埼臨技会誌 Vol.70 補冊 2023_電子ブック
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■ 鈴木 直樹1),木村 豪1),滝野 景1),于 連升2),菅原 庸2),鹿山 鎭男2),村井 美代1),岸井 こずゑ1)鈴木 直樹1),木村 豪1),滝野 景1), 于 連升2) , 菅原 庸2), 鹿山 鎭男2), 村井 美代1), 岸井 こずゑ1) 埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻1),国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター2)1) 埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻, 2) 国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター■ 1年間のESBL Ecの分離率に有意差はなかったが、ESBLの遺伝子型をみるとA処理場ではCTX-M-1Gが、B処理場ではCTX-M-9Gが最も分離頻度が高かった。このことから、薬剤耐性遺伝子の遺伝子型構成には地域差がある可能性が7日間移動平均値は277、東京都では同年第4疫学週で同様に190であった。流行期ごとの陽性率は、2021年の第5波で9.76%(865/8862)、2022年の第6波で29.72%(5322/17909)、第7波で43.22%(6964/16455)、2022~2023年の第8波で41.80%(4450/10646)であった。年代別陽性検体数は、埼玉県ではどの流行期でも50歳未満の層で多かったのに対し、東京では第6波と第8波で70代以上の高齢者の陽性検体数が若年者層と同等かそれ以上に多かった。性別では60代までの各年代では埼玉県・東京都ともに男性が多く、70代以上では両県ともに女性が多い傾向が認められた。微生物・その他◎矢島 涼1)、田口 紘平1)◎矢島 涼1)、田口 紘平1)株式会社メデカルアシスト クリニカルメディスン1)株式会社メデカルアシスト クリニカルメディスン1)70定し、微量液体希釈法による薬剤感受性試験を行った。 【結果】 ■1年間のESBL Ecの分離率は、A処理場では3.77%、B処理場では3.21%であった。ESBL Ecの遺伝子型は、A処理場では30株中14株(47%)がCTX-M-1G、13株 (44%)がCTX-M-9G、1株 (3%)がCTX-M-8G、1株 (3%)がTEM型を保有し、1株については判定不能 (NT)であった。B処理場では24株中15株 (62%)がCTX-M-9G、4株(17%)がCTX-M-1G、2株 (8%)がTEM型を保有し、3株はNTであった。 【考察】 示された。市中における薬剤耐性菌の地域差を把握することは、伝播の要因究明や対策に繋がると考える。今後も継続的な監視が必要である。 【まとめ】検査件数、陽性件数、陽性率は厚労省のデータと概ね相関が認められた。第7波以降では20歳未満の若年者層と70代以上の高齢者層における陽性者の増加が認められ、広範な年代への感染拡大が示唆された。また70代以上の陽性者に女性が多かったことについては、高齢者施設や在宅患者における女性人口の優位さの反映と考えられた。連絡先:048-871-8288連絡先:048(973)4727(直通) 【はじめに】■■基質特異性拡張型βラクタマーゼ (ESBL)産生菌は薬剤耐性菌の1つであり、近年急激な増加が問題となっている。本菌は、院内感染に加えて市中感染の起因菌にもなるほか、健常保菌者を通して医療環境に持ち込まれる危険性がある。本菌の伝播を防ぐため、健常者を含む市中の動向を監視することが重要である。本研究では、県内2カ所の下水処理場にて1年を通して採取した下水由来のESBL産生Escherichia coli (ESBL Ec)のESBLの遺伝子型を解析し、地域間で比較した。 【対象】 ■埼玉県の下水処理場2ヵ所にて、A処理場では2020年10月から2021年8月、B処理場では2021年4月から2022年2月まで2ヵ月毎に下水 (流入水)を採取した。その下水から分離したESBL Ecそれぞれ30株および24株を対象とした。 【方法】 ■TBX agarによって下水からE. coliを分離した。その中からCTX 4μg/mLを添加したTBX agarによってCTX耐性株を分離した。multiplexPCRによりESBL遺伝子型グループを決【はじめに】新型コロナウイルス感染症は、2019年12月に中国で初めて感染が確認されてから、爆発的に世界への感染が拡大した。現在わが国の感染状況は沖縄県を除いて比較的落ち着いているが、夏季に向けて予断を許さない。今回は当施設で2021年4月から開始した新型コロナウイルス検査結果について集計したので報告する。【対象及び方法】2021年5月3日~2023年4月30日に検査を実施した埼玉県と東京都の唾液及び鼻咽頭拭い液検体について、疫学週ごとの検査検体数、陽性検体数の7日間平均を求め陽性率を算出。厚労省の都道府県別感染情報と比較した。また流行期ごとの年代別・性別の陽性率を比較した。検査方法はリアルタイムPCR法で、測定機器はLight-Cycler 96(ロシュダイアグノステイックス)を使用した。【結果】当施設での総検体数70194のうち陽性検体数は20808で、陽性率は29.6%であった。内訳は唾液検体数が12193、鼻咽頭拭い液検体数が8615であった。疫学週ごとの検査件数のピークは、埼玉県では2022年第3疫学週で新型コロナウイルスの集計からわかる傾向について微生物・その他微生物・その他EntryNo. 16微-8(12:50~13:40)他-2(12:50~13:40)下水由来ESBL産生Escherichia coliの分離率と下水由来ESBL産生Escherichia coliの分離率と遺伝子型に関する地域間の比較 遺伝子型に関する地域差の検討新型コロナウイルスの集計からわかる傾向について

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