埼臨技会誌 Vol.68
103/138

微生物◎江原 進1)、銅山 雄太1)、曽木 広信1)、根岸 永和1)、阿保 一茂1)◎江原 進1)、銅山 雄太1)、曽木 広信1)、根岸 永和1)、阿保 一茂1)さいたま赤十字病院1)さいたま赤十字病院1)◎森 圭介1)、武末 久美子1)、金田 光稔1)、神山 清志1)◎森 圭介1)、武末 久美子1)、金田 光稔1)、神山 清志1)浦和医師会 メディカルセンター1)浦和医師会 メディカルセンター1)101 浦和医師会メディカルセンター 検査部048-824-1629(内線313)ペニシリン低感受性B群溶連菌の分離頻度臨床検体を用いたXM-カンジダ寒天培地の有用性についての検討glabrata 【はじめに】B群溶連菌は,新生児の髄膜炎および敗血症,特に基礎疾患を有する成人肺炎を引き起こす.治療には抗菌剤ペニシリンが有効と考えられてきたが,近年ペニシリン低感受性B群溶連菌が検出される.今回われわれは,後方視的検討においてこの細菌の分離頻度と年次別推移について検討を行った.【対象および方法】調査期間:2011年1月1日~2020年12月31日.対象株:当院臨床材料由来B群溶連菌.群別:プロレックス「イワキ」レンサ球菌(イワキ).抗菌剤感受性:分析器MicroScan WalkAway 96 plus,感受性パネルMF7J(ベックマン・コールター).ペニシリン低感受性:ペニシリンのMIC値が0.25μg/ml以上.【結果】B群溶連菌分離株数:総株数は1175株であった.その内ペニシリン感性株数が1124株(96%),ペニシリン低感受性株数が51株(4%)であった.臨床材料とペニシリン低感受性株数:材料は呼吸器系材料38株(75%),尿4株(8%),血液3株(6%),その他(膣1件を含む)6株(11%)であった.呼吸器系材料のその菌株MIC値は0.25、0.5、【目的】カンジダ属菌は,ヒトの皮膚,口腔,消化器,膣などに存在する常在菌であるが,宿主と常在菌叢の均衡関係によっては病原菌となる.XM-カンジダ寒天培地(日水製薬株式会社)は発色酵素基質を含有しカンジダ属菌を選択的にスクリーニングするために開発された.今回われわれは,臨床検体を用いたXM-カンジダ寒天培地の性能を評価したので報告する.【対象と方法】膣分泌物185検体,口腔気道系7検体,尿3検体,その他12検体の合計207検体を供試検体とした.検討方法は,検体をXM-カンジダ寒天培地に直接塗抹し,35℃で48時間好気培養した.24時間培養後に1次判定,48時間培養後に最終判定しカンジダ属菌の発育の有無を確認した.同定は発育したコロニーの色調から肉眼的に判定した.対象にはTSA5%SB//BTB寒天培地(日本BD株式会社)を使用した.【結果】TSA5%SB//BTB寒天培地およびXM-カンジダ寒天培地とも1μg/mlで,それぞれ3株,7株,28株であった.尿はMIC値0.25,0.5μg/mlの菌株がそれぞれ2株であった.血液は3株ともMIC値0.25μg/mlであった.また腟からその細菌が1株分離されMIC値1μg/mlであった.ペニシリン低感受性株数の年次別推移:2011年から2020年の株数はそれぞれ0(0%),3(3%),5(4%),6(6%),3(3%),7(6%),9(6%),9(7%),8(6%),2(2%)で,調査を行った期間において2012年から分離される.他の抗菌剤感受性:これらの株のCefotiam,Meropenem,およびCefotaximのMIC値はそれぞれ0.5以下~4μg/ml以上,0.12以下~2μg/ml,0.06以下~2μg/mlで,ペニシリン感性株と比較するとやや高い傾向がある.【考察】ペニシリン低感受性B群溶連菌は2012年から分離され,分離率が7%の年があり,やや高い傾向にある.この株の多くが呼吸器系材料から分離され,髄液から分離されてないが、特にこの細菌による新生児髄膜炎や敗血症では治療が難しくなると思える.今回膣から1株分離されており,今後注意が必要である. 連絡先:048-852-1111        に陽性は99検体,ともに陰性は101検体であった.TSA5%SB//BTB寒天培地陽性,XM-カンジダ寒天培地陰性は3検体,TSA5%SB//BTB寒天培地陰性,XM-カンジダ寒天培地陽性は4検体であった.XM-カンジダ寒天培地に発育したカンジダ属菌は106株認められた.同定の内訳は,Candida albicans 87株(82.1%),Candida parapsilosis 11株(10.4%),Candida 6株(5.7%),Candida tropicalisおよびCandida kruseiは1株(0.9%)であった.複数菌の発育が認められた検体は,C.albicans,C. kruseiの組み合わせが1検体,C.albicans,C.glabrataの組み合わせが2検体であった.【まとめ】XM-カンジダ寒天培地は選択性に優れていた.発育したカンジダ属菌の色調はクリアーであり視認性が良かった.感度,特異度ともに良好な結果であった.微-12微-13臨床検体を用いたXM-カンジダ寒天培地の有用性についての検討微生物EntryNo. 96微生物EntryNo. 85ペニシリン低感受性B群溶連菌の分離頻度

元のページ  ../index.html#103

このブックを見る