埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
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◎関 咲映1)、神田 夕季1)、江川 侑希奈1)、清滝 純一1)、石岡 佑一1)、竹内 日奈子1)、櫻 成子1)、江原 淳子1)微生物臨臨床床菌菌株株をを用用いいたたRaST-TASのの性性能能検検討討【はじめに】薬剤耐性菌の検出は感染症治療の上で重要な情報となるが、薬剤感受性試験の結果を得るには通常18~24時間かかる。耐性因子は遺伝子検査で検出が可能であるが、遺伝子の保有と耐性の発現は必ずしも一致しないため、分離菌株が実際に耐性菌であることを迅速に報告することは、感染症治療に大きく貢献すると考える。2023年6月に販売開始されたβ-ラクタマーゼ・スクリーニング試薬キット「RaST-TAS®シリーズ」は、抗菌薬を固定したマイクロ流路チップ内の菌の形態変化を指標とし、抗菌薬耐性と阻害剤感受性を同時に観察することで産生酵素を推定するキットである。菌液をチップに接種後、約3時間の培養で菌の形態変化を観察できるため、薬剤感受性試験結果を得るより1日早く薬剤耐性を推定することが可能となる。今回我々は、当社で検出された耐性菌株を使用しRaST-TASの性能検討を行なったので報告する。【対象と方法】臨床検体より分離され、耐性因子を確認した薬剤耐性腸内細菌目細菌7株を使用した。ミュラーヒントンブロスでMcFarland No. 0.25の菌液を調整し、これをマイクロ流路チップの各流路に10μLずつ分注した。35℃大気培養で3時間培養し、チップの観察領域を位相差顕微鏡で観察した。【結果】基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌は、CTXあるいはCAZ単剤固相の流路で菌の増殖を認めた。CTX+CVAおよびCAZ+CVAが固相された流路では伸長した菌体が観察され、菌の増殖阻害を確認した。AmpC過剰産生菌は、CTXおよびCAZ単剤、CTX+CVAおよびCAZ+CVAのいずれの流路でも菌の増殖が認められ、ESBLではない第三世代セファロスポリン系薬剤の耐性因子の存在が確認された。メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)産生菌は、MEPM単剤の流路では菌の増殖を認めた。MEPM+EDTAの流路では菌体の球状変化が観察され、増殖阻害が確認された。【考察】RaST-TAS を用いることでESBL産生菌とMBL産生菌は酵素産生の可能性を薬剤感受性試験結果より早く臨床に報告できると考える。AmpC産生菌もRaST-TASの結果から推測が可能であると考える。(049-299-5858)◎関 咲映1)、神田 夕季1)、江川 侑希奈1)、清滝 純一1)、石岡 佑一1)、竹内 日奈子1)、櫻 成子1)、江原 淳子1)株式会社 ミロクメディカルラボラトリー 埼玉ラボ1)株式会社 ミロクメディカルラボラトリー 埼玉ラボ1)114微生物EntryNo. 62臨床菌株を用いたRaST-TASの性能検討微-13(13:25~13:35)

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