生 理連絡先:049(228)3520◎荒木 一栞1)、大貫 恵里子、林 明弘、後藤 まりな、大塚 美希、菅 和子、小坂 元治◎荒木 一栞1)、大貫 恵里子、林 明弘、後藤 まりな、大塚 美希、菅 和子、小坂 元治 医療法人社団康幸会かわぐち心臓呼吸器病院1) 医療法人社団康幸会かわぐち心臓呼吸器病院1)◎田中 映美1)、山下 美奈子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)◎田中 映美1)、山下 美奈子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)埼玉医科大学 総合医療センター1)埼玉医科大学 総合医療センター1)76連絡先■048-264-5533(代表) <背景> 当院では週一回、ドクターとエコー検査技師で症例の報告・検討を行っている。その症例の中で昨今増加傾向にあるVTE症例について、DVTから急性PEを発症した症例と中枢側静脈血栓から急性PEさらには再発後にCTEPHへ移行した症例を経験した。 <概要> 静脈血栓塞栓症(VTE)は肺塞栓症(PTE)と深部静脈血栓症(DVT)を総称した病態。 肺塞栓症(PTE)は肺動脈が血栓塞栓子により閉塞する疾患。塞栓子により肺の組織が壊死に陥ると肺梗塞となり場合によりショック状態や突然死に至る可能性がある。塞栓源の約90%は下肢や骨盤内血栓である。 深部静脈血栓症(DVT)は四肢の深筋膜より深い部分を走行する深部静脈や腕頭静脈、上大静脈、腸骨静脈、下大静脈に生じる血栓症。特に下肢・骨盤内静脈での発生が大部分を占めている。■ 【はじめに】胸腺は両側第3咽頭嚢より発生し,下降して前縦隔部に達する際に合体し正常胸腺へと分化するが,この段階の異常により頚部,胸部に異所性胸腺がしばしば発生する.異所性胸腺から胸腺腫が発生することは稀である.今回我々は,術後診断に至った頚部に発生した胸腺腫の1例を経験したので報告する.【症例】49歳男性.近医で施行したCTにて左縦隔腫瘍を指摘され当院呼吸器外科へ紹介受診となった.腫瘍は甲状腺左葉から上縦隔,気管側面に進展していた.既往歴はなく,自覚症状もなかった.【血液検査所見】甲状腺機能は正常であった.(FT3 2.98pg/mL,FT4 1.40ng/dL,TSH 1.44µIU/mL,サイログロブリン5.49ng/mL)【甲状腺超音波所見】甲状腺左葉下極下に56×37×26mmの分葉状,内部不均一で低エコーな充実性腫瘤を認めた.辺縁は平滑で周囲への浸潤像は認めないが,気管への圧排所見は見られた.また,腫瘤は周囲や内部に豊富な血流シグナルを認めた.エコー上は,甲状腺結節像と異なる印象で<症例> 症例1■外腸骨静脈可動性血栓から急性肺塞栓症を ■■■ 発症した症例 症例2■IVC血栓から急性肺塞栓症を発症し、 ■■■ 治療後の再発においてCTEPHへ移行した症例 検査データおよびCT・エコー画像を表示して症例報告を行う。 <結論> 当院での検査は増加傾向にあり、DVT陽性率は54%と検査の半数以上が陽性であった。また、DVT陽性者の26%はPEを合併していた。総件数の15%にPEが発症しており、検査にあたり注意深く観察する必要性を痛感した。 昨今のコロナ患者の増加や新型ワクチンの普及、担癌患者の増加、高齢化で血栓形成要因はますます増加してきている。今後もVTEに罹患する患者は増加することが懸念される。見逃しのないように、患者背景を含めた観察、手技の研鑽を行う。 あり,由来不明だが甲状腺外の腫瘤を疑う所見であった.頚部に腫大したリンパ節は認められなかった.【穿刺吸引細胞診所見】甲状腺由来の病変かは不明で良悪の鑑別も困難であった.【MRI所見】甲状腺左葉下極から上縦隔内に進展する腫瘤を認めた.病変近傍を走行する左総頚動脈,気管,食道への浸潤を疑う所見はなく,甲状腺左葉腫瘤(腺腫)が疑われた.【病理組織診断】胸腺腫type ABの像で,typeB1が主体.腫瘍は被膜外に浸潤していた.胸腺上皮性腫瘍の正岡分類はⅡ期,TNM分類ではpT1aと診断された.【考察・まとめ】今回,比較的稀な1例を経験した.術前検査にて,胸腺腫の診断は困難であったが,超音波検査は病変内部や周囲との連続性を詳細に観察することができる.今後,頚部に認める腫瘤を観察した場合,本疾患も念頭におく必要があると考えられる.静脈血栓塞栓症(VTE)症例 頚部に発生した異所性胸腺腫の1例生理生理EntryNo. 36生-11(12:50~13:40)生-12(12:50~13:40)静脈血栓塞栓症(VTE)症例頚部に発生した異所性胸腺腫の1例
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