埼臨技会誌 Vol.68
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○岡田 敬司(シスメックス株式会社 日本・東アジア地域本部)121【はじめに】 シスメックス株式会社は、COVID-19の拡大防止に尽力されている医療従事者の皆様と共にこの困難を乗り越えることが使命と考えており、そのための「製品・サービスの安定供給」、「新たな診断技術の提供」に全力を挙げて取り組んでいます。本発表では、COVID-19を取り巻く最新の課題を再確認し、臨床に役立つ弊社製品の特長及び有用性について紹介させて頂きます。【内容】 弊社は、全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800を用いて、COVID-19抗原を検出するSARSコロナウイルス抗原キット「HISCL SARS-CoV-2 Ag 試薬」に関して、製造販売承認の一部変更申請に対する承認を、2021年6月21日に取得いたしました。本製品は、2020 年11月10日に抗原定性検査用の体外診断用医薬品として製造販売承認を受けていますが、今回の一部変更承認取得により、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」に基づく「抗原定量検査」として使用できるようになりました。これまでの検査対象である発症から9日目までの患者に加え、発症後10日目以降の患者および、対象者の多い無症状者にも対象拡大できることから、COVID-19に関する検査体制の拡充に貢献できると考えます。反応時間17分の迅速測定および1時間当たり 200 テスト(HISCL™-5000の場合)の処理能力により、検査の効率化及び多検体処理を実現します。簡便な操作であることから、夜間や救急時を含めた24時間365日の使用もしやすくなっています。 また、本製品とともにインフルエンザ検査キット「HISCL™インフルエンザ試薬」を用いることで、インフルエンザウイルスとSARS-CoV-2の抗原を同一検体で同時に測定することが可能となり、医療従事者および患者の負担軽減に貢献します。 COVID-19に感染した患者は、発熱などの風邪症状や、味覚や嗅覚の異常など呼吸器感染症特有の症状を経て、多くは軽症・中等症のまま回復しますが、約1割は重症化により酸素吸入や人工呼吸器が必要になることが報告されています。重症化する患者においても、発症初期は軽症と見られる症状ですが、その後に急激な悪化が見られ、酸素吸入や人工呼吸器が必要な状態へ移行するという特徴的な臨床経過が確認されています。流行時には医療機関の逼迫が懸念される現状において、重症化リスクを有する患者を早期に特定することは、患者の命を救う可能性を高めるとともに、限られた医療資源の適切な配分にもつながると考えられます。 シスメックスと国立国際医療研究センターは、共同研究を通じ、重症化リスクの経過観察に有用なバイオマーカーとして、IFN-λ3等を特定するにいたりました。IFN-λ3は重症化の症状が認められる数日前に急激に血液中の濃度が上昇することが確認されており、COVID-19による重症化の予測や経過観察補助として、臨床有用性が報告されています。 シスメックスは、インターフェロン-λ3 キット「HISCL™ IFN-λ3 試薬」の薬事承認を取得し、保険適用にいたりました。これにより、新型コロナウイルス陽性となり、倦怠感および咳や発熱がある軽症の患者や、息切れや呼吸器初期症状などの所見が確認される中等症の患者対して、定期的に血清中のIFN λ3を測定することが可能となります。保険診療のもと、より多くのCOVID-19患者に対して、重症化リスク判定を補助する本検査が提供されることで、限られた医療資源を適切に配分することができ、患者はもちろんのこと、医療従事者の精神的な負担軽減にもつながることが期待されます。なお、「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第5.2版」 14ページと36ページにおいても、IFN-λ3が記載されています。【ピックアップ:IFN-λ3】申請区分:E3 (新項目)測定項目:インターフェロン-λ3(IFN-λ3)測定方法: 2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵保険点数:340点留意事項:(10)インターフェロン-λ3(IFN-λ3)ア )COVID-19と診断された患者(呼吸不全管理を要する中等症以上の患者を除く。)の重症化リスクの判定補助を目的として、2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵素免疫測定法により、インターフェロン-λ3(IFN-λ3)を測定した場合は、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「14」HBVジェノタイプ判定の所定点数を準用して算定する。イ )本検査を2回以上算定する場合は、前回の検査結果が基準値未満であることを確認すること。ウ )本検査の実施に際し、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「14」HBVジェノタイプ判定の所定点数を準用して算定する場合は、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「注」に定める規定は適用しない。 ご紹介の試薬は全て、微量サンプル、高感度、17分の検体測定、および高い操作性を特長とする全自動免疫測定装置 HISCL™シリーズを用いて測定が可能です。 シスメックスは独自に技術に加え、グローバルネットワークを活用した新たな診断技術を医療従事者の皆様へお届けすることで、新型コロナウイルス感染症の拡大防止及び収束に貢献してまいります。資料請求先:シスメックス株式会社 北関東支店048(600)3888素免疫測定法CM演題-2免疫血清シスメックス株式会社 HISCL™シリーズCOVID-19関連製品のご紹介

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