埼臨技会誌 Vol.71 補冊 2024_電子ブック用
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◎平野 明花里1)、旭 萌音1)、久保田 亮2)一 般◎細谷 咲結1)、荒瀬 翔1)、磯崎 誉斗1)、伊藤 綾香1)、勝俣 双葉1)、斎藤 百花1)、岡田 茂治2)【はじめに】エクソソームは細胞から分泌される直径50~150nmの脂質二重膜に覆われた顆粒状の物質である.主に脂質,蛋白質,核酸からなり,表面には脂質や蛋白質が含まれる.糖鎖は細胞の分化・増殖,細胞間情報伝達,免疫応答など様々な生命現象に関わっており,エクソソームの糖鎖も同様の機能を持つ可能性がある.そこで本研究ではウエスタンブロット法を行い尿中エクソソームの糖鎖がどのような蛋白質に結合しているのかを解析することを目的とした.【方法】1.エクソソーム抽出尿と試料について各種レクチン(SSA, PHA-E4, PHA-L4, 【はじめに】線虫(C.elegans,カエノラブディティス・エレガンス)は全ゲノムの塩基配列が分かっているという研究上の利点があり,世代時間(卵から孵化し成虫になるまで)が約3日と短いライフサイクルを持ち,約300 個の受精卵を産むことから実験材料として非常に優れた性質をもち,モデル生物として広く利用されている.多細胞生物として最初に全ゲノム配列が解読された生物でもある.研究室でC.elegansを導入し培養の基礎技術を構築したので報告する.【方法】C.elegans,OP50大腸菌株は東京女子医科大学NBRP(線虫)中核機関より提供された.基礎培養技術は「NBRP線虫講習会2023」に参加し習得した.【結果】基礎技術実施事項は,NMG培地の滅菌とプレート作成,OP50大腸菌株の培養と凍結保存,培養プレートの作成,植え継ぎ操作(寒天切り出しによる植え継ぎ,ピッカーによる植え継ぎ等),ブリーチによる同調した線虫の選別,線虫の-80℃凍結保存等を実施した.【考察および結語】線虫は20℃で培養し,定期的な植え継ぎや培地作成などを実施した.特にピッカーによる植え継ぎTotal Exosome Isolation Reagent (from urine) キット(Invitrogen) を用い,新鮮尿からエクソソームを単離した.エクソソーム単離後,Exosome Resuspension Buffer (再懸濁バッファー)もしくはPBSで溶解した液を試料とした.2.レクチンブロット法DBA, ECA, LCA, PNA, WGA, ConA, SBA, RCA, PSA, GSL-1, UEA-1)を用いて,レクチンブロット法を行った.3.ウエスタンブロット法尿と試料についてPHA-L4とConAを用いてウエスタンブロット法を行った.【結果】レクチンブロット法を行ったところエクソソームはConA, PHA-E4と反応性が良好であった.次に尿中糖鎖比を計算したところ,エクソソームはPHA-L4, ConAが高値を示した.ウエスタンブロット法を行ったところ,PHA-L4は70, 80 kDa, ConAは35, 40, 50, 55, 70 kDaに蛋白バンドが見られた.【まとめ】レクチンの特徴とウエスタンブロット法の結果から,エクソソームには複合型N型糖鎖が結合している分子量70, 80 kDaの蛋白質とマンノースを含むN型糖鎖が結合している分子量35, 40, 50, 55, 70 kDaの蛋白質が含まれると考えられる. 連絡先:048(973)4799では白金線を付けたピッカーを作成し約1mmの線虫(C. elegans)を実体顕微鏡下で観察しながらピックアップし植え継ぐ技術の習得には練習が必要であった.培養の基礎技術を確立することが出来たので今後様々な研究を実施することが可能となった.研究室はバイオセーフティレベル1(BSL-1)であるため実験内容は制限されるが,行動実験としての化学物質への走行試験,抗がん剤や治療薬,健康食品などの様々な薬品に対する寿命試験などを実施していきたい.線虫(C. elegans)の特性である世代時間が短いことを生かした動物実験モデルとして行うことはとても有用である.細菌検査学実習として学んだ無菌操作や培地作成手技などは基礎培養を行う上でとても役立った.線虫(C. elegans)研究は3つのノーベル賞をもたらした基礎実験である.臨床検査の持つ技術を応用し様々な実験への発展をめざしていきたい.  ◎平野 明花里1)、旭 萌音1)、久保田 亮2)埼玉県立大学大学院1)、埼玉県立大学2)埼玉県立大学大学院1)、埼玉県立大学2)◎細谷 咲結1)、荒瀬 翔1)、磯崎 誉斗1)、伊藤 綾香1)、勝俣 双葉1)、斎藤 百花1)、岡田 茂治2)埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学2)埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学2)連絡先048-973-4797線線虫虫((C.elegans、、カカエエノノララブブデディィテティィスス・エエレレガガンンスス))培培養養基基礎礎技技術術のの確確立立103レレククチチンンをを用用いいたた尿尿中中エエククソソソソーームムにに含含ままれれるる糖糖タタンンパパクク質質のの解解析析レクチンを用いた尿中エクソソームに含まれる糖タンパク質の解析線虫(C.elegans、カエノラブディティス・エレガンス)培養基礎技術の確立般-10(11:00~11:10)般-11(11:10~11:20)一般EntryNo. 92一般EntryNo. 99

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