埼臨技会誌 Vol.68
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○和久井 晶子(デンカ株式会社 国内試薬部)120 フェリチンは全身に存在する鉄貯蔵タンパクであり、体内での鉄代謝において重要な役割を担っています。その中でも血中フェリチン濃度は全身の貯蔵鉄の量を反映する有効なバイオマーカーです。血中フェリチン濃度が低い場合には鉄欠乏性貧血が疑われ、鉄過剰症や悪性腫瘍、炎症性疾患においては血中フェリチン濃度が上昇することが知られています。 日本鉄バイオサイエンス学会の「鉄剤の適正使用による貧血治療指針」では、血清フェリチン濃度12 ng/mLが鉄欠乏性貧血の診断基準とされており、特発性造血障害に関する調査研究班により策定されました。「輸血後鉄過剰症診療の参照ガイド・令和1年改訂版」では、輸血後鉄過剰症の診断として血清フェリチン値 500ng/mL以上、鉄キレート療法開始基準として血清フェリチン値1,000 ng/mL以上、治療継続の目標として血清フェリチン値500 ng/mLが設定されており、低濃度から高濃度まで幅広い範囲の測定が臨床で求められています。 また、血清フェリチンは以前からサイトカインストームのマーカーであることが知られていますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の重症化マーカーとして有用な可能性があり、重症例・死亡例では値が有意に上昇するというデータが得られており、臨床判断の一部として活用することが期待されています「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5.0版」。 フェリチン測定試薬は、化学発光免疫測定法や化学発光酵素免疫測定法を測定原理とし高感度かつ広範囲の測定を可能としたキットや、ラテックス凝集免疫比濁法を測定原理とし、処理能力の高い汎用自動分析装置に搭載可能なキット、酵素免疫測定法を測定原理としたキットなど、試薬メーカー各社よりさまざまな測定原理を用いた検査試薬が日本国内で販売されています。 デンカ株式会社では、従来の汎用自動分析装置用フェリチン測定試薬を改良し、測定範囲を5~2,000 ng/mLに拡張したFER-ラテックスRX「生研」を2020年9月に発売いたしました。今回はその特徴・性能につきまして御紹介いたします。【特徴】・血清または血漿中のフェリチン測定試薬です。・ラテックス凝集免疫比濁法を用いた汎用自動分析装置用検査試薬です。・測定範囲は5~2,000 ng/mLです。【まとめ】 FER-ラテックスRX「生研」は、従来のラテックス凝集免疫比濁法を用いたフェリチンキットとの相関性を維持しつつ、測定範囲を5~2,000 ng/mLに拡張した汎用自動分析装置向けフェリチン測定試薬です。汎用性・迅速性に優れた試薬であり、今後の日常検査において高い有用性があることが期待されます。資料請求先:デンカ株式会社 試薬学術担当 0120-206-072CM演題-1免疫血清~測定範囲を拡大した汎用自動分析装置用フェリチン測定試薬~FER-ラテックスRX「生研」のご紹介

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