験管法ともに抗A:4+,抗B:0でA型,ウラ検査はカラム法でA1血球: 2+,B血球: 2+でO型,試験管法でA1血球: 1+,B血球: 1+でO型であった.この時点で輸血は一旦延期となり,外注で血液型の精査を依頼した.オモテ検査は抗A:4+,抗B:0でA型,ウラ検査はA1血球:0,B血球:0でAB型であった.また,不規則性抗体検査は陰性であった.医師より追加検査の依頼があり,抗B吸着解離試験を外注にて実施した.冷蔵30分の反応にてB血球:1+となりB抗原の存在が証明され,AB亜型の判ウラ検査増強では1検体につき約15分.試験管法は平均2分11秒であった.一検体に関わるコストはウラ検査増強ではカラム402.5円,試験管法は43円であった.必要血漿量は ウラ検査増量の場合は120μL,試験管法は約360μLとなった.【考察】ウラ検査増強の利点としては,自動化による業務効率化に加え,人為的に起こる検査結果の差がない.また試験管法にて再検査を行う場合に比べて必要検体量は240μL少なく,採血が困難で検体量が少量の場合は有効である.欠点としてはコストと時間を要することである.コストは追加でABO血液型判定用カセットを使用するため,試験管法に比べて360円割高となる.また,検査時間は初検時と合わせると約30分を要することになる.【結語】ウラ検査増強は検査時間の延長のため緊急時には不向きであるといった課題がみられた一方,再検査の自動化により,業務の効率化や負担軽減がはかれた.業務繁忙時や検体が少量の場合はウラ検査増強が有用だと考えられる. 連絡先:048(571)1511 内線1864定となった.その後,医師の判断により赤血球製剤はO型を選択し,6単位輸血した.【考察】院内でのウラ検査にてA1血球・B血球ともに陽性と判定した原因は,多発性骨髄腫患者に特有な高い血清粘稠度の影響で血球に連銭形成が生じ,連銭した血球を凝集と判定したことが考えられる. 本例の対処法として外注先では,高粘稠度検体で連銭形成を疑う場合に生理食塩液を加えて血清蛋白濃度を下げることでウラ検査における連銭形成の影響を排除する方法を実施している.本例のような検体の際は今後院内でも同じ方法を行っていきたい.また,オモテ・ウラ不一致の要因は,抗B吸着解離試験の結果より,B抗原の減弱によってオモテ側が偽陰性となったことが考えられる.【まとめ】輸血前の検査で予期せぬ反応がみられた際は,既往歴,輸血歴などの患者情報を確認するだけでなく,病態による影響を考えて対処することが必要であり,科内で症例を共有することで迅速な対応ができるよう努めていく.血液型ウラ検査の弱陽性時における再検査方法の検討院内・外注検査でウラ検査結果に相違がみられた症例ABO血液型オモテ・ウラ不一致かつ輸-2(10:40~10:50)輸-3(10:50~11:00)輸血EntryNo. 21輸血EntryNo. 73
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