埼臨技会誌 Vol.68
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[考察] 導入後は当直時間帯の不規則抗体スクリーニング検査実施に伴い,クロスマッチでは検出感度以下の抗体の[はじめに] コンピュータクロスマッチ(以下C.C.)とは,あらかじめ検査された結果および製剤情報に基づきシステム上で適合性を確認する方法である.当院では2020年3月より輸血の安全性向上と赤血球製剤の廃棄削減を目的にC.C.を導入した.今回導入から1年が経過し,導入による効果を調査したので報告する.[調査対象] 2019年3月~2020年2月をC.C.導入前(以下導入前),2020年4月~2021年3月までをC.C.導入後(以下導入後)とし,赤血球製剤の廃棄率,検査に関わるコスト,当直時間帯における血液センターへの赤血球製剤発注回数に◎西川 文乃1)、持田 和紀1)、髙橋 美枝子1)、野瀬 幸子1)、野瀬 和彦1)◎西川 文乃1)、持田 和紀1)、髙橋 美枝子1)、野瀬 幸子1)、野瀬 和彦1)深谷赤十字病院1)深谷赤十字病院1)◎佐藤 千恵1)、北原 裕士1)、飛田 若菜1)、小荷田 麻妃1)、工藤 亜紀1)、大関 敬子1)、服部 直行1)、高山 好弘2)◎佐藤 千恵1)、北原 裕士1)、飛田 若菜1)、小荷田 麻妃1)、工藤 亜紀1)、大関 敬子1)、服部 直行1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ 新座志木中央総合病院1)、TMG本部臨床検査部2)戸田中央医科グループ 新座志木中央総合病院1)、TMG 本部臨床検査部2)84コンピュータークロスマッチ導入による効果の検討電子カルテ・BTDX2導入における輸血業務運用報告ついて調査した.[結果] 製剤廃棄率は導入前の0.3%から導入後の0.02%に減少した.廃棄の内訳は,導入前は廃棄製剤の7割が手術準備のために納品したAB型およびB型製剤の有効期限切れであったが,導入後はB型(-)製剤の有効期限切れ2単位のみであった.検査に関わる1ヶ月当たりの平均コストは試薬使用増加に伴い約1万円増加した.また,当直時間帯の赤血球製剤発注回数は188回から73回と半減した.【はじめに】当院では,2019年8月より電子カルテを導入し,これに伴い輸血システムもオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス社のBTD5.3からBTDX2に変更した.今回は当院での輸血業務運用の変更点や改善点を報告する.【対象・方法】日勤・夜勤で輸血業務に携わる検査技師12名に対し,以下の4つのアンケートを行い,集計をした.①紙伝票での利点.②紙伝票運用における問題点.③BTDX2・電子カルテ導入で良くなったこと.④BTDX2を使用した感想.【結果】① 紙伝票では,輸血依頼がなくても電話があれば臨時輸血や停電時の対応が出来た等が多かった.② 記入ミスの多さや,当院での輸血検査歴が無い場合に行っていた患者名やID,住所等をBTD5.3へ手入力する手間も挙げられた.③ 主に手順の簡略化や作業短縮等が挙げられた.④ 使用した感想としては,依頼を受けた後に依頼単位数等,内容の変更が出来ない,表示される患者名が小さく確認ミス検出が可能となり,輸血の安全性が向上した.また,出庫依頼が来た段階で製剤を確保するため製剤の有効期限が短いものから順次使用できるようになり,廃棄率は大幅に減少した.検査コストは微増したが,製剤廃棄数が減少したため結果的に収支は改善し病院経営に貢献できた.C.C.では検査用の製剤セグメント準備や同一交差日の追加検査が不要になるため業務は省力化され,追加オーダーへの製剤提供は30分程度早くなった.さらに使用可能な製剤が増加したことで臨時の発注回数を減らすことができ,輸血担当技師のみならず当直技師の負担も軽減したと考えられる.[結語] C.C.の導入により輸血の安全性向上と廃棄血の削減が達成され,さらに収支の改善や省力化も図れた.今後は,業務の省力化によって得た時間で自己血使用の推進や不規則抗体カードの患者への説明の充実化などに励み,更なる輸血の安全と適正使用の推進に努めていきたい.が起こる可能性がある等が課題として挙げられた.【まとめ】紙伝票は手書きであったため,書類を待たずとも対応可能ではあるものの,依頼元・検査科の双方において依頼内容や出庫時の書類で,記入ミスが多かった.これに対し電子カルテ導入後は,バーコード管理になり,過去歴と異なる結果にはエラーが出る等,入力ミスの改善がされている.また,日付毎の輸血者や製剤の在庫一覧・患者の過去歴・輸血や不規則性抗体検査の件数等が見やすくなり,利便性も図られている.BTDX2を使用した感想として挙げられた課題に関しては,検査科内での確認や運用の見直しをする必要があり,画面上の表示等はメーカーに相談したい.上記BTDX2の導入において,作業時間の短縮や簡略化,入力ミスの防止等,業務をスムーズに行う事が可能となった.更に医師との在庫製剤情報の共有を徹底する事で,廃棄製剤の減少に期待したい.今後は,課題に挙がった項目を改善し,より正確かつ迅速に業務を遂行出来るよう努めていく. 連絡先:048-474-7211内線(451)連絡先:048(571)1511  内線 1864輸血EntryNo. 28輸血EntryNo. 24輸-1輸-2コンピュータークロスマッチ導入による効果の検討電子カルテ・BTDX2導入における輸血業務運用報告

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