埼臨技会誌 Vol.70 補冊 2023_電子ブック
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〇小島弥子,柏本楓子,舘野結衣,中谷帆乃加,大塚裕子,庄司拓哉,植松明和 大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科 生 理○小島 弥子,柏本 楓子,舘野 結衣,中谷 帆乃加,大塚 裕子,庄司 拓哉,植松 明和大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科◎奥平 舞1)、川井 千穂1)、茂木 嵩宏1)、太田 裕登1)、福地 聡子1)、石井 圭一1)、南雲 裕次1)◎奥平 舞1)、川井 千穂1)、茂木 嵩宏1)、太田 裕登1)、福地 聡子1)、石井 圭一1)、南雲 裕次1)戸田中央メディカルケアグループ TMGあさか医療センター1)戸田中央メディカルケアグループ TMG あさか医療センター1)72【はじめに】腓骨神経の運動神経伝導検査(NCS)で記録筋として用いられる短趾伸筋(EDB)は,通常深腓骨神経によって支配されるが,電気生理学的検討によれば20~30%の割合で,浅腓骨神経から分岐した副深腓骨神経の支配も受けているとされている.今回われわれは,NCSにて副深腓骨神経の検出をおこない若干の知見を得たので報告する.【対象】本学にて2023年6~7月の期間にNCSを施行した学生被検者30名(男性:14名,女性16名),平均年齢21.0才の両側下肢60肢を対象とした.【方法】検査方法は,belly-tendon 法に基づきEDBに記録電極を装着し,すべての被検者の両側下肢に対し,足首部(遠位)刺激,腓骨頭遠位部(近位)刺激および副深腓骨神経の走行路である外顆後方部刺激をおこなった.副深腓骨神経の判定基準としては,外顆後方部刺激にて陰性波を認めた場合,副深腓骨神経ありとした.使用機器は日本光電社筋電図計MEB-9600を用いた.【結果】外顆後方部刺激にて,30名60肢中副深腓骨神経を認めたのは,13名19肢であった.内訳としては,男女共に3名が両側,男性5名および女性2名が片側に副深腓骨神経を認めた. 【はじめに】外来患者の脳波検査において検査中発作に遭遇することは稀であるが,技師による適切な対応(発作症状観察・意識確認等)がてんかん診断に有用な情報となりうる.発作には,明らかな臨床症状を伴うものと伴わないもの(脳波上発作波形のみ)が存在する.今回,外来患者の脳波記録中に遭遇した発作に対して,技師の発作認識(発作に気付いたかどうか)と対応について後方視的に調査したので報告する.【方法】2018年1月~2022年12月に外来脳波検査を施行した4320名を対象とし,医師による脳波報告書より発作の有無を抽出した.「発作あり」群で,「臨床症状を伴う発作」と「臨床症状を伴わない発作」に分類し,各々で技師の「発作認識」と「適切な対応」の有無を調査した.【結果】全検査中「発作あり」は85名(2.0%)であった.「発作あり」群で,「臨床症状を伴う発作」は33名(39%),「臨床症状を伴わない発作」は52名(61%)であった.「臨床症状を伴う発作」群で,「発作認識あり」は26名(79%),内「適切な対応あり」は12名(46%)であった.「臨床症状を伴わない発作」群で,「発作認識あり」は28名(54%),内「適切振幅については,腓骨神経足首部刺激EDB導出CMAPと腓骨神経腓骨頭遠位部刺激EDB導出CMAPを比較すると,近位刺激CMAP振幅>遠位刺激CMAP振幅となったのは,11名17肢であった.【考察】副深腓骨神経を認めた人は43.3%(13/30名)であり,全肢における副深腓骨神経を認めた割合は31.7%(19/60肢)であった.高率となった理由として,通常であれば近位刺激CMAP振幅>遠位刺激CMAP振幅となった場合にのみ外顆後方部刺激を用いて副深腓骨神経を検出するため,本来であれば,遠位刺激CMAP振幅>近位刺激CMAP振幅となり,外顆後方刺激をおこなう必要のない2名2肢についても本研究では副深腓骨神経を認めたとされたことが原因の一つとして考えられた.副深腓骨神経を認めた13名中6名については両側に認めたため,スクリーニング検査にて片側に副深腓骨神経を認めた場合,反対側にも半分程度は存在する可能性が考えられた.しかし,本研究においては被検者件数が少ないことによる結果の偏りがみられたことも考えられるため本研究を継続し,副深腓骨神経の両側率を含め精査していきたい.連絡先:0493-31-1501 な対応あり」は20名(71%)であった.【考察】技師の発作認識に関して,「臨床症状を伴う発作」群で認識度は高かった.運動発作など明らかな症状が出現した際の患者異変に技師は気付きやすかったといえる.一方,「臨床症状を伴わない発作」群の認識度は低かったが,その52名中29名は欠神発作であり認識度は83%(24名/29名)と高く,欠神発作以外の23名はわずか4名(17%)のみの認識となった.理由として,欠神発作の発作波形は典型的パターンを呈し判断しやすいのに対し,欠神発作以外の発作波形は高度な脳波判読能力を要し技師がそのレベルに達していないことが考えられた.発作時の適切な対応に関しては,「臨床症状を伴う発作」群で低い結果となった.発作の様子を具体的に把握しておらず脳波上の技師によるコメント記録が出来ていなかったことが原因であった.今後,脳波判読向上のための勉強会や「発作時対応マニュアル」の作成を行い,技師間レベル差の軽減を図り質の高い脳波検査を提供していきたい.連絡先:0570-07-2055運動神経伝導検査における副深腓骨神経の検出 当院の外来脳波検査における発作時対応の現状と課題生理生理EntryNo. 45生-3(9:30~11:05)生-4(9:30~11:05)当院の外来脳波検査における発作時対応の現状と課題運動神経伝導検査における副深腓骨神経の検出

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