埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
123/134

「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」はグラム陽性球菌であるA群溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)が原因となる感染症であり、発熱、咽頭痛、全身倦怠感等の症状がみられる。幼児期から学童期の小児に多く、「冬季」および「春から初夏にかけて」の2つの流行のピークがみられている。治療については、ペニシリン系抗菌薬が第一選択薬となっている。一方で「咽頭結膜熱」は、二本鎖DNAウイルスであるアデノウイルスが原因となる感染症であり、発熱、咽頭痛、結膜充血等の症状がみられる。感染症発生動向調査の罹患年齢から、5歳以下の小児が6割を占めることが知られており、「夏季」および「冬季」に流行のピークがみられている。本感染症には有効な治療薬はなく、解熱剤、鎮痛剤等の投与による対症療法となる。 ®-Adeno』の特徴および使用方法について解説する。 ■ ■■■■■■■■■■■■■■検体抽出液を共用化した迅速診断キット「イムノキャッチ®-Strep A 」「イムノキャッチ®-Adeno 」について 「イムノキャッチ®-Strep A」「イムノキャッチ®-Adeno」について2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の「5類感染症」に移行し、ピーク時と比較して流行状況が落ち着きを見せる一方で、主に小児を中心にさまざまな感染症が急速に拡大している。そのなかでも特に呼吸器感染症である「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」およびアデノウイルスによる「咽頭結膜熱」の流行拡大は著しい。いずれも感染症法における5類感染症、小児科定点医療機関の届出対象に指定されている疾患で、国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、両感染症とも2023年10月以降、過去10年で最多の報告数を記録しており、2024年7月の現時点においても継続して流行がみられている。これらの感染症は1歳ごろまでに初めて罹患し、免疫を獲得していくことが一般的であるが、新型コロナウイルス感染症流行下では罹患の機会が減少していた。感染対策が緩和されることで、今まで罹患の機会がなかった小児の間で感染が拡大していることが本流行の原因と推察されている。 ○山浦 裕紀 (栄研化学株式会社 販売推進室 販売推進二部一課)○山浦■裕紀■■■■■(栄研化学株式会社■販売推進室■販売推進二部一課) このように、両感染症は臨床症状や好発年齢、流行時期など類似する点が多いことから、臨床所見のみでの鑑別は困難な場合があるが、治療方針はそれぞれの感染症で異なる。そのため、迅速診断キットによる両感染症の鑑別は、治療方針を決定する上で有効である。 弊社は新たにA群ベータ溶血連鎖球菌抗原キット『イムノキャッチ®-Strep A』およびアデノウイルスキット『イムノキャッチ®-Adeno』を開発し、2024年1月16日に発売した。 本製品は相互に抽出液の共用が可能であり、一本の咽頭ぬぐい液検体から調製した試料をA群溶血性レンサ球菌抗原検査とアデノウイルス抗原検査の両方に使用できる設計となっている。また、従来のA群溶血性レンサ球菌迅速診断キットは、抽出液の調製工程(使用直前の調製)や抗原抽出工程(1~2分間の静置時間)を要していたが、『イムノキャッチ®-Strep A』は、これらの操作を不要にすることで、従来品よりも簡便な検査を可能としており、結果として両製品ともに全く同一の操作で検査可能となっている。 今回は『イムノキャッチ®-Strep A』と『イムノキャッチ資料請求先:03-5846-3286■121微生物検体抽出液を共用化した迅速診断キットCM演題-6CM-6(第9会場 906号室 11:10~11:25)

元のページ  ../index.html#123

このブックを見る