埼臨技会誌 Vol.70 補冊 2023_電子ブック
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紡)を用いて、平板培地上のコロニーから滅菌爪楊枝でコロニーを少量採取して行うコロニーダイレクトPCRを行い、アガロースゲル電気泳動で増幅産物を確認した。 【結果と考察】 今回行ったmultiplex PCRにより、CA-MRSA/JクローンではSCCmecⅣl特異的なspjに加え、tst、secの3遺伝子を確認することができた。またUSA-300クローンではarcAとlukF-PVを確認できた。 さらに臨床においてCA-MRSAの感染制御へ活用出来る検査法としての確立を目指して、今後はクローン未特定のMRSAについて、今回構築したコロニーダイレクトmultiplex PCRでCA-MRSAのクローンの同定ないし推定が可能であるか検討する予定である。 【結語】 KOD One PCR Master Mixを用いたコロニーダイレクトPCRで、CA-MRSA/Jクローンを特定するmultiplex-PCRを実施できることが確認できた。 微生物・その他◎村山 浩基1)、久常 順三2)、于 連升2)、鹿山 鎭男2)、菅原 庸2)、菅井 基行2)、岸井 こずゑ1)、村井 美代1)埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、国立感染研究所 薬剤耐性研究センター2)◎山根 潤也1)、佐藤 裕太1)、山津 圭子1)、菊池 航介1)、宮内 優太1)、辻 智恵子1)、猪浦 一人1)◎山根 潤也1)、佐藤 裕太1)、山津 圭子1)、菊池 航介1)、宮内 優太1)、辻 智恵子1)、猪浦 一人1)埼玉県済生会加須病院1)埼玉県済生会加須病院1)連絡先:048ff973■4728■67連絡先0480-70-0888 内線2073◎村山浩基1)、久常順三2)、于連升2)、鹿山鎭男2)、菅原庸2)、菅井基行2)、岸井こずゑ1)、村井美代1) 埼玉県立大学■健康開発学科■検査技術科学専攻1)、国立感染研究所■薬剤耐性研究センター2) 【はじめに】 市中感染型MRSA (CA-MRSA)は医療機関に関係なく健常者に感染する薬剤耐性菌で、従来の院内感染型MRSA (HA-MRSA)と区別されていたが、近年は院内でも多く分離されるようになった。 CA-MRSAの中には、臨床上問題となる毒素TSST-1などを産生するCA-MRSA/JやPanton-Valentine leukocidin (PVL)を産生するUSA300などのクローンが存在し、院内感染にも注意が必要である。しかし日常検査の中でMRSAのクローン特定まで行うことは難しい。本研究では、これらのCA-MRSAのクローンを、DNA抽出を行わずに行うコロニーダイレクトPCRで特定出来ないか検討した。 【対象と方法】 埼玉県内の下水と臨床から分離され、すでに保有遺伝子が明らかなHA-およびCA-MRSAについて、mecAおよびCA-MRSAを特徴付けることが出来る5つの遺伝子、SCCmecⅣl_spj、tst、sec、ACME_arcA、lukF-PVを対象にmultiplex-PCRを設定した。KOD One PCR Master Mix (東洋【はじめに】Clostridioides difficileは嫌気性有芽胞グラム陽性桿菌の1種である.易感染状態または抗菌薬投与による腸管細菌叢の撹乱を契機として増殖する.その結果C. difficile感染症(CDI)を引き起こし,外毒素であるCDトキシンが検出される.今回,我々はルーチン検査で実施している迅速診断キット,培養検査結果の集計と比較を行ったので報告する.【対象】2020年4月から2023年3月までの3年間で迅速診断キット検査と培養検査の双方が同時依頼された305件の結果を集計した.【材料・方法】自然排出された便を検体とした.迅速診断キットはTECHLAB C.DIFF QUIKCHEK コンプリートキット(コージンバイオ)を使用し測定を行った.選択培地はアキュレートEXCCMA培地EX(島津ダイアグノスティクス)を使用した.培地の上端へ綿棒で30μL程度採った便を塗布し白金耳にて画線後,嫌気パウチに入れ35℃で48時間培養し発育を確認した.C. difficileを疑うコロニーが認められた場合,最低2コロニー以上を白金線にて掻きコロニーダイレクトPCRによるCA-MRSAクローンの特定の試み 取って検体とし,上記の迅速診断キットによりCD抗原(以下GDH)・CDトキシン産生の有無を確認した.【結果】便でGDH陰性CDトキシン陰性は218件あったが,すべて培養後発育陰性であった.【考察】CDトキシンは菌の絶対数がなければ検出が難しく,培養検査の実施が望ましいことを再確認できた. C. difficileの有無を確認する意味での迅速診断キット検査は有用であることが分かった.また,迅速診断キットでのCDトキシン陽性は信頼できることが確認できた.【結語】迅速診断キットの長所・短所を理解し,培養検査の追加や省略を依頼する.CDトキシン陰性でも臨床経過を考慮して総合的に判断していただくよう臨床医へ伝える等のアプローチをしていくことが重要だと考える.微生物・その他微生物・その他EntryNo. 41微-2(9:30~10:10)微-3(9:30~10:10)培養結果から見たClostridioides diffficile抗原・培養結果から見たClostridioides diffficile抗原・トキシン迅速診断キットの有用性トキシン迅速診断キットの有用性コロニーダイレクトPCRによるCA-MRSAクローンの特定の試み

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