埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
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◎藤木 優花1)、水野 さよか1)、荻原 奈美1)、神澤 千絵1)、岡野 里賀1)、熊谷 佳奈江1)、渋谷 賢一1)生 理◎宮本 葵1)、峯岸 将臣1)、森口 莉帆1)、伊藤 佳穂1)、大関 秋穂1)、田中 祐未1)、中井 景子1)、服部 直行1)当当院院でで経経験験ししたた男男性性乳乳癌癌のの22症症例例呼呼吸吸機機能能検検査査ににおおけけるる技技師師間間差差縮縮小小へへのの取取りり組組みみ連絡先:048(965)2221 内線2261検査時間(Avg)8.3分10.8分連絡先048(474)7211内線452【はじめに】男性乳癌は乳癌全体の1%と稀な疾患である.当院にて男性乳癌の2症例を経験したので報告する.【症例1】60代男性.左乳頭直下にしこりを自覚し来院.マンモグラフィー検査にて左高濃度腫瘤:cat4.乳房超音波検査にて左乳房EDC区域に大きさ15×11×8mm,境界明瞭粗糙,一部不明瞭でhaloを伴う多角形低エコー腫瘤を認めた.内部エコーは不均質,後方エコーは不変で腫瘤内部に流入する拍動性の血流シグナルを認めた.針生検では浸潤性乳管癌と診断され,左乳房切除術が施行された.最終病理組織診断は,浸潤性乳管癌,腺管形成型であった.【症例2】60代男性.右乳頭直下にしこりを自覚し来院.マンモグラフィー検査にて右高濃度腫瘤:cat4.乳房超音波検査にて右ED区域に大きさ15×13×12mm,境界明瞭粗糙,一部不明瞭でhaloを伴う多角形低エコー腫瘤を認めた.内部エコーはやや不均質,後方エコーは増強し,腫瘤内部に流入する拍動性の血流シグナルを認めた.針生検では浸潤性乳管癌と診断され,右乳房切除術が施行された.最終病理組織診断は浸潤性乳管癌,腺管形成型であった.【はじめに】正確な検査結果を臨床側に報告するためには,検査する臨床検査技師(以下技師)の技師間差を縮小することが重要である.2021年日本呼吸器学会から呼吸機能検査ガイドラインが17年ぶりに呼吸機能検査ハンドブック(以下ハンドブック)として改訂されたことに伴い,科内でおこなった呼吸機能検査における技師間差縮小への取り組みを報告する.【方法】改めて検査基準を統一化するためにハンドブックの内容を基に科内検査マニュアル(以下マニュアル)を改訂し, 2024年4月から運用を開始した.呼吸機能検査に携わる技師8名によるマニュアル改訂前後での➀検査回数(肺活量(以下VC),努力肺活量(以下FVC))➁総検査時間を比較した.なお,当院ではフクダ電子社製電子式診断用スパイロメータSP-370COPD肺perを使用している.【結果】➀検査回数(Avg:平均 SE:標準誤差)改訂前2.3回改訂後2.6回【考察】2014~2023年の期間に,「男性乳癌」,「超音波」をキーワードに医中誌で検索した36例のうち,超音波所見と病理組織所見の記載があった14例と自験例2例を足した16例について検討を行った.平均年齢は64歳で,超音波画像の傾向としては偏中心性,境界明瞭,内部エコーは不均質低エコーであった.病理組織診断は浸潤性乳管癌,免疫組織化学染色では,ホルモン受容体陽性(ER陽性,PgR陽性)が多く,HER2陽性例はなかった.また,Ki-67の陽性率が30%以下のluminalAタイプが9割以上を占めていた. 男性の乳腺は瘢痕的に残るのみなので、超音波検査での観察は容易である.また,乳癌のサブタイプからも,早期発見できれば生命予後の改善につながるのではないかと考える.【まとめ】男性乳癌では,しこりを自覚するも羞恥心から来院をためらい,進行している状態で診断されるケースもある.そのため,男性でも乳癌になるという認識を広め,啓発活動が必要と考える.➁総検査時間改定前改訂後【考察・まとめ】結果より,➀検査回数は増加したが技師間差は縮小した,➁総検査時間は増加したが技師間差は縮小した.技師間差が縮小した要因として,マニュアル改定により検査結果の妥当性及び再現性を判断する基準が統一できたことや検査回数の上限下限を設定したことが考えられる.今回の取り組みにより,検査結果の妥当性を判断する際の迷いが軽減したという意見があった一方で,改訂前より検査回数及び検査時間が増加してしまい患者様の負担が大きくなったと感じるとの意見もあった.より良い検査結果を報告するためには,患者様の状態を配慮しながらマニュアルに沿った検査を実施することが重要と考える.◎藤木 優花1)、水野 さよか1)、荻原 奈美1)、神澤 千絵1)、岡野 里賀1)、熊谷 佳奈江1)、渋谷 賢一1)越谷市立病院1)越谷市立病院1)◎宮本 葵1)、峯岸 将臣1)、森口 莉帆1)、伊藤 佳穂1)、大関 秋穂1)、田中 祐未1)、中井 景子1)、服部 直行1)戸田中央メディカルケアグループ 新座志木中央総合病院1)戸田中央メディカルケアグループ 新座志木中央総合病院1)VC(Avg)VC(SE)0.230.17FVC(Avg)FVC(SE)2.1回3.3回0.210.15SE0.960.6671生理EntryNo. 26生理EntryNo. 29呼吸機能検査における技師間差縮小への取り組み当院で経験した男性乳癌の2症例生-3(9:50~10:00)生-4(10:00~10:10)

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