埼臨技会誌 Vol.70 補冊 2023_電子ブック
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免疫血清連絡先:0480(53)3930◎栗原 慧伍1)、水野 由貴1)、鯨井 智子1)、神山 清志1)◎栗原 慧伍1)、水野 由貴1)、鯨井 智子1)、神山 清志1)浦和医師会 メディカルセンター1)浦和医師会 メディカルセンター1)◎加藤 鉄平1)、佐藤 祥子1)、落合 仁美1)、下元 怜美1)、畠山 結那1)、小室 汰樹1)、太田 恵1)、猪浦 一人1)◎加藤 鉄平1)、佐藤 祥子1)、落合 仁美1)、下元 怜美1)、畠山 結那1)、小室 汰樹1)、太田 恵1)、猪浦 一人1)埼玉県済生会加須病院1)埼玉県済生会加須病院1)64さいたま市前立腺がん検診について【はじめに】さいたま市では、50~80歳の男性を対象に前立腺がん検診を行っている。前立腺がんは死亡率はあまり高くないが、男性のがん罹患数の第1位となっている。当センターでは、浦和、岩槻、与野の3地区のさいたま市前立腺がん検診を受託しており、検査結果に従い、要精密検査、精密検査不要のふるい分けを行っている。今回、当センターにて2018年4月から2023年3月までの5年間で依頼があった61,655件を対象として検討を行ったので報告する。【対象・方法】対象は、5年間に依頼があった61,655件を対象とした。測定機器はARCHITECT i1000SR(アボットジャパン株式会社)、測定試薬はトータルPSAアボット(アボットジャパン株式会社)を使用した。PSA測定値が0.0~4.0 ng/mLを精密検査不要、4.1 ng/mL以上を要精密検査と判定した。また、4.1~10.0ng/mLはグレーゾーンと判定した。【結果】5年間の要精密検査対象者の総数は5,313名で平均要精密検査率は8.6%であった。年度別では2018年度が8.0%、2019年度が8.4%、2020年度が8.3%、2021年度が9.7%、2022年度が8.7%であった。【はじめに】クリオグロブリンは寒冷により沈殿し,37℃で再溶解する温度依存性の異常蛋白である.今回,多発性骨髄腫患者の検体に室温下で異常な白濁と沈殿物が見られ,測定に苦慮した症例を経験したので報告する.【症例】70代男性,貧血精査にて当院消化器内科を受診.TPの上昇とAlbの低下を認め,多発性骨髄腫の疑いで血液内科へ転科となった.【検査所見】初診時の検査では,血清検体サンプリング時にフィブリン検出エラーが発生し,再度遠心し測定した.TP9.6g/dL,Alb2.9g/dL,CRE1.55mg/dL,BUN26mg/dL,Ca9.87mg/dL,AST34U/L,ALT19U/L,LD265U/L.HBsAg,HCVAbは陰性であった.血算検体では,時間経過とともにサンプル吸引エラーが発生し,血液像目視にて,クリオグロブリン様物質を確認した.後日行われた骨髄検査で形質細胞を23.2%認め,多発性骨髄腫症の診断となった.外注検査より報告された血清免疫グロブリン(Ig)の結果ではIgG1241mg/dL,IgA85mg/dL,IgM52mg/dLでIgG-κ型M蛋白が検出されたが,Igの結果が診断と一致しないことに疑問が残った. PSAの動向について年代別では50~59歳が2.2%、60~69歳が7.1%、70~79歳が11.0%、80歳が13.3%であった。PSA測定値別では、グレーゾーンが85%以上を占めていた。【考察】年度別では要精密検査率に大きい差は見られなかった。年代別では年代が上がるにつれて要精密検査率も上がっていた。PSA測定値別ではどの年度も4.1~10.0 ng/mLのグレーゾーンが多く、全体の85%以上を占めていた。要精密検査対象者の大部分がグレーゾーンであり、PSA検査は要精密検査、精密検査不要のスクリーニング検査として有用であると考える。早期での発見なら完治が期待できるため、定期的に検診を受け、がんの早期発見、治療を行うことでより死亡率を減少させることができると考える。連絡先:048-824-1629(内線:317)【経過】その後の採血で,室温にて白濁,沈殿が見られたため,加温後測定した結果と沈殿物を除去した上清の結果を比較した.前者ではTP10.4g/dL,後者ではTP6.9g/dLと測定値に差が生じた.Igの測定は外注項目であるため,冷蔵による沈殿物の析出を考慮し,加温の有無によるデータの報告を依頼した.IgGの結果は,加温あり5879mg/dL,加温なし1091mg/dLと大きく乖離した.これにより沈殿物は多発性骨髄腫由来のクリオグロブリンであると推測した.以降,採血直後に37℃で加温できるよう,採血室と検査室内で情報を共有した.VCD療法開始後,IgGの低下とともに室温放置で白濁,沈殿が見られなくなったが,引き続き加温して測定している.【結語】正確な検査結果を得るためには,検体の性状確認,患者情報の収集は必須である.院内のみならず,外注で行っている検査においても検体提出から測定までの流れを理解し,情報共有を行わなければ正しい結果を得ることはできない. 今回の症例から,臨床,検査室,外注先で連携することの重要性を改めて認識することができた.多発性骨髄腫患者で見られたクリオグロブリンにより測定に苦慮した1症例免疫血清免疫血清免-2(9:30~11:15)免-3(9:30~11:15)PSAの動向についてEntryNo. 24EntryNo. 32多発性骨髄腫患者で見られたクリオグロブリンによりさいたま市前立腺がん検診について測定に苦慮した1症例

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