埼臨技会誌 Vol.68
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血 液n◎前田 美帆1)、森脇 友香1)、渡邊 剛1)、鈴木 美子1)、大野 優子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)◎前田 美帆1)、森脇 友香1)、渡邊 剛1)、鈴木 美子1)、大野 優子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)埼玉医科大学 総合医療センター1)埼玉医科大学 総合医療センター1)◎森脇 友香1)、前田 美帆1)、渡邊 剛1)、鈴木 美子1)、大野 優子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)◎森脇 友香1)、前田 美帆1)、渡邊 剛1)、鈴木 美子1)、大野 優子1)、室谷 孝志1)、竹下 享典1)埼玉医科大学 総合医療センター1)埼玉医科大学 総合医療センター1)83FIBD-DFDPn平均値標準偏差146.89248178.588106490.4754.0761201.8334810611.32550・60代70・80代50・60代70・80代50・60代70・80代535.250432.7361.0362.9954.0659.078P値P < 0.001P < 0.001P < 0.001COVID-19患者の重症度による凝固検査所見の比較COVID-19患者の重症化に関わる凝固マーカーの年代別の比較解析FIB,PIC,PAI-1で有意差がみられた。中等症TATPICPAI-1APTTPTPT%PT-INRFIBFDPDD軽症平均値n平均値変数の有意差0.0636<0.001*0.0069*0.98770.50840.41030.55130.0024*0.10980.1104161616161616161616164.0611.16748.65936.14413.61394.5631.067496.8757.3632.356131313131313131313134.5161.82874.80135.53813.46293.4621.908515.1547.3691.727【はじめに】COVID-19の重症化の特徴に凝固線溶系の亢進が挙げられる。当院のCOVID-19患者の入院時の凝固検査について、酸素投与を要さなかった軽症と要した中等度以上に区別し比較検討を行った。【対象・方法】臨床症例から厚生労働省の重症度分類にて軽症群16例(男女比8:8、年齢74±14.5)、中等症群13例(男女比10:3、年齢61±9.8)の計29症例を対象とした。測定機器はCP3000(積水メディカル株式会社)、STACIA(LSIメディエンス株式会社)を使用した。対象項目はAPTT,PT,PT%,PT-INR,FIB,FDP,DD(CP3000),TAT,PIC,PAI-1(STACIA),とし、評価方法はロジスティック回帰分析(解析ソフトBellcurve)を用いて有意水準5%にて評価した。【結果】軽症例・中等症例を目的変数としたロジスティック回帰分析の凝固項目の変数の有意性では表の様になり、【はじめに】COVID-19は重症化リスク因子として、凝固マーカー(FIB値の減少、FDP,D-D値の増加)が知られている。今回、当院入院患者の凝固マーカーのデータを統計解析したので報告する。【対象・方法】COVID-19患者で当院の臨床判断にて厚生労働省の重症度分類にて中等症の患者50・60代群と70代・80代群に分け、凝固マーカーFDP,D-D,FIBの測定結果を対象とした。測定機器はCP3000(積水メディカル)を使用した。解析方法はt検定を用い、有意水準5%にて評価を行った。【結果】FDP,D-D,FIB値の各平均値と有意差は図の様になった。FDP,D-D,FIB値のt検定の有意性評価において、全ての項目に有意差が認められ、FIB値は50・60代と比較し70・80代が有意に低く、FDP,D-D値は50・60代が70・80代と比較して優位に高かった。【考察】FIB,PIC,PAI-1は軽症と中等症では有意差がみられた。凝固線溶系亢進傾向の理由としては、FIBはCOVID-19による炎症や組織崩壊などに伴う二次性の増加、PIC,PAI-1はプラスミンインヒビターの亢進による線溶系抑制、もしくはPAI-1によってt-PAの働きが抑えられプラスミンの活性が抑制されていることなど様々な要因が考えられた。今後は、重症例の症例も増やしていき、追加検討をしたい。【考察】COVID-19の凝固線溶異常としてFIBの減少、FDP,D-Dの増加が挙げられるが、当院でも同様な結果となり、統計解析の結果、高齢者はより強い値の変動がみられた。血栓傾向が強まるとCOVID-19の病状の一つとしてある肺塞栓や脳梗塞などの合併症リスクも高まるため、今回の結果から年齢が凝固線溶の亢進や重症化リスク因子の1つであると考えられる。尚、今回の症例は中等症患者であり、COVID-19の病状以外にも加齢に伴う血液自体の過凝固性や凝固因子の増加、基礎疾患(心血管疾患、高血圧症、肥満など)も考慮し評価することが重要である。今後は、重症例も入れて追加検討したい。(連絡先:049-228-3497)(連絡先:049-228-3497)血-7血-8COVID-19患者の重症度による凝固検査所見の比較COVID-19患者の重症化に関わる凝固マーカーの年代別の比較解析血液EntryNo. 45血液EntryNo. 35

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