埼臨技会誌 Vol.68
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◎杉田 勝樹1)、高橋 智也1)、市川 真子1)、佐久間 仁美1)、石川 純也1)、土井 尚1)◎杉田 勝樹1)、高橋 智也1)、市川 真子1)、佐久間 仁美1)、石川 純也1)、土井 尚1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)◎小室 梓1)、滝沢 昂1)、大内 健士朗1)、塚原 晃1)◎小室 梓1)、滝沢 昂1)、大内 健士朗1)、塚原 晃1)戸田中央医科グループ 戸田中央総合病院1)戸田中央医科グループ 戸田中央総合病院1)9222件、陽性:22件 [RT-PCR法との比較]陰性一致率100%(218/218件)、陽性一致率86%(19件/22件)[RT-PCR法と判定陽性との比較]抗原定量陽性でRT-PCRが陰性となった3検体は全て抗原定量値が10.00~49.99pg/mLと抗原量が少ない検体であった。[RT-PCR法と判定保留との比較]抗原定量判定保留のうちRT-PCR陽性9件、PCR陰性13件。[希釈再検事例]抗原定量値が1.00~149.99pg/mLの検体で希釈再検を行った結果、抗原定量値が陰性となった検体は35%(9/26件)であった。【考察・結語】抗原定量検査が陽性でRT-PCRとの結果の乖離が見られた要因は抗原量が少なく、回復期患者の検体であった。抗原定量値が低い場合では、粘性等の影響で定量値が上がっている可能性もあるため希釈再検を行う必要がある。抗原定量結果を臨床に報告する際に迅速に報告することは重要だが、定量値や患者状態を確認し検査技師としての知識・技術を生かし適切な検査結果報告が出来るように努めていきたい。連絡先 048-442-1111 (2530)血中SARS-CoV-2抗体測定試薬の試薬間差の検討当院におけるCOVID-19病原体検査の現状0.4~181.0U/mL,陽性率96%,2回目は平均値2717.84U/mL,中央値1979.0U/mL,範囲452.0~7674.0U/mL,陽性率100%となった.定性試薬ではPCR検査陽性群は陽性率84%,ワクチン接種群は1回目,2回目共に陽性率0%となった.【考察】PCR検査陽性群では定量試薬の陽性率が高かったが,検出感度の差によるものかの判断はできなかった.ワクチン接種群の定性試薬での陽性率が0%であったが,これは定性試薬の対象がN蛋白に対する抗体であるのに対し,ワクチン接種により体内で産生される抗体がS蛋白に対する抗体であることが要因であると考えられる.【結語】定量試薬ではワクチン1回目に比べ2回目の値が明らかに高く1回接種後には陰性もあったことから,ワクチンは確実に2回接種することが望まれる.定量試薬と定性試薬を組み合わせることで,抗体がワクチン接種によるものか感染の既往によるものかを確認できるが,各測定試薬の特性を理解したうえで,目的に合ったものを選定することが重要である.連絡先:048-912-3113(直通)【はじめに】血中SARS-CoV-2抗体は,新型コロナウィルス感染症の感染状況の把握,ワクチン接種後の抗体価のチェック等に有用であるとされている.今回我々はロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の,スパイク蛋白質(S蛋白)に対する抗体を定量的に検出するElecsys Anti-SARS-CoV-2 S(以下定量試薬)とヌクレオカプシド蛋白質(N蛋白)に対する抗体を定性的に検出するElecsys Anti-SARS-CoV-2 (以下定性試薬)を用いた試薬間差の検討を行う機会を得たので報告する.【方法】SARS-CoV-2 PCR検査にて陽性と判定され,承諾を得た患者の残検体からランダムにサンプリングした血清(PCR検査陽性群)25件,およびファイザー社製ワクチンを接種したボランティア25名より,1回目接種2週間後に採血した血清(1回目),2回目接種2週間後に採血した血清(2回目)を,それぞれ定量試薬,定性試薬にて測定した.【結果】定量試薬ではPCR検査陽性群は平均値520.94 U/mL,中央値8.1U/mL,範囲0.7~8604.0U/mL,陽性率92%,ワクチン1回目は平均値48.04U/mL,中央値24.3U/mL,範囲【はじめに】COVID-19抗原定量検査は、専用の測定機器を用いてウイルス抗原を定量的に測定することが可能である。当院では2020年9月に測定機器を導入し、迅速なCOVID-19感染の診断に寄与している。しかし検査を実施する中でRT-PCR法との結果の乖離が見られる検体、希釈再検にて検査値に変動が見られる検体に度々遭遇し、対応に苦慮する事もある。今回、当院での検査値の統計やRT-PCR法との比較、検査時に行っている工夫についてまとめたので報告する。【期間・使用機器・対象】[期間]2020年12月1日~2021年4月30日[使用機器]ルミパルスG600Ⅱ(富士レビオ株式会社)[検体の種類・対象]検体は鼻咽腔から採取。抗原定量検査を実施した2,263検体(スクリーニング検査含む)の中でRT-PCRを2日以内に実施した262検体。[判定基準]陰性:0.00~0.99pg/mL、判定保留:1.00~10.00pg/mL、陽性10.01~5000.00pg/mL以上。なお、RT-PCR検査は全て外注委託にて実施している。【結果】[抗原定量検査結果]陰性:218件、判定保留:免疫血清免疫血清免-2免-3EntryNo. 3EntryNo. 81血中SARS-CoV-2抗体測定試薬の試薬間差の検討当院におけるCOVID-19病原体検査の現状

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