埼臨技会誌 Vol.68
98/138

のGX SAの結果は,MRSAが19件(11人)で陽性的中率は100%(19/19),MSSAが23件で陽性的中率は100%(23/23),推定MRCNSが76件で陽性的中率は97.4%(74/76),推定MSCNSが68件で陽性的中率は94.1%(64/68),全体の一致率は96.8%(180/186)であった.GX SAの結果がMRSAであった11名では, 結果報告当日に, 3名が抗菌薬を抗MRSA薬へ変更, 6名が抗MRSA薬を追加, 1名はTEICを継続された. 残り1名は全身状態悪化のため追加治療は行われなかった. 【まとめ】GX SAと従来の培養法の結果は一致率が高く,GX SAはMRSA菌血症の早期診断に有用であり抗MRSA薬を早期から開始することが可能となった.◎阿部 寿哉1)、太田 美和1)、飯島 健太1)、山居 伸以1)、沼田 正男1)、小沼 進吉1)◎阿部 寿哉1)、太田 美和1)、飯島 健太1)、山居 伸以1)、沼田 正男1)、小沼 進吉1)独立行政法人 国立病院機構 東埼玉病院1)独立行政法人 国立病院機構 東埼玉病院1)◎久我 春菜1)、佐藤 由可1)、河瀬 京太郎2)、赤岩 千優1)、田中 智也1)、今上 絵理1)、手塚 康晴1)、川田 真幹3)◎久我 春菜1)、佐藤 由可1)、河瀬 京太郎2)、赤岩 千優1)、田中 智也1)、今上 絵理1)、手塚 康晴1)、川田 真幹3)さいたま市立病院 中央検査科1)、さいたま市立病院 内科2)、さいたま市立病院 感染症科3)さいたま市立病院 中央検査科1)、さいたま市立病院 内科2)、さいたま市立病院 感染症科3)96当院における抗酸菌集菌塗抹と結核菌群PCR‐Ct値の比較ブドウ球菌菌血症のマネジメントにおけるGeneXpert MRSA/SAの有用性連絡先:048-768-1161連絡先:048-873-4111【はじめに】 当院では集菌法による抗酸菌塗抹検査(以下集菌塗抹)と,Xpert MTB/RIF(ベックマン・コールター社)による結核菌群のReal-timePCR(以下PCR)を実施している.集菌塗抹は入退院の可否において重要な検査であるが,結果報告までに時間がかかる事や,手技による感度の差が問題となる.一方PCRでは,検体到着から約2時間で結果報告可能な事や簡易的な操作で手技間差も少ない.また,測定で算出されるCt値は検体中の遺伝子量と大まかな相関があり,疑似的に菌量を推測することが可能である.今回,過去に実施したPCR陽性検体の中から,集菌塗抹菌量ごとに分類しCt値を比較したので報告する.【対象・方法】 2018年4月から2021年3月までに実施された集菌塗抹11,005件,PCR2,172件のうち,PCR陽性であった336件(集菌塗抹-:122件,±:48件,1+:59件,2+:64件,3+:43件)を対象としてCt値を比較した.また,Xpert MTB/RIFは5つのプローブがあるがここでは全てをまとめて平均値,SD,最大値,最小値を算出した.【結果】 各集菌塗抹におけるCt値の平均値,SD,最大値,【はじめに】ブドウ球菌の中で黄色ブドウ球菌は病原性が強く,その菌血症の治療にあたっては迅速な菌種の同定と感受性検査が必要である.従来の培養法では血液培養陽性から同定・感受性検査の結果判明までに少なくとも1~2日を要していた. 一方,GeneXpert MRSA/SA BC「セフィエド」(ベックマン・コールター, 以下GX SA)では, 血液培養液中のSCCmec,spa,mecAを検出することにより約1時間で MRSAを判別可能である.今回,GX SAと従来の培養法の結果を比較するとともにGX SAの結果がMRSA菌血症の治療に与える影響について検討したので報告する.【対象および方法】2020年9月から2021年5月までに血液培養陽性となり,塗抹でクラスター状のグラム陽性球菌を確認した220検体(塗抹で他菌種の混在が認められたものは除く)を対象とした.GX SAで測定し,従来の培養検査,同定・感受性検査の結果と比較した.CNSに関してはspa が検出されなかったもののうちmecAが陽性のものをMRCNS,陰性のものをMSCNSと推定した.【結果】培養でブドウ球菌1菌種のみ分離された186検体最小値は(-:28.2,3.2,40.6,15.8),(±:25.6,2.8,31.9,17.6),(1+:22.6,2.9,32.1,12.6),(2+:19.1,3.0,29.6,12.3),(3+:14.4,3.3,28.5,8.7)となった.【まとめ・考察】 Ct値は検体中の菌量が多いほど低値となる特徴がある.今回の比較でも集菌塗抹で菌量が多いほどの平均値は低くなった.しかしSDが大きく,検体の性状による菌の不均一さや処理工程の手技によるCt値や集菌塗抹のバラツキの発生が考えられた.今回の比較を踏まえるとCt値が28.2付近より高ければ集菌塗抹は陰性(-),25.6付近より低ければ陽性(±~3+)となる可能性が高いと考えられる.PCRの判定結果だけでなくCt値を確認することで集菌塗抹より早い段階で排菌有無の予測や,集菌塗抹結果との間接的なダブルチェックも可能であると推測される.Ct値は機器や手技工程によって変動することや,より細かい統計を用いても集菌塗抹とのカットオフ値を設定することは難しいとされているが,今後もサンプルと検討を重ねてより良い活用方法を模索していきたい.微生物微生物EntryNo. 21ブドウ球菌菌血症のマネジメントにおけるGeneXpert MRSA/SAの有用性微-2微-3EntryNo. 2当院における抗酸菌集菌塗抹と結核菌群PCR-Ct値の比較

元のページ  ../index.html#98

このブックを見る