埼臨技会誌 Vol.68
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○吉田 純平(オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社)127 初めて輸血検査を任された時のこと、覚えていますか?自分の手から生み出された結果が患者への輸血における血液製剤の選択へ直結するプレッシャー。さらに、輸血検査を専門としていない方が、夜間当直帯において輸血検査を担当する時の緊張感とストレスは相当なものでしょう。また、試験管法による間接抗グロブリン法では様々な試薬や器具が関与するため、それら全てが問題なく機能していることが安全な輸血検査を実施する上での大前提となります。 輸血検査においては、「試薬性能および検査プロセスの確認」と「検査実施者の習熟度の評価」が重要視され、このことは日本輸血・細胞治療学会の赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドラインにも明記されています。また、昨今ではISO 15189の普及や、検体検査の精度の確保等についての改正政令が施行(2018年末)により、検査精度の確保に関する意識はより高まりつつあります。弊社へも、様々な医療機関から具体的なアクションレベルでどのような確認をすれば良いかというご相談を受ける機会も増えてきました。 試薬性能および検査プロセスの確認を行うには、陽性コントロールと陰性コントロールを測定し、それぞれが期待値を維持しているかを管理に適したタイミング(日常業務開始前、試薬ロット変更時、検査バッチ毎など)でモニタリングすることが重要です。この際に使用される陽性コントロールは、臨床的意義のある不規則抗体であることと、反応性の低下を鋭敏に捉えるために強すぎないこと(中庸な反応性であること)がポイントとなります。また陰性コントロールはヒト血清を使用することが有用です。なぜなら、赤血球試薬への細菌汚染などで生じる偽陽性反応は、ウシアルブミンを加えたバッファーでは再現せず、ヒト血清のみでしか捉えられない場合が多いからです。 これらの条件を満たした精度管理用試薬として弊社が販売しているのが、リファレンス抗Dコントロールキットです。これはIgG型抗Dを含む陽性コントロールと、不規則抗体陰性AB型ヒト血清よりなる陰性コントロール各5 mLのセットで、間接抗グロブリン法の精度管理に使用します。陽性コントロールのバイアルに含まれる抗Dは、国際標準単位として0.05 IU/mLの濃度に調製されています。この国際単位の値は英国のガイドラインにおいて規定されている“間接抗グロブリン法で検出されるべき最低検出感度:抗D 0.1 IU/mL未満”に由来します。本邦では反応増強剤にPEGを使用するケースが多く0.1 IU/mL付近の抗DはPEG-IAT法ではかなり強い陽性反応となってしまうことから、同方法論で2+程度と中庸な反応強度となる0.05 IU/mLを導入しています。 このキットは様々な用途に活用できるのが特徴です。前述のように日常的な精度管理は勿論、検査実施者のトレーニングや習熟度の評価にも活用できます。加えて、夜間当直帯に非専従技師が輸血検査を行う際に同時測定すれば、実施されたプロセスの適切性が保証できるだけでなく、陽性と陰性の手本をサイドバイサイドで比較することで主観的になりがちな判定の精度を向上させ、当直者の心理的ストレスを軽減できる効果も期待できます。 自動化の普及が進む昨今においても、試験管法はいまだに使用される局面も多く、その精度担保や技術の伝達は確実に行わなければなりません。本製品はその一端に貢献できるものと考えています。製 品 名:リファレンス抗Dコントロールキット製品コード:167003包装単位:5 mL×2貯 蔵 法:<冷>禁凍結希望納入価格:¥8,200-資料請求先:オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社お客様サポートセンター 0120(03)6527CM演題-8輸血~「リファレンス抗Dコントロールキット」の使いどころ~間接抗グロブリン法の結果を保証するコントロール試薬

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