チーム医療一 般◎中川 禎己1)◎中川 禎己1)小川赤十字病院1)小川赤十字病院1)◎上條 里恵1)、上手 沙織1)、間中 樹里1)、長谷川 卓也1)◎上條 里恵1)、上手 沙織1)、間中 樹里1)、長谷川 卓也1)医療法人社団協友会 八潮中央総合病院1)医療法人社団協友会 八潮中央総合病院1)88臨床検査技師の内視鏡業務参入体腔液検査を一般部門で行う重要性当院におけるタスク・シフト/シェアの取り組み「はじめに」穿刺液検査(体腔液)は一般部門,血液部門,病理部門など施設により対応する部門が大きく異なっている.埼玉県内の施設では,一般部門で検査を実施している施設が少ない現状もある.今回我々は,一般部門で専門的な資格を用いて胸水検査を実施することで,早期診断に繋げられた症例を経験したので報告する.「症例」80代男性,主訴は呼吸困難で当院受診.CT検査において多量の左胸水貯留を認め,一部腫瘤様にみえる所見などから腫瘤性無気肺を疑い,胸水検査が実施された.「検査所見」色調:赤色,混濁:±,性状:血性,細胞数:2358/μL,比重:1.029,蛋白:5.4g/dL,Lightの基準(胸水蛋白/血清蛋白:0.8,胸水LD/血清LD:5.8,胸水LD:1146U/L),SEAG(胸水Alb濃度勾配):-0.1g/dLより滲出性の胸水が示唆された.ギムザ染色塗抹標本作成を行い,核形不整・核偏在傾向を示し,細胞質の色調にグラデーションをもつ細胞が認められた.そのため,【はじめに】医師並びに看護師の負担軽減を目的としたタスク・シフト/シェアの一環で,当院でも2022年4月より臨床検査技師の内視鏡業務への参入に取り組んでいる.およそ1年が経過し,現在3名の臨床検査技師が内視鏡業務へ携わっている.1年間の実践を経て,医師,看護師,臨床工学技士にアンケート調査を実施し,当院におけるタスク・シフト/シェアの取り組みの成果を報告する.【対象】内視鏡業務に携わる医師,看護師,臨床工学技士.【方法】当院の内視鏡業務に携わる医師3名,看護師6名,臨床工学技士3名に臨床検査技師が内視鏡業務に参入することに対しての期待度,参入した際の満足度,改善された点,改善すべき点,タスク・シフト/シェアの達成度を調査した.【結果】参入することに対しての期待度が「大きく期待している」は50%,「期待している」は17%,「普通」は33%,「期待し臨床側に悪性を疑う細胞が出現しているとコメントで報告を行った.病理部門でも細胞診検査が行われ,PAS染色陽性,腺癌様細胞を認めるとして,肺癌による胸水貯留と診断された.「考察」滲出性が示唆された体腔液では,ギムザ染色標本で細胞の詳細を確認する必要があると考える.ギムザ染色像で悪性を疑う細胞の特徴など確認することが可能であり,一般部門では1時間以内に報告可能となる.また,細胞診検査での診断業務進行の手助けになるとも考えられた.「まとめ」病理部門では異型細胞の有無,血液部門,一般部門では,細胞数や生化学的性状などの報告をしている.病理部門より迅速に検査結果の報告が可能である.また,一般部門では,穿刺液検査に特化した専門的な資格があり,様々な知識や技能を深めることで,臨床側に大きく貢献できると考えられる.今後の専門資格取得者の増加と,一般部門での穿刺液検査の普及に期待したい. 連絡先:0493-72-2333(内線2750)ていない」は0%だった.参入した際の満足度が「期待を大きく上回る」は42%,「期待を上回る」は25%.「普通」は33%,期待を下回るは0%だった.改善された点として,「検体の提出方法が明確化された」,「結果が出る日数などを直接相談できた」,「多職種との連携がしやすくなった」等が挙げられた.改善すべき点として,「検査全体の速さが低下した」,「看護師が介助に入る機会が減り,看護師の指導が進みにくくなった」等が挙げられた.タスク・シフト/シェアに対する達成度が,「大いに達成されている」は25%,「概ね達成されている」は50%,「普通」は25%,「達成されていない」は0%だった.【結語】臨床検査技師が内視鏡業務に参入したことにより,タスク・シフト/シェアの目的が概ね達成されているとともに,多職種とのコミュニケーションが増えたという意見が多くあった.今後も継続的に内視鏡業務へ取り組むと同時に,内視鏡業務以外の分野においても連携を進めていきたい.連絡先 0570-07-1131(内線190)般-10(12:50~13:30)チ-1(10:10~10:30)EntryNo. 17臨床検査技師の内視鏡業務参入一般EntryNo. 53チーム医療体腔液検査を一般部門で行う重要性当院におけるタスク・シフト/シェアの取り組み
元のページ ../index.html#90