埼臨技会誌 Vol.70 補冊 2023_電子ブック
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血 液一 般→97.5%,扁平上皮99.3%→98.9%,細菌97.5%→99.6%となった.【考察・結語】AI-4510のバージョンアップに伴い,4項目(赤血球・白血球・扁平上皮・細菌)ともver1.16においてver1.11より良好な相関が得られた.AI-4510は画像が記録されているため,後から分類のレビューを行うことも可能◎髙橋 諒采1)、渡邉 裕樹1)、島田 崇史1)、鈴木 美子1)、大野 優子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)◎髙橋 諒采1)、渡邉 裕樹1)、島田 崇史1)、鈴木 美子1)、大野 優子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)埼玉医科大学 総合医療センター1)埼玉医科大学 総合医療センター1)◎早坂 美砂、菅谷 美彩子、金田 太朗1)◎早坂 美砂、菅谷 美彩子、金田 太朗1)独立行政法人 国立病院機構 埼玉病院1)独立行政法人 国立病院機構 埼玉病院1)肺癌に対するがん遺伝子パネル検査により偶然診断できた本態性血小板血症83連絡先:049(228)3498【はじめに】複数の遺伝子変異を同時に検出できるコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test マルチ研究用46遺伝子解析検査(FFPE)」(以下オンコマイン検査)は分子標的薬における治療適応の判定を補助することが可能である.今回我々は,肺癌の治療目的にオンコマイン検査を実施した患者より,EML-4ALKとJAK2に遺伝子変異を認め,本態性血小板血症(以下ET)の診断の一助となった症例を経験したので報告する.【症例】60歳代,男性.20XX年10月より乾性咳,その後湿性咳が出現していた.健診にて胸部陰影を指摘され前医を受診し,CT画像所見より肺癌が疑われ精査加療目的で当院へ紹介となった.既往歴は特になく,入院時の検査所見では末梢血液中の血小板数が65.2×104 /μLと高値を示した.【経過・結果】当院受診時のCT画像所見より両肺多発結節影増大,両肺にすりガラス状の結節陰影の拡大が認められPET/CT,病理組織検査の結果から右下葉肺腺癌と診断された.気管支鏡検査および化学療養実施目的のため入院となり,病状の悪化により2剤併用CBDCA+PEMによる治【背景・目的】当検査室では,ルーチン業務において尿沈査は全検体目視で報告している.尿沈渣自動分析装置AI-4510のバージョンアップ(Ver1.11からVer1.16)を行うに当たり,装置で撮像した画像確認のみで検査結果の送信が可能となれば業務負担軽減に繋がると考え,目視鏡検との相関を求めた.【方法】2023年3月8日から2023年3月10日まで尿沈渣検査オーダーのあった278検体のAI-4510(Ver1.11)で測定された結果(赤血球・白血球・扁平上皮・細菌)と目視鏡検結果の相関を求めた.また,2023年7月19日から2023年7月21日まで尿沈渣検査オーダーのあった275検体のAI-4510(Ver1.16)で測定された結果(赤血球・白血球・扁平上皮・細菌)と目視鏡検結果の相関を求めた.【結果】バージョンアップ前後を比較すると,AI-4510と鏡検の完全一致率は,赤血球70.1%→70.2%,白血球73.7%→75.6%,扁平上皮87.8%→89.5%,細菌66.5%→69.1%となった.±1ランク一致率は,赤血球96.0%→94.5%,白血球93.9%療を開始した.後日,オンコマイン検査の結果EML-4ALKとJAK2に遺伝子変異を認めた.肺癌に関してはALK融合遺伝子陽性肺癌としてALK阻害剤のアレクチニブ投与を開始した.JAK2に対しては末梢血の血小板数増加によりETが疑われ,肺癌の治療開始後に当院血液内科受診となった.骨髄検査を実施しETと診断された.現在,ETに関して血小板数は35.0×104 /μLから40.0×104 /μLを推移しているため,経過観察となった.【考察・結語】肺癌の治療目的にオンコマイン検査を実施し,複数の遺伝子変異を認めた症例を経験した.JAK2は造血器腫瘍や心血管腫瘍への関与も示唆されているが,本症例では末梢血の血小板数の増加や骨髄検査よりETと診断された.コンパニオン検査として実施したオンコマイン検査で,複数のドライバー遺伝子が検出される場合,検出された遺伝子変異と疾患における関連性を総合的に解釈し,診断や治療に役立てることが求められている. となる.今回の相関性を確認する際も,一致しないものにおいて,その原因の究明を画像を用いて行った.また乖離した検体の一部は撮像した画像を確認することによって,必要時のみ目視鏡検を行う運用に変更できるのではないかと考えられる.今後は鏡検必須条件を設定し,条件に当てはまらなかったものはAI-4510のデータを自動送信する,またはAI-4510の画像確認を行うなどして業務負担軽減に繋げていきたい.連絡先:048(450)1145血-7(9:30~10:40)般-1(9:30~10:30)血液EntryNo. 28一般EntryNo. 3肺癌に対するがん遺伝子パネル検査により偶然診断できた当院の一般検査業務における尿沈渣自動分析装置当院の一般検査業務における尿沈渣自動分析装置AI-4510の有用性についてAI-4510の有用性について本態性血小板血症

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