埼臨技会誌 Vol.68
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◎菅家 萌1)、土井 尚1)、安田 達明1)、浅井 和喜1)、石塚 美咲1)、黒澤 実紀1)、樋口 さき1)、佐藤 菜摘1)◎菅家 萌1)、土井 尚1)、安田 達明1)、浅井 和喜1)、石塚 美咲1)、黒澤 実紀1)、樋口 さき1)、佐藤 菜摘1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)◎波多野 佳彦1)、三橋 順子1)◎波多野 佳彦1)、三橋 順子1)医療法人社団愛友会 伊奈病院1)医療法人社団愛友会 伊奈病院1)80採血量及び経時的変化が測定値に及ぼす影響血算、網赤血球及び血液像について好中球内に不定形な物質の観察を契機に紹介に至ったクリオグロブリン血症て直後を基準とし,2,4,9,24,33,48,72時間後を比較.③3.0 mL直後を基準とし,各データの乖離率を求め比較.5 %を超えるものを差があるとした.【結果】①採血量の減少に伴い値が上昇:HCT(最大9 %),MCV(最大10 %).採血量の減少に伴い値が低下:MCHC(最大9 %).②時間とともに低下:WBC(最大6 %),PLT-I(最大8 %),PLT-F(最大21 %).③WBC,HCT,MCV,MCHC,PLT-I,NEUT,LYMPHは採血量や経過時間によって増減が確認されたが,採血量が規定量に近いほど変化が小さくなる傾向がみられた.RETは0.3 mLのみ時間経過とともに値が上昇し,最大152 %上昇した.【まとめ】今回の結果から,採血量や時間経過が測定結果に影響を及ぼすことが確認できた.また採血量によって経時的変性にも影響を与えることがわかった.規定量採血することで経時的変性を抑えることができる可能性がある為,提出する際には規定量採血することが望ましいと考える. 実施した.血液像では全ての好中球に低倍率で空砲変性のようなものを認め,高倍率で不定形な封入体物質が多数観察された封入体の形態からクリオグロブリンを疑い,患者血清を一晩冷蔵庫に静置保存し白濁を確認した.また外注検査によるクリオグロブリン定性試験も陽性判定であった.【まとめ】寒冷曝露により増悪するRaynaud現象,四肢末端のチアノーゼ,紫斑,下腿潰瘍,寒冷蕁麻疹,腎炎や神経炎などの血管炎症状を認めた場合,本症を疑い,クリオグロブリン検出検査を行う.クリオグロブリンが血液像で検出されることはまれで,偽血小板増加症と偽白血球増加症の原因となることが報告されているが,今回の症例ではそのような異常はなかった.機械法で白血球分画に異常を認めた場合は目視鏡検で確認することはもちろんのこと,空砲変性と類似しているこのような症例があることも念頭に置き血液像を観察する必要がある.                         048-721-1859内線(185)連絡先:048-997-7721(代表) 【はじめに】血球計数測定は,各疾患のスクリーニングや診断及び治療に役立てられ当施設でも多くの検査依頼がある.当施設では採血量や注意事項について総合検査案内を依頼元に発行しているが,規定された採血量以外での提出や翌日以降の追加検査があるため,検体の変性による検査データへの影響が懸念される.今回我々は,採血管への規定量以外の採血が測定に与える影響及びその経時的変化について確認する機会を得たため報告する.【方法】分析装置:XN-9100(Sysmex社製).抗凝固剤:EDTA-2K.対象:健常者10名(男性2名,女性8名).内容:使用している採血管に従い3.0 mLを規定採血量と設定.100 mg/mLに調整したEDTA-2K溶液を6本のチューブに各10,15,30,50,100,150 µL添加し水分を蒸発させた.健常者10名からシリンジで採取した血液を1.0 mLずつ分注し, 採血量が4.5,3.0,1.5,0.9,0.5,0.3 mLに相当するEDTA加血を作製した.血算,網赤血球,血液像項目を採血直後,2,4,9,24,33,48,72時間ごとに測定して比較した.評価方法:結果の平均値を求め,①3.0 mL採血直後を基準とし,各採血量の直後を比較.②3.0 mLについ【背景】クリオグロブリンは低温下で不溶化し,37℃以上で可逆的に再溶解するという特異な性質の蛋白で,これが血中で増加してくる病的状態をクリオグロブリン血症という.約半数に血管炎を生じ全身の諸臓器が障害されることもしばしばある.今回末梢血液像で好中球内にクリオグロブリンと思われる物質を取り込んだ症例を経験したので報告する.【症例】患者は3年ほど前から足の赤い発疹を伴い治療していたが治らず,右下腿潰瘍にて当院皮膚科受診.経過を診ていたが循環不全の疑いもあり内科にも依頼となった.皮膚科と内科で経過を診ていた患者はその後,検査所見によりクリオグロブリン血症疑いで某大学病院へと紹介となった.【検査所見】20〇〇年12月ABI施行.CAVI右10.2左9.7で正常範囲内,WBC8700/μL,Hb15.2g/dL,PLT280000/μL.20〇〇年2月WBC10200/μL,Hb14.5g/dL,PLT296000/μL,機械法の血液像でWBCAbnScatterrgramでフラグが立ち血液像目視鏡検を血算、網赤血球及び血液像について血-1血-2好中球内に不定形な物質の観察を契機に紹介に至った採血量及び経時的変化が測定値に及ぼす影響クリオグロブリン血症血液EntryNo. 9血液EntryNo. 26

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