<抄録>1)IDF DIABETES ATLAS 10th Edition2022(International Diabetes Federation)2)平成28年(2016年)国民健康・栄養調査 (厚生労働省)3)中村二郎,神谷英紀,羽田勝計,稲垣暢也,谷澤幸生,荒木栄一ほか.糖尿病の死因に関する委員会報告.アンケート調査による日本人糖尿病の死因:2001~2010年の10年間,45,708名での検討.糖尿病 2016;59:667‒84.47 2021年現在、世界の糖尿病人口は5億3,700万人に上っており、2045年には約7億8,300万人に達すると試算されています1)。中でも日本が位置するアジア・太平洋地域の患者数の増加は深刻で、2021年は2億600万人と全世界の約1/3の糖尿病患者がこの地域に集中しています。我が国においても、糖尿病と強く疑われる人と可能性を否定できない人の合計は約2,000万人2)に上り、早急な対策が迫られています。糖尿病治療は近年,薬剤の種類および数の充実によって進歩を遂げ,糖尿病患者と日本人一般の平均寿命の差は過去数十年で縮まりつつあるものの,まだ約10年の差が生じており3),糖尿病患者の寿命の確保をめざした治療が求められています。 糖尿病を持つ人は、適切な食事療法を心がけ、運動療法に励み、お薬も欠かさず、時には血糖測定をして、そして定期的な合併症の検査を続けています。 持続する高血糖は良くありませんが、「通院中断」が一番心配なことです。 我々医療者は、そのような人たちの伴走をしながら、新しい医学的知見があれば、それを役立てられるように日々研鑽をしています。糖尿病領域の進歩を、それが必要な人達に引き渡しができるよう、看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士、そして事務局が仲間です。 10年間、変わらずのお付き合いができたならば、 糖尿病を押し戻すことができた我々の勝ちだと思います。
元のページ ../index.html#49