埼臨技会誌 Vol.70 補冊 2023_電子ブック
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生 理 ◎長江 結乃1)、関口 知詠子1)、神澤 和樹1)、佐野 恵1)、御手洗 友海1)、猪浦 一人1)◎長江 結乃1)、関口 知詠子1)、神澤 和樹1)、佐野 恵1)、御手洗 友海1)、猪浦 一人1)埼玉県済生会加須病院1)埼玉県済生会加須病院1)74連絡先:049(228)3498 エルゴメータ運動負荷心エコー検査で診断・治療に繋がった2症例生理機能検査室における外来・病棟心電図管理の改善に向けた取り組み 【はじめに】労作時息切れを訴える患者の原因疾患として虚血性心疾患,弁膜症,心不全,高血圧,肺疾患などが挙げられる.運動負荷心エコー検査は安静時経胸壁心エコー検査(以下TTE)では知り得ない多くの有益な情報を得られる検査である.今回,当院にてエルゴメータ運動負荷心エコー検査(以下運動TTE)を導入し,診断と治療に繋げることができた2症例を報告する.【症例1】70歳代女性.高血圧,慢性腎臓病の既往.歩行時呼吸困難と疲労感を主訴に当院紹介受診となり,TTEを施行し大動脈弁狭窄症(以下AS)と肺高血圧症(以下PH)の再評価のため運動TTEを施行した.TTE所見:EF 65%, SVI 41.8ml/m2, AVmax 3.0m/s, MPG 20.4mmHg, AVA 0.94cm2, TRV 3.0m/s, LAVI 51.5ml/m2, 平均E/e’22. 運動TTE所見:EF 68%,SVI 41.9ml/m2, AVmax 3.2m/s, MPG 20.6mmHg, AVA 1.02cm2, TRV 4.2m/s, LAVI 51.7ml/m2,平均E/e’24.7.負荷開始に伴い,強い喘鳴が出現し,TRVの上昇を認めた.負荷前TTEと運動TTEの所見から左室駆出率が保たれた心不全(以下HFpEF)に伴う運動誘発性肺高血圧と診断された. ◎三戸部 采佳1)、安田 あさみ1)、金島 奈津子1)、山下 美奈子1)、大野 優子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1) ◎三戸部 采佳1) 、安田 あさみ1)、金島 奈津子1)、山下 美奈子1)、大野 優子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)埼玉医科大学 総合医療センター1) 埼玉医科大学 総合医療センター1)【はじめに】当院では外来や病棟に心電計を設置し,看護師が記録を行っている.使用頻度の高い部署のみ,心電図データが保存されたSDカードを臨床検査技師が回収し,患者情報の確認・修正後に電子カルテへ反映させていた.また,看護師が処置オーダーを入力することで会計情報を送信していた.今回,心電図データ管理の改善に向けた取り組みについて報告する. 【システム構成】 電子カルテシステム:富士通 成長型電子カルテシステムHOPE EGMAIN-GX 生理機能検査システム:フクダ電子 MBF-1000,HiMEDiON 外来・病棟用心電計:FCP-8600,FCP-8700 【運用方法】外来や病棟の心電計を院内情報ネットワーク(LAN)に繋ぎオンライン化を行った.心電図を行う際には以下の手順で行う.①医師によるオーダー入力②心電計へ患者ID入力③心電図記録④データ送信(結果送信により会計実施がかかる) 【結果】各種件数について運用変更前後6ヶ月で比較した. 【症例2】80歳代女性.労作性狭心症,高血圧,無症候性中等症ASの既往.労作時息切れを主訴に心臓カテーテル治療を施行したが,その後も息切れの症状が改善されず,中等症ASの関与を疑い運動TTEを施行した.TTE所見:EF 52%, SVI 57.8ml/m2, AVmax 3.5m/s, MPG 32mmHg, AVA 0.93cm2, TRV 2.5m/s, LAVI 31.0ml/m2, 平均E/e’12.7.運動TTE所見:EF 54%, SVI 60.2ml/m2, AVmax 4.4m/s, MPG 43.6mmHg, AVA0.88cm2, TRV3.3m/s, LAVI 39.5ml/m2, 平均E/e’18.3. 25W程度の負荷で普段感じる息切れが再現され,AVmaxの上昇と左室拡張機能障害を認めた.運動TTEの所見から重症ASを伴うHFpEFと診断された.【考察】今回の症例から運動TTEは生理的な心負荷を加えることで患者の症状・血行動態の変化を経時的に評価することが可能であり,特に弁膜症の重症度評価やHFpEF, PHの診断に有用な検査であると考えられた.質の高い検査を提供するため,症例数を増やし,労作時息切れの早期診断・予防に活かしていきたいと思う.心電図件数2063件→2333件(13.1%増加),患者情報修正件数979件→6件(99.4%減少),会計漏れ件数581件→0件,電子カルテへ結果反映平均時間20時間43分→3時間14分(84.4%減少) 【考察】オンライン化により,今まで臨床検査技師がデータの回収・修正・送信を行っていた手間等が省け業務改善に繋がった. 心電図の記録データは検査後すぐに電子カルテに反映され,過去の記録と比較が容易になった.また,検査前にオーダーを立てることで会計漏れが無くなり収益の向上に繋がった. 【まとめ】救命やERにおいて心電計の使用頻度が高く,心電図は重要な検査である.オンライン化により,業務の効率化・医療安全の向上・迅速な検査の実施に繋がり,医療従事者だけではなく患者さんに対しても大きな利益をもたらすと考えられる.今後,全外来や病棟の心電計のオンライン化も進めていきたい.■■■■■■■■■■■■■■■ 連絡先:0480-70-0888(内線番号2078)生理EntryNo. 37生理生理機能検査室における外来・病棟心電図管理の改善に向けた取り組み生-7(9:30~11:05)エルゴメータ運動負荷心エコー検査で診断・治療に繋がった2症例生-8(9:30~11:05)

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