埼臨技会誌 Vol.68
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0.029(r=0.937),APTT:y=1.136x-9.646(r=0.884)であった.⑤因子感受性:レボヘムPTでは第Ⅱ,Ⅶ因子,レボヘムAPTTでは第Ⅷ,Ⅸ因子の因子活性値10%のとき活性値100%からの凝固時間の変化率(延長度合)が既存試薬の約2倍であった.⑥ヘパリン感受性:PTではヘパリン濃度1.0IU/mLのとき,ヘパリン無添加時からの変化率(延長度合)が既存試薬で約20%に対し,レボヘムでは約10%であった.レボヘムAPTTではヘパリン濃度0.8IU/mLのとき変化率(延長度合)が既存試薬の約2倍であった.【考察・結論】ヘパリン感受性ではレボヘムPTは影響を受けにくくレボヘムAPTTは良好な感受性をもっていた.因子感受性では両試薬とも既存試薬と同等またはそれ以上の感受性をもっていた.そのため試薬移行時には新規試薬の特性を把握し,特にヘパリン療法患者のモニタリングや因子活性低下患者における新規試薬と既存試薬との測定値の乖離に注意する必要がある.レボヘムPT,APTTは基礎的検討成績に優れ既存試薬との相関も良好で日常検査に十分使用できる性能を持った試薬だと考えられる. 連絡先:048-433-3711◎鈴木 晴佳1)、岡田 茂治1)、松熊 美千代1)、井原 寛子1)、坂場 幸治2)◎鈴木 晴佳1)、岡田 茂治1)、松熊 美千代1)、井原 寛子1)、坂場 幸治2)埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、株式会社 ビー・エム・エル総合研究所2)埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、株式会社 ビー・エム・エル総合研究所2)◎柏 朱子1)、地田 信子1)、石井 里佳1)、杉浦 小春1)、本橋 侑子1)、赤沼 優里奈1)、山﨑 淳也1)、圓田 和人1)◎柏 朱子1)、地田 信子1)、石井 里佳1)、杉浦 小春1)、本橋 侑子1)、赤沼 優里奈1)、山﨑 淳也1)、圓田 和人1)戸田中央医科グループ 戸田中央臨床検査研究所1)戸田中央医科グループ 戸田中央臨床検査研究所1)82血球形態標準化画像を用いた末梢血好中球分類のAI画像解析の有用性評価を行った.【結果】 同一条件で学習と評価を5回実施したところ,評価精度は平均98.7%(96.7%~100%)と高い結果が得られた.【考察】 AI画像解析モデルは質の高い学習データを使用することで,評価精度の高い画像解析モデルを作成することができる. 今回,コンセンサスの得られた標準画像を学習させることで評価精度の高い結果が得られたと考える.そして鏡検者間差の是正にAIを利用できることが示唆された.さらに他の末梢血細胞のAI画像解析モデルも構築し,数種のAI画像解析モデルを組み合わせるCS法(combinational structuremethod)で末梢血形態画像AIを構築していく予定である.AIをツールとした日常業務の効率化にも期待したい.【結語】 今後の展望として,CS法で作成したAI解析モデルをもとに,末梢血における形態検査の標準化の普及に役立てていきたい. 連絡先:048(973)4797直通【はじめに】 日本臨床衛生検査技師会と日本検査血液学会は,血液形態検査における標準化事業を実施している.基準値設定のため, 血球形態標準化WGによりコンセンサスが得られた好中球系細胞の標準画像を配布し,鏡検者間差の是正を行った.検証の結果,核の重なりがみられる細胞等で分類の偏りがみられた.今回我々は形態画像の分類に深層学習(Deep learning) を利用したAI(artificial intelligence)での検討を行い鏡検者間差是正への有用性について報告する.【対象】 標準化事業によって実施された標準画像252細胞と検証として使用された検証画像60細胞を用いた.【方法】 AIツールとしてNNC(Neural network console:SONY株式会社)を使用し,標準画像を桿状核球(band),分葉核球(seg), 後骨髄球(meta)を各フォルダーに分類した.それらをもとにし,band=0,seg=1,meta=2のように対応するcsvファイルを作成し,NNC画像解析モデル「ResNet-110」を用いて学習と【目的】シスメックス社の新規試薬であるレボヘムPT,APTTの基礎的検討及び既存試薬との比較検討を行う機会を得たので報告する.【方法】測定機器,試薬は全てシスメックス製を用い全自動血液凝固測定装置CS-5100,検討試薬はレボヘムPT,APTT,対照の既存試薬としてトロンボチェックPT,APTTを使用.検討内容は①同時再現性②日差再現性:管理血漿を①連続10回,②10日間測定.③干渉物質の影響:干渉チェックAプラス(シスメックス社)を用いて測定.④既存試薬との相関:患者検体の残余血漿(PT-N=380,APTT-N=330)を用いて既存試薬との相関を求めた.⑤因子感受性:因子欠乏血漿と正常プール血漿との混合比率より因子感受性を確認した.⑥ヘパリン感受性:未分画ヘパリンを正常プール血漿に添加, 0.0~1.0IU/mLとなるよう調整し測定.【結果】①同時再現性②日差再現性:PT,APTTともにCV0.78~3.99%と良好であった.③干渉物質の影響:Bil-F,Bil-Cで20mg/dl,溶血Hbで500mg/dl,乳びで2000濁度まで影響は認めなかった.④既存試薬との相関:相関性は,PT(秒):y=1.479x-7.373(r=0.935),PT-INR:y=0.924x-PT試薬「レボヘムPT」,APTT試薬「レボヘムAPTT」の基礎的検討学血-5血-6PT試薬「レボヘムPT」,APTT試薬「レボヘムAPTT」の基礎的検討血液EntryNo. 93血球形態標準化画像を用いた末梢血好中球分類のAI画像解析の有用性血液EntryNo. 39

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