埼臨技会誌 Vol.68
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内視鏡治療におけるタイムアウト導入の試み内視鏡検査における抗血栓薬の休薬確認について◎高木 美保1)、小林 保彦1)、安田 卓矢1)、指田 進也1)、樫原 百香1)、渡邉 剛士1)、安藤 恭代1)◎高木 美保1)、小林 保彦1)、安田 卓矢1)、指田 進也1)、樫原 百香1)、渡邉 剛士1)、安藤 恭代1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)◎新井 奈那子1)、高木 美保1)、指田 進也1)、樫原 百香1)、渡邉 剛士1)、奥山 翔太1)、原田 虎太郎1)、◎新井 奈那子1)、高木 美保1)、指田 進也1)、樫原 百香1)、渡邉 剛士1)、奥山 翔太1)、原田 虎太郎1)、安田 卓矢1)安田 卓矢1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)112【はじめに】タイムアウトとはある時点で全員が作業を中止し,声を出してその手術の安全を確認する作業である.これはWHOの「患者安全の取り組み」の一環として2009年10月に発表され,正しいと認められた行為の補強とかかわる職種間のより良いコミュニケーション及びチームワークを育てることを目的とする.近年,患者の安全を守るために内視鏡治療時にも導入されているツールである.【導入までの経緯】内視鏡治療時に胆管用ステントのサイズを間違えたというインシデントが起こり,再発防止を目的としてタイムアウトを導入した.【導入及び運用】使用するタイムアウト用紙はWHOが発表した手術安全リストと当院手術室で使用しているリストをもとに作成し,運用の流れ等は当院の手術室が行うタイムアウトを見学して統一した基準を設定した.開始時は医療安全管理者が立会い,2021年2月23日より導入した.タイムアウトは患者が治療室に入室するタイミングで対象職種(施行医,看護師,臨床検査技師)が実施する.対象職種はそれぞれ,医師が自己紹介と術式,患者氏名,生年【はじめに】当院では消化器内視鏡検査に臨床検査技師が従事している.内視鏡検査の生検や処置は出血を伴うため,検査技師が院内の抗血小板薬・抗凝固薬(以下抗血栓薬)の休薬目安をもとに確認して検査に入る.今回,他院からの紹介患者で抗血栓薬を服用したまま処置を行った例を経験し,内視鏡検査の安全対策を図った.【現状把握と課題】抗血栓薬の服用確認をしたスタッフは経験1年目で知識と経験が不足していたと考えられた.また,当院の休薬一覧表は内視鏡処置と手術の様々な情報が記載され分かりづらい内容であった.そして,当院の患者であればカルテ処方歴で確認出来るところ,紹介患者の服用確認は難しい状況であった.この2点を課題として,内視鏡用の休薬一覧表の作成と,紹介患者の服薬情報記載欄の統一化に取り組んだ.【方法】内視鏡用の休薬一覧表は,医療安全マニュアルに掲載されている内容から内視鏡の部分を抜粋して表を作成した.また検査の際に既往歴を確認することから,抗血栓薬と疾患名を表内に記載し,医療安全対策チームの承認を得て内視~医療安全を巻き込んだ臨床検査技師の取り組み~検査の安全を確保するための対策月日を確認し,看護師が鎮痙薬使用,抗血栓薬内服,アレルギー,ペースメーカー挿入の有無を確認する.そして,臨床検査技師は全体の進行役を務める.【結果と導入の課題】タイムアウトを導入し3ヵ月経過したが同様のインシデントの再発はない.加え,タイムアウト非対象検査では抗血栓薬内服に関するインシデントが発生しているが対象検査では発生していない.これらよりタイムアウトが患者安全において有効に機能していると考えられた.しかし,今回の導入にあたり,内視鏡スタッフはタイムアウトの目的と必要性を知らない状態であった.この課題を克服するためにスタッフへ直接タイムアウトの知識を伝えていくと同時に,初期から医療安全管理者に現場に介入してもらい,その重要性を示す必要があった.【結語】タイムアウトの導入により内視鏡治療のインシデントの再発防止と患者安全に繋がった.スタッフ全員でタイムアウトの目的を理解し実行したことが運用をスムーズにしたとも考えられた.今後も継続して内視鏡検査,治療の患者安全に努めたい.埼玉石心会病院‐04(2953)0611鏡室全員で使用を開始した.次に紹介患者の服用情報は,地域医療連携室の協力を得て診療情報提供書の最下部に処方歴及び休薬または休薬不可能と,所定場所への記載を依頼した.【結果】休薬一覧表は臨床検査技師8名,看護師7名で使用を開始した.開始直後のアンケートで,簡略化されて見やすくなったと13名から回答を得た.また,疾患と薬剤名を連想させやすいと高評価であった.そして,紹介患者の服用情報の所定場所記載はインシデント防止になるという意見を得た.【考察とまとめ】内視鏡に必要な情報のみを抜粋した休薬一覧表は,内視鏡スタッフにとって活用出来る書面となったと考えられた.この一覧表を作成する過程で不明点などを調べ,知識不足が一部解消されたと感じ,課題の一つを克服したと考えられた.そして,地域医療連携室の協力により紹介患者の情報収集が容易になり,患者さんの安全につながると考えられる.今後も内視鏡検査の安全のための取り組みを継続する.埼玉石心会病院-04-2953-6611EntryNo. 43EntryNo. 44管理運営管理運営管-4管-5内視鏡治療におけるタイムアウト導入の試み~医療安全を巻き込んだ臨床検査技師の取り組み~検査の安全を確保するための対策内視鏡検査における抗血栓薬の休薬確認について

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