○吉尾 仁美(島津ダイアグノスティクス株式会社)100【はじめに】 炎症性腸疾患(IBD)と総称されている指定難病の潰瘍性大腸炎およびクローン病は、近年患者数が増加傾向にある疾患の1つである。現在の患者数は、厚生労働省令和3年度衛生行政報告例の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数によると、潰瘍性大腸炎が138,079人、クローン病が48,320人で、指定難病338疾病のうち潰瘍性大腸炎が2番目、クローン病が4番目に多い状況である。 潰瘍性大腸炎とクローン病の診断手順は厳密には異なるが、持続性または反復性の粘血便や血性下痢、慢性的な腹痛、下痢、発熱など疑われる症状がある際に、理学的検査、病歴、血液検査、細菌培養検査、寄生虫学検査のほか、内視鏡検査、CT、MRIなどの画像検査を実施する。 近年では発症早期での内視鏡など侵襲的な検査前の適用患者の選択や、他の疾病との鑑別診断、活動性、重症度判定にバイオマーカーが活用され始め、2017年に潰瘍性大腸炎の病態把握の補助として便中カルプロテクチンが保険適用となった。 カルプロテクチンは好中球の細胞質成分の60%を占め、腸管炎症時に腸内に排出、糞便とともに体外に排出されるため、腸管の炎症度を反映するバイオマーカーとされている。現在では保険適用範囲が広がり炎症性腸疾患の診断補助及び病態把握の補助検査として有用である。 今回、弊社が2021年より発売を開始している短時間に便中カルプロテクチンの定量が可能な、モノテストタイプの測定試薬である「カルプロテクチン POCT モチダ」および、専用測定装置「Quantum Blue リーダー」をご紹介する。【特長】・カルプロテクチン POCT モチダ 糞便中のカルプロテクチンの測定を金コロイド標識抗カルプロテクチンモノクローナル抗体(マウス)を用いたイムノクロマト法で行うキットである。 同梱の抽出液(専用容器)を用いることにより簡便な採取・抽出ができ、テストカセット(図1)と専用測定装置を用いることで、1検体ずつ糞便中のカルプロテクチン濃度を測定できる(試薬反応時間11〜13分)。図1. テストカセット・Quantum Blue リーダー(図2) 反射率測定法により比色試験の分析を行うマイクロタイタプレートリーダである。 カルプロテクチン POCT モチダのテストカセットを本装置にセットし、テストラインとコントロールラインの反射光強度を測定することで、糞便中のカルプロテクチン濃度を算出する。 ロットごとのキャリブレーションはCalカード(RFID)の読み取りで較正し、専用ソフトウェアによりパソコンで検体名の登録や操作指示、測定結果の蓄積が可能である。【製品概要】・カルプロテクチン POCT モチダ 体外診断用医薬品 承認番号:30200EZX00036000 測定原理:イムノクロマト法 反応時間:11〜13分 測定範囲:30〜1,000 μg/g 貯蔵方法:2〜10℃ 有効期間:製造後1年間 キットの構成:テストカセット、抽出液(専用容器入り)、 コントロールL、コントロールH、Calカード・Quantum Blue リーダー 医療機器製造販売届出番号:13B3X90004000003 測定原理:イムノクロマト反射光測定法 時間当たり測定:12テスト(5分サイクル) 設置条件:温度 15〜40 ℃、湿度 ≦70% 寸法・重量:178 mm(W)×165 mm(D)×46 mm(H) 620 g 電源:入力 100〜240V、0.5A、50〜60Hz 消費電力 12V、1.25A 充電使用可能資料請求先:島津ダイアグノスティクス株式会社カスタマーサポート担当 03(5846)5707※日水製薬株式会社は2023年4月1日付で商号を「島津ダイアグノスティクス株式会社」へ変更いたしました。図2.Quantum Blue リーダーCM演題-3CM-3(第4会場 601号室 10:25~10:40)専用測定装置Quantum Blue® リーダーのご紹介免疫血清カルプロテクチン POCT モチダおよび
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