埼臨技会誌 Vol.68
112/138

◎埜村 直美1)、栗原 直美1)、圓田 則子1)、二神 友絵1)、岡倉 彩音1)◎埜村 直美1)、栗原 直美1)、圓田 則子1)、二神 友絵1)、岡倉 彩音1)戸田中央医科グループ 戸田中央産院1)戸田中央医科グループ 戸田中央産院1)◎加藤 杏1)、田中 満里奈1)、吉野 淳樹1)、末吉 加奈江1)、松嶋 一成1)、石井 茂雄1)、沼野 剛1)、横田 進1)◎加藤 杏1)、田中 満里奈1)、吉野 淳樹1)、末吉 加奈江1)、松嶋 一成1)、石井 茂雄1)、沼野 剛1)、横田 進1)地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立循環器・呼吸器病センター1)地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立循環器・呼吸器病センター1)110使用した.【結果】生化学検査における運用変更前のTATの中央値は50分12秒,変更後は51分56秒であった.運用変更後の受付時間毎のTATの中央値は,最も患者数の多い8時台で55分13秒,12時台で49分6秒,14時以降は40分58秒と,時間帯による患者数により差が見られ,変更前も同様の傾向であった.運用変更後の各測定項目の測定時間の中央値は,血算が7分45秒,HbA1cが13分14秒,PTが19分25秒,CEAが77分38秒等の結果となった.【考察】到着確認を導入してもTATに大きな変化は見られなかった.運用変更以降,検体が提出されているかの確認の問合せに即座に返答が可能になり,多職種間での齟齬が減少した.各項目の測定時間は免疫測定項目以外では多くが30分以内,免疫測定項目では多くが80分以内であり,概ね良好であった.今回の研究により,採血や検査に要する時間を臨床側に提供することが可能になった.特に患者が集中する午前中における対策を考え,TAT短縮を目指すことが今後の課題である.連絡先048-536-9900(内線 2270)パニック値報告で緊急帝王切開となった1例検体受付方法変更に伴うTAT(Turnaround Time)の変化と現状の評価【はじめに】当院ではパニック値に相当する報告例は少なく,異常値報告が主である.今回術前検査でパニック値報告をしたことで,臨床的急性妊娠脂肪肝疑いで(以下AFLP)緊急帝王切開となった症例を報告する.【症例】29歳,妊娠39週1日,1経妊0経産.子宮内胎児発育不全(-1.5SD).入院中,血圧上昇傾向となり軽度吐気認めるも自覚症状は乏しかった.胎児の状態を考慮し帝王切開も視野に入れた術前採血を行ない,パニック値を呈したことを契機に緊急帝王切開となった.脊髄麻酔2回実施するも麻酔の効果が認められず静脈麻酔を施行.児は麻酔の移行によるSleeping-Babyとして出生.羊水混濁あり,生後5分で弱く自発呼吸出現.体動・緊張弱く臍帯動脈血液ガスで pH 6.999, 合性アシドーシスを呈し新生児仮死のため,高次機関へ搬送となった.【検査報告】T-Bil 1.6㎎/dl, AST 866 IU/l, ALT 2160 IU/l, LDH 556 IU/l, ALP 1239 IU/l, γGTP 129 IU/l, CPK 58 IU/l, BUN 14.6 mg/dl, CRE 1.54 mg/dl, WBC 88×10²/μL, RBC 【はじめに】当院では,TAT(Turnaround Time)を短縮することを目的として,採血検体の受付窓口での到着確認を省略し,検査機器において測定時に到着確認を行っていた.この方法では,検体所在不明等の事情により測定が遅れた場合,検体が検査室内外のどちらにあるかの確認が検査システム上で行えず,対応に時間を要していた.これを受け,2021年5月より,受付窓口で到着確認を行う運用に変更した.今回,運用変更に伴う生化学検査のTATの変化,運用変更後の各測定項目の測定時間を調査したので報告する.【対象・方法】運用変更前の2021年3月22日~4月23日,変更後の2021年5月10日~6月11日の土日を除く各25日間に採血室で採血をした外来患者を対象とした.採血室は自動患者受付機1台,自動採血管準備装置BC-ROBO1台,採血台4台で構成され,採血室と検査室は搬送用ダムウェーターで接続している.搬送された検体は運用変更前では到着確認を省略,変更後では検査システムHARTLEYで到着確認を行い,各測定に回した.BC-ROBOおよびHARTLEYに記録されているデータを抽出し,565×10⁴/μL, Hb 17.6g/dL, Ht 49.8%, Plt 25.7×10⁴/μL.祝日のため当直医に連絡,医師は再検データを確認.AFLP疑いとし緊急帝王切開適応となった.【経過】母は1ヵ月後には肝・腎機能とも改善傾向を認め外来フォロー終了となる.児は搬送後,脳低体温療法を行っていたが経過良好との報告あり,2ヶ月後退院となった.【考察】妊娠後期および褥婦が上腹部症状,悪心,嘔吐の訴えがある場合AFLP・HELLP症候群を疑う.両疾患とも処置が遅れれば産科DICを起こし母体と児の生命を脅かす.今回,本症例は自覚症状に先行し血液検査異常を認めたことで緊急帝王切開の決定に有力な情報となったと思われる.AFLP・HELLP症候群とも妊娠高血圧症候群と共有の病態を有する,これら高血圧を呈する疾患とも,CBC,肝機能,凝固系検査を定期的に施行し血管内機能不全の検査確認をすることで,重篤化を予測する事ができる.AFLPの発生頻度は約7000~13000妊娠に1回程度とされている.まれな疾患も念頭に置き正確な検査,報告を維持していく.             連絡先 048-444-1181pCO₂ 78.4mmHg, HCO₃⁻ 18.9mmol/L, BE-1.37mEq/L重度混チーム医療管理運営チ-7管-1EntryNo. 86EntryNo. 41検体受付方法変更に伴うTAT(Turnaround Time)の変化と現状の評価パニック値報告で緊急帝王切開となった1例

元のページ  ../index.html#112

このブックを見る