埼臨技会誌 Vol.70 補冊 2023_電子ブック
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細 胞輸 血 ◎藤田 真里奈1)、鶴岡 慎悟1)、河村 憲一1)、松井 宏江1)、鈴木 隆1)、児野 沙都1)、津田 均2)◎藤田 真里奈1)、鶴岡 慎悟1)、河村 憲一1)、松井 宏江1)、鈴木 隆1)、児野 沙都1)、津田 均2) 独立行政法人地域医療機能推進機構 埼玉メディカルセンター 病理診断科1)、防衛医科大学校 病態病理学講座2) 独立行政法人地域医療機能推進機構 埼玉メディカルセンター 病理診断科1)、防衛医科大学校 病態病理学講座2)94連絡先:048-965-2221■内線:2258■【はじめに】癌肉腫は子宮悪性腫瘍の5%未満と比較的まれな腫瘍である.癌肉腫の成分では漿液性癌や横紋筋肉腫は予後不良因子である.今回,われわれは筋腫分娩を契機に発見され異所性成分を伴った子宮内膜由来の癌肉腫を経験したので報告する.【症例】患者は70歳代■女性.不正出血を主訴に来院.診察の前日に筋腫分娩をきたし,診察時に持参した.組織検査を行ったところ,癌肉腫と診断された.施行された子宮腟部,頸管,内膜細胞診標本も同様の悪性細胞がみられた.その後当院で腹式子宮全摘術,両側付属器切除術,骨盤リンパ節廓清,大網切除術が施行され癌肉腫と診断された.【細胞所見】血性背景中に不規則重積性を示す腺細胞の集塊が散見された.細胞のN/C比は高く核濃染性,核形不整がみられ,類内膜癌を考えた.一部では小乳頭状を呈した異型の強い細胞から構成された乳頭状集塊が混在し,漿液性癌も疑われた.また,これらの腺癌細胞と混在して,紡錐形や円形の細胞が孤立散在性や結合性の弱い集塊で認められた.細胞は核腫大,核形不整がみられ,核縁が薄く,一部では大型細胞や大型好酸性の核◎渡辺 智暁1)、大塚 幸成1)、千葉 明日香1)、織田 喜子1)、熊谷 佳奈江1)、石井 直美1)、渋谷 賢一1) ◎渡辺 智暁1)、大塚 幸成1)、千葉 明日香1)、織田 喜子1)、熊谷 佳奈江1)、石井 直美1)、渋谷 賢一1)越谷市立病院1) 越谷市立病院1)【はじめに】酵素法は不規則抗体の同定に有用である.その一方で,非特異反応を起こしやすく臨床的意義のある一部の抗体を検出できない等の理由から不規則抗体スクリーニングで実施する意義は低いとされている.当院では,不規則抗体スクリーニングを間接クームス法と酵素法(フィシン二段法)で実施している.今回,不規則抗体スクリーニング結果を後方視的に調査し,酵素法継続の是非について検討したので報告する. 【対象・方法】2017年~2022年に実施された不規則抗体スクリーニング,総件数10,162件(輸血検査8,153件,妊婦健診2,009件),実患者6,321人(輸血検査4,632人,妊婦健診1,689人)を対象とした.酵素法を用いた不規則抗体スクリーニングでのみ陽性の結果が得られ,抗体が同定出来た件数を調査した. 【結果】不規則抗体スクリーニング結果が陽性になった件数は288件,酵素非特異反応が見られた件数は274件であった.抗体陽性者は108人で,実患者数の1.7%であった.抗体陽性者の中で酵素法のみが陽性で,抗体が同定された人数は33人小体を有した細胞が混在し,有尾状を呈した細胞質内には横紋がみられた.以上の所見より異所性成分を伴った癌肉腫を推定した.【組織所見】手術時摘出材料所見.子宮の内腔に突出した1.5~4cm大の多結節性の腫瘍がみられた.部分的に篩状構造や極性の乱れを示す類内膜癌成分がみられた.また,周囲では癌腫成分と異なり紡錘形細胞が核形不整や核濃染性を示し,核分裂像を多数認める肉腫成分を認めた.肉腫成分の一部には横紋が存在し,横紋筋肉腫の成分が考えられ,ごくわずかに骨肉腫様の成分も認めた.以上の所見より異所性成分を伴った癌肉腫と診断された.微小だが,大網に腺癌成分の転移が認められた.【まとめ】類内膜癌と横紋筋肉腫などの成分を含む癌肉腫の一例を経験した.子宮内膜癌肉腫の診断は発生頻度も低く,細胞診標本では推定困難なことが考えられる.本症例に出現した癌腫成分と肉腫成分の違いと,異所性成分について細胞学的に検討する.加えて本症例では,筋腫分娩を伴っていたが,腫瘍の発生機序などの文献的考察を交え発表する.■ 連絡先:048-832-4951 (内線:1321) (約0.52%)であった. 【考察】酵素法のみ陽性の抗体は臨床的意義がないとされているが,妊婦健診については医師に向けて,その後の経過観察の注意喚起が必要となる.しかしながら,同定された抗体は18人中13人が抗Lea(約0.21%)であり,臨床的に意義がないものであった.一方,3人で初期の抗Eを検出できており一定の有用性は示唆された.酵素非特異反応が見られた件数は274件で,月に4~5件発生していた.検査結果の遅延や慣れない日当直帯では対応に苦慮することもあり,煩雑さをもたらしている.■【結語】調査の結果, 酵素法を用いた不規則抗体スクリーニングのみ陽性の結果が得られた人数は少数であった.また,同定された抗体の多くは臨床的意義も低く,酵素非特異反応への対応の煩雑さから,当院では今後,不規則抗体スクリーニングにおける酵素法を実施しない方針とした. 不規則抗体スクリーニングにおける酵素法の運用について 筋腫分娩を契機に発見された子宮内膜癌肉腫の一例 細胞輸血細-4(9:30~10:10)輸-1(9:30~9:50)筋腫分娩を契機に発見された子宮内膜癌肉腫の一例不規則抗体スクリーニングにおける酵素法の運用について

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