埼臨技会誌 Vol.68
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免疫血清93当センターの外来受診患者におけるSARS-CoV-2抗体保有率調査新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体量の調査◎戸田 有美1)、大谷 真澄1)、山川 凪紗1)、糸井 正枝1)、伊村 浩良1)、大西 卓磨2)、佐藤 智2)◎戸田 有美1)、大谷 真澄1)、山川 凪紗1)、糸井 正枝1)、伊村 浩良1)、大西 卓磨2)、佐藤 智2)地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立小児医療センター1)、地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立小児医療センター1)、地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立小児医療セン県立小児医療センター 感染免疫・アレルギー科2)ター 感染免疫・アレルギー科2)◎菊池 萌衣1)、岡倉 勇太1)、鳥羽 美菜1)、丸山 聖人1)、木暮 憲幸1)◎菊池 萌衣1)、岡倉 勇太1)、鳥羽 美菜1)、丸山 聖人1)、木暮 憲幸1)戸田中央医科グループ 戸田中央臨床検査研究所1)戸田中央医科グループ 戸田中央臨床検査研究所1)Index(S/C)1.0,IgG 【はじめに】2019年末より新型コロナウイルス感染症(SARS-CoV-2ウイルス感染症:COVID-19)が流行して以降,新規感染者数の増加が続いている.小児は成人に比べると感染者の割合は少なく,感染した場合も多くは無症状から軽症で経過しているといわれている.成人の抗体保有率調査が行われるなか,小児の抗体保有率は不明である.今回,血清学的検査法を用いて当センターの患者におけるSARS-CoV-2抗体保有率の調査に参加し,若干の知見を得たので報告する.【対象】2020年9月15日~9月30日(①),2021年2月1日~2月12日(②)の期間に当センターを外来受診した患児(15歳以下)のうち,無作為に抽出した①500例②466例を対象とした.【機器・試薬】機器はARCHITECTi2000SR,試薬はSARS-CoV-2のN蛋白に対する抗体を検出するIgG試薬,SARS-CoV-2のS蛋白に対する抗体を検出するIgM,IgG-Ⅱ試薬(全てアボットジャパン社)を使用した.IgM,IgG試薬のIndex(S/C)カットオフ値はIgM 【はじめに】2021年6月より,コロナワクチン接種後を対象としたSARS-CoV-2(S)IgG抗体検査を開始した.しかし,接種後の抗体量やその推移などは十分に明らかでない.そこで当施設の職員を対象に,ワクチン接種後の抗体量について調査した.【接種ワクチン】コミナティ筋注(ファイザー株式会社)【測定機器・試薬】機器:Alinity iシステム(アボットジャパン合同会社) 試薬:Alinity SARS-CoV-2 IgG ⅡQuant(アボットジャパン合同会社)(CLIA)【対象】職員82名(18歳~72歳,男性:28名,女性:54名) 【方法】①接種完了後の抗体量を,年代別(20代以下,30代,40代以上)・性別に分けて比較(N=82).②1回目の抗体量をA群:平均値以上,B群:平均値以下の2群に分け,2回目抗体量を比較.また,2回目抗体量を,発熱群(37.5℃以上)と非発熱群に分けて比較(N=30).①②についてt検定で評価した.(有意水準p<0.05)③接種完了後約3週間の抗体量を基準とし,6ヶ月間の推移を調査(N=30).【結果】①今回の検討では,20代以下と30代では有意差を1.4,IgG-Ⅱ試薬は50.0AU/mL以上を陽性としている.【結果】①IgM陽性3例,IgG陽性1例(抗体保有率0.80%),②IgM陽性4例,IgG陽性0例(抗体保有率0.86%)であった.さらに②において,陽性4例に対して定量的な結果が得られるIgG-Ⅱ試薬を用いたところ全て陰性であった.また,対象期間においてIgM,IgG両方の陽性例はなかった.【考察】両期間での抗体保有率の差はほぼ見られず,ほとんどの小児がSARS-CoV-2抗体を保有していないことが示唆される.厚生労働省が2020年12月に5都府県の成人を対象に行った調査結果では抗体保有率は1%以下であった.対象期間に相違はあるが今回の結果からは小児と成人の抗体保有率に大きな差はみられなかった.小児患者の多くは家庭内感染が原因と思われるため,新たな感染拡大を防ぐためにも成人の抗体保有率の観察とともに,小児においても抗体価の測定が有用であると考えられる.認めなかったが,20代以下と40代以上では有意差を認めた. また,各年代の平均抗体量は年代が上がるにつれて低値傾向を認めた.性別による有意差は認めなかった.②2回目抗体量について,A群とB群の有意差は認めず,発熱による有意差も認めなかった.③接種完了後から2ヶ月後の抗体量(相対率)は27.4%~65.6%で,大きく減少した.それ以降の推移は当日スライドに示す.【考察】年代別で有意差を認めた理由として,加齢に伴う獲得免疫応答の機能低下が考えられた.検討結果から1回目と2回目の抗体量に関連性は認めなかったが,20代の平均上昇率が他の年代に比べ高い傾向を認めた.また,2回目の抗体量は発熱の有無や程度においても関連性は認められなかった.接種完了後2ヶ月で抗体量が大きく減少したため,今後も抗体量は減少していく可能性が示唆される.【結語】対象人数は30人ではあるが,副反応と抗体量との関連性は認めなかった.抗体量は経時的に減少していくことが示唆されるため,採血タイミング・経時変化の理解が重要であると考える.       連絡先:048(433)3711連絡先 048-601-2200(内線 2511)免疫血清免疫血清EntryNo. 37EntryNo. 49新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体量の調査免-4当センターの外来受診患者におけるSARS-CoV-2抗体保有率調査免-5

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