一 般○伊藤 真希、橘 宙香、宮澤 夏帆、岡田 茂治埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻◎須長 菜々美1)、織田 喜子1)、杉村 楓1)、石松 寛美1)、前田 友子1)、桑原 千津香1)、渋谷 賢一1)◎須長 菜々美1)、織田 喜子1)、杉村 楓1)、石松 寛美1)、前田 友子1)、桑原 千津香1)、渋谷 賢一1)越谷市立病院1)越谷市立病院1)84尿中異型細胞検出率向上のための取り組み【はじめに】本研究は、学内や自宅でも顕微鏡学習が可能となる学習教材の作成を目指すものである。学内実習では、決められた時間でしか学べず、予習や復習ができなかった経験から顕微鏡学習の機会を改善できる学習教材の開発が必要であり継続した研究を進めている。今回、学内実習で理解が不十分であったが、臨床的意義が高い糸球体型赤血球の鑑別について症例と読影コメントなどの追加を行った。 【方法】顕微鏡:BZ-X800(KEYENCE)、撮影:尿沈渣試料を通常の顕微鏡写真である単焦点写真をバーチャル顕微鏡用にフォーカスを変えた複数枚撮影を行い多焦点写真とした。BZ-X800のZスタックによる多焦点撮影およびフルフォーカス画像合成機能を使用した。使用ソフト:バーチャル顕微鏡ソフト「サイトロン:KIテクノロジー」を使用し写真を編集し「サイトロンビューワー:KIテクノロジー」で学習教材を閲覧する。閲覧環境:①学内設備パソコンからの閲覧は、閲覧権限の付与による学内設備パソコンからの共有フォルダーの利用、②個人パソコンはOneDriveをWeb上で使用し、閲覧制限付きの共有ファイルの利用とした。 【はじめに】我々は尿沈渣と尿細胞診の検査結果について2020年に比較検討を行った.それにより,泌尿器科依頼の新規患者検体に対してすべて鏡検を実施する,病理検査室と定期的なディスカッションを行うなど運用を変更した.今回運用変更後の状況について報告をする.【対象・方法】検討は,2022年1月1日から2022年12月31日までに当院にて尿沈渣を依頼された16,039例のうち,尿沈渣依頼日から前後1週間以内に尿細胞診が提出された975例を対象とした.尿沈渣はUF-5000 (Sysmex社)によるフローサイトメトリー法(以下FCM法)で測定後,当院の鏡検基準に該当したものを目視した.尿細胞診はオートスメア法で標本作成後,Papanicolaou染色を実施した.【結果】今回の検討では,975例のうち尿沈渣が陰性,尿細胞診が陽性・疑陽性の検体は22例であり,結果の不一致の割合は2.3%となった. 前回の検討では7.4%の不一致であったことにより,5.1ポイントの改善が認められた.また,尿沈渣と尿細胞診ともに陽性と判定された検体は23例あり,その9例においては泌尿器科新規患者であった. 学内や自宅で学習できる一般臨床検査学バーチャル顕微鏡教材-尿沈渣-の作成○伊藤真希、橘宙香、宮澤夏帆、岡田茂治 埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻 連絡先:048(965)2221 内線2260-糸球体型赤血球を中心に- 【結果】多焦点写真を編集し学習教材を作成した。読影コメント、鏡検場所の指定、拡大などの付加機能を使用し、写真の解説や予習・復習などの自己学習への対応を行った。特に糸球体型赤血球の観察時に必要な事項として、顕微鏡の微動レバーの上下操作の必要性、不均一で多彩な形態・大小不同・赤血球円柱が認められる場合があること、糸球体型赤血球の形態は、ドーナツ状不均一赤血球、有棘状不均一赤血球、ドーナツ・有棘状不均一混合型赤血球等に分類されることを読影コメントとして追加した。 【考察】検査技術学専攻において、顕微鏡検査の技術習得は重要な学習課題であり、理解と習熟には多くの経験と時間を要する。学生としての学習目標は、初歩的レベルではあるが、臨床現場での業務を想定し、細胞の基本的鑑別を疾患と結びつけながら習得することを目指し、鏡検学習への理解と経験を深められる教材の作成を目指した。 【結語】今後も継続して研究し、さらに臨床的に有用な沈渣成分についても深く学ぶことができる学習教材として拡充していきたい。 連絡先:048(973)4797 【まとめ】現在の尿沈渣FCM法は鏡検法に比べ精度の面で限界がある.今回の検討で,泌尿器科新規患者検体をすべて鏡検したことにより,尿沈渣中の異型細胞,分類不能細胞の検出率は向上した.そのため泌尿器科新規患者においては機械の見逃しを防ぐため,技師による鏡検が必須であると言えた.尿沈渣で異型細胞,分類不能細胞の判定に迷った際に,尿細胞診結果と照らし合わせてディスカッションを行うことは判定精度の向上へと繋がっている.今後も尿沈渣での異型細胞,分類不能細胞の検出率をあげるために,UF-5000で表示されるコメントや患者背景を参考にして鏡検を行うことを徹底し,一般検査室と病理検査室が連携を図ることで悪性腫瘍の早期発見に貢献していきたい. 一般一般EntryNo. 7般-2(9:30~10:30)般-3(9:30~10:30)-糸球体型赤血球を中心に-学内や自宅で学習できる一般臨床検査学バーチャル顕微鏡教材-尿沈渣-の作成尿中異型細胞検出率向上のための取り組み
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