微生物◎石田 瑠華1)、髙橋 里奈2)、折原 悠太2)、川村 利江子2)、松岡 優2)、今井 一男3)、前田 卓哉3)◎松浦 帆花1)、小野寺 梓2)、日下 俊太朗2)、小針 奈穂美2)、関根 幸子2)、新倉 奈緒美2)、今井 一男3)、前田 卓哉3)【はじめに】ノロウイルス(NV)の診断には、迅速抗原検査キット(イムノクロマト法:IC法)が汎用される。近年、ウイルス抗原の変異による感度低下が報告されており、その評価には注意が必要である。一方、恒温増幅反応であるLAMP法は、RT-qPCR法に比べ初期導入コストが安く、COVID-19の流行拡大により多くの医療機関で整備されたことから、ポスト・コロナにおけるPOC-NAA(Nucleic Acid Amplification)として期待される。本研究では、IC法で多くの偽陰性が見られた保存検体を用い、後方視的にLAMP法の性能評価を行ったので報告する。【対象】2023年5月から2024年4月にかけて、埼玉医科大学病院でNV感染が疑われ、IC法 (クイックナビ-ノロ2および3, デンカ生研)が実施され、検体残余(糞便もしくは直腸スワブ)が凍結保存される101検体を使用した。対象患者の年齢中央値は2歳(IQR; 1, 5)、男性51件(50.5%)であった。【方法】患者情報およびIC法の検査結果は診療録より収集した。QIAamp Viral RNA キットを用いて検体からRNAを抽出後、LAMP法にはLoopampノロウイルスGI/II検出試【はじめに】ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、2001年にオランダで初めて分類されたパラミクソウイルス科ウイルスであり、乳幼児下気道感染症の病原体の一つである。高齢者および免疫機能が低下した成人での重症肺炎例が報告されるほか、高齢者施設におけるアウトブレイクが報告されるなど、注目される新興感染症の一つである。一方、診断には主に(イムノクロマト法:IC法)が使用されるが、保険適応にはhMPV感染が疑われる6歳未満の小児であり、画像所見から肺炎が強く疑われる患者に限定される。今回、網羅的遺伝子検査法であるFilmArray呼吸器パネル2.1 検査(FA法, ビオメリュー・ジャパン)において、hMPVが検出可能となった。本研究では、従来のIC法とFA法、さらにはRT-qPCR法について、後方視的に比較検証を行い、各種検査の臨床的意義と有用性について検証を実施した。【対象】2024年1月から6月にかけて、埼玉医科大学病院で呼吸気感染症が疑われ、FA法とともにIC法(クイックチェイサー hMPV, ミズホメディー)が実施され、検体残余(鼻咽頭拭い液, 生理食塩水懸濁液)が凍結保存される40検薬キット(栄研化学)を使用し、RT-qPCR法には病原体検出マニュアル ノロウイルス 第1版(国立感染症研究所)に従い、QuantiTect Probe RT-PCRキットを用いて実施した。【結果】解析を実施した101件のうち、RT-qPCR法では17件(GI; 1, GII; 16)でNVが検出された。IC法では5件(GI; 0, GII;4)のみが陽性であり、検出率は29.4%であった。LAMP法ではRT-qPCR陽性の検体全てが陽性となったほか、RT-qPCR陰性の1件も陽性となった(GII)。【考察】IC法での感度が低下した検体群においても、LAMP法はRT-qPCR法と同等の高い感度が確認できた。一方、LAMP陽性かつRT-qPCR陰性例では、IC法でも陽性であったことから、RT-qPCR法の偽陰性と考えた。RNA抽出の簡易化が課題であるが、LAMP法はPOC-NAAとして診断・院内感染対策に有用であると考えられた。【結語】LAMP法はNV診断・院内感染対策において有用である。連絡先:049(276)1111体を使用した。対象患者の年齢中央値は3歳 (IQR; 1.0, 5.6) であった。【方法】FA法の結果および患者情報は診療録より収集した。QIAamp Viral RNA キットを用いて検体残余からRNAを抽出後、病原体検出マニュアル (国立感染症研究所)に従い、QuantiTect Probe RT-PCRキットを用いてRT-qPCR法を実施した。IC法は添付文書に従い実施した。【結果】解析した40件のうち、RT-qPCR法では15件(37.5%)でhMPVを検出した。FA法では、RT-qPCRで陽性となった15件を含む18件(45.0%)で検出した。一方、IC法では13件(32.5%)で陽性となり、検体中のウイルス量が低い場合に陰性となることが明らかとなった。IC法の特異性は高く、他のウイルスとの交差反応は見られなかった。【考察】IC法はウイルス量の少ない検体では陰性となる可能性が示唆された一方、特異性は非常に高い結果であった。一方、FA法は極めて高感度であり、感染症の診断には注意を要することが明らかとなった。ヒヒトトメメタタニニュューーモモウウイイルルスス感感染染症症診診断断ににおおけけるる各各種種検検査査のの臨臨床床的的意意義義のの検検証証◎松浦 帆花1)、小野寺 梓2)、日下 俊太朗2)、小針 奈穂美2)、関根 幸子2)、新倉 奈緒美2)、今井 一男3)、前田 卓哉3)埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科1)、埼玉医科大学病院2)、埼玉医科大学病院 臨床検査医学3)埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科1)、埼玉医科大学病院2)、埼玉医科大学病院 臨床検査医学3)◎石田 瑠華1)、髙橋 里奈2)、折原 悠太2)、川村 利江子2)、松岡 優2)、今井 一男3)、前田 卓哉3)埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科1)、埼玉医科大学病院2)、埼玉医科大学病院 臨床検査医学3)埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科1)、埼玉医科大学病院2)、埼玉医科大学病院 臨床検査医学3)連絡先:049(276)1111NoroVirus検検出出ににおおけけるるLAMP法法のの臨臨床床的的意意義義112NoroVirus検出におけるLAMP法の臨床的意義ヒトメタニューモウイルス感染症診断における各種検査の臨床的意義の検証微-9(10:50~11:00)微-10(11:00~11:10)微生物EntryNo. 82微生物EntryNo. 83
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